画家と泥棒のレビュー・感想・評価
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芸術が心を揺さぶる瞬間を捉えた貴重な作品
絵画を盗んだ泥棒と、被害者である画家が友情を育むドキュメンタリー。泥棒は2人組で、主要登場人物となるのはその内の1人のみ。彼はどうして盗んだのか、絵がその後どうなったのか全く覚えていないという。動機と絵の行方という謎を提示して始まる本作だが、ミステリーとしては展開しない。でも、そういうミステリー要素よりも、ある意味謎の深い人の心の問題を掘り下げていく展開となる。
写実的な画風で、心の闇をモチーフに描く画家は、様々な苦しみを抱えている。泥棒の方もその生い立ちと境遇ゆえにドラッグに手を染め、罪を犯してしまっていた。絵画と犯罪、全く異なるが、両者にとってはそれぞれの人生の苦しみを表出するための手段だったともいえる。
絵画に感動して唐突に涙を流す泥棒の瞬間をカメラは捉えている。あれほど人の心が劇的に動いた瞬間を捉えた映像は、なかなかお目にかかれないだろう。あのワンシーを観るだけでも価値がある作品だと思う。
人には善も悪もどちらもあるのが普通!
馴染みのない北欧映画でStranger@菊川デビュー💜
ポスタービジュアルだけ見て老人の画家のお話なのか〜と勝手に思い込んでたけど、全然違ってた😂
実際にノルウェーであった絵画盗難事件をベースに、その絵画を盗んだ加害者の男と盗まれた被害者の女性画家という稀有な関係性から生まれた出会いからそれぞれの視点でその後のストーリーが描かれていくというドキュメンタリーらしからぬドキュメンタリー。(あまりに構成が秀逸すぎて本当にドキュメンタリー??と懐疑的に思う部分はあるけどそれもご愛嬌❤ ❤ ❤)
前半部分では『善と悪』がしっかりと分けられており、盗んだカール=ベルティルの悪に対してバルボラがまるで光に包まれた聖女様かのように描かれてる。でも話が進むにつれて、実はその聖女にだって闇はあることがわかり…。そもそもアーティストってそうでない人が目を向けない、もしくは背けがちな側面に着目して『美』を見出すことが多いから、その行動だけを取り上げるとわからない人にはそれ自体が『悪』にすら見えてしまう。
一方で『悪の象徴』のはずだったベルティルの明るい側面がアートの力でどんどん解き放たれていき……。
結局2人は同じなのか違うのか。いろんな想像を張り巡らせるのが楽しいこの作品。
いやー、よかったなー。
この作品が観られるならU-NEXTへの加入をリアル検討しようかしら?と思うほど🍀🍀🍀
ドキュメンタリーだと撮れない筈のシーンがちゃんとあるドキュメンタリー。
ギャラリーに展示されていた絵が盗まれ、捕まった犯人に興味が湧いた画家が犯人に絵のモデルを依頼する。犯人と画家とがかの恋人の関わりをドキュメンタリーで追った…。
実話の映画化ではなくドキュメンタリーです。
すごいものを見せられた感。工夫を凝らしてドキュメンタリーを成立させている。
本来ドキュメンタリーでは撮れない筈の絵を盗むシーンまでちゃんとある。
ドキュメンタリーなのに色々起こる。何度も言うが実話の映画化ではない。ドキュメンタリーである。
劇場未公開なのが勿体ない。せめて単館ででもと思う。
サンダンス映画祭審査員特別賞。
BBCやワシントン・ポスト紙が2020年ベスト・ドキュメンタリー映画に選定。
ドキュメンタリーである、ということ。
アマプラ初見。
面白く且つ悲痛なお話しだがベタの想定内。
これだけ定形的に物語性があるならドキュメンタリーでなく劇映画で撮るべきでは?とも。
劇映画みたいな実話でしょ?な一本かな。
技法
危うい泥棒の行動の方に目が向いてしまうが、この奇妙な関係は、泥棒に声をかける画家側のアプローチから始まっている。アートのなせる業なのか、ラストまでこの人の突飛な行動力が推進力である。
気になったのは彼女の製作技法で、全体を徐々に仕上げるのではなく、一部分を仕上げて周りはまだ真っ白のままのキャンパスというのが驚きだった。
映画好きにこそ見てほしい
コレほんとにドキュメンタリー?とずっと疑問に思うくらい
しっかり物語になっている作品。
”暗い”テーマに憑りつかれた画家と、人生の歯車が狂ってしまった泥棒。
どこか引かれ合う二人の友情は美しく、ドラマチックですらある。
そこにバーンとくる、あのラストシーン。
仮に劇映画だったとしても脚本家を称賛したいほどの実録。
これは映画好きにこそ見てほしい一本だ。
絵を盗まれた画家(バルボラ)と盗んだ泥棒(ベルティル)のドキュメンタリー映画
2020年(ノルウェー製作)
この映画は長編ドキュメンタリー映画ですが、
驚きのストーリーのあるドキュメンタリー映画です。
ドラマティックで感動的な愛の芸術作品です。
映画はバルボラの展覧会から白昼、絵を盗む2人の泥棒の
防犯カメラの映像から始まります。
その映像から犯人の一人ベルティルは捕まります。
そして公判で面会したバルボラが思いがけない提案をします。
泥棒のベルティルに自分の絵のモデルにならないか?
と言うのです。
身体中タトゥーだらけの怪しい男。
そして本当にベルティルがバルボラの家に来て、
絵は描きはじめられます。
(バルボラははじめ執拗に絵の隠し場所を尋ねます・・・
(ドラッグを使っていてまるっきり記憶がないというベルティル・・・
バルボラが描いた3つの絵があります。
①ベルティルと仲間のマックスに盗まれた「白鳥」
②バルボラが描いたベルティルの肖像画。
③ベルティルの上に覆い被さる裸身のバルボラの絵。
②を見たベルティルは子供のように泣きじゃくります。
母親にやっと発見された子供のように。
ベルティルは迷子でした。
①は見つかりました。
もう一人の泥棒・マックスが地下倉庫に立てかけてあったのです。
床の「白鳥」の絵に頬擦りするバルボラ。
愛する絵が帰ってきたのです。
③重なり合うバルボラとベルティル。
ラストに見たこの絵は衝撃でした。
2人はこんなにも互いを必要としていた。
この絵には横たわるベルティルの上に半裸で覆い被さるバルボラの絵柄。
ベルティルはバルボラが前世で産み、育てられずに捨てた赤子。
やはり2人は出会うべき半身。
2人は一枚の絵の中でカッチリと嵌め込まれる2個のピース。
そしてこの映画が素晴らしいのは、バルボラの絵のチカラです。
その絵の芸術性がこの映画を崇高な作品に仕上げる源泉です。
それと共に編集の巧さが際立ちました。
もし編集で時系列や場面を変えたら?
まったく別の映画になる・・・
そんな危惧も感じました。
(Amazonプライムで配信していますので、是非)
画家と泥棒の魂の邂逅
絵画の窃盗事件は世界中で起こっており、その多くは高額な価値がつけられた有名な画家の作品。しかし、本作で盗まれたのは、決して有名ではない画家の有名ではない作品だ。
その上、自分の絵を盗んだ犯罪者に「絵を描かせてほしい」とお願いするのは、パートナーも心配するように、いわゆる“普通”の感覚ではないと思えてしまう。
しかしながら、その“普通”ならざる者たちが邂逅した先には、数奇な友情の形が垣間見えた。
視点を変えて徐々に見せていく構成も良い意味でドキュメンタリーと感じさせない絶妙な働きをしている。盗んだベルティルの内面の闇を見ていくうちに、次第に画家のバルボラの抱える闇も見えていく。人の絵を描くという、「見る・見られる関係」を通して、赦しを超えた互いの深い部分までつながっていくラストには震えた。
展示会から釘を抜いて消えた絵が、再び釘を打って展示される。新たに加わった作品には、「画家と泥棒」の関係を超えた2人の魂の交わりをみた。
分断が進む社会の中で、一見すると交わらざる者たちが交わるとき、そこに光が差す瞬間が見えた。見事なドキュメンタリーだった。
作品が盗まれたことで始まる小さな物語
現在進行形のドキュメンタリーは、時にフィクションよりも印象的な展開が待っている。この作品もその1つ。
作品を盗まれた画家と盗んだジャンキーが接点を持ち続け互いに理解し合う関係に昇華していくにつれ、出来過ぎでフィクションかな?と疑わせる展開だったものの、同時にその視点は社会の影の部分にスポットを当てる作業でもあるように見え、結果的にしっかりと地に足のついたドキュメンタリーだったように思う。
「盗まれた作品」の行方も気になるところだが、それは作品を観て確認してください。
美しいかけがえのないシーン、あれだけでも観る価値がある作品
ドキュメンタリーの強みは、フィクションでは到底及びもつかないような映像を撮れることだと思う。
この作品にもそういうシーンがあって、かなり心を揺さぶられた。美しい、かけがえのないシーンだったと思う。
画家が、自分の絵を盗んだジャンキーのチンピラ?にコンタクトをとりモデルとして絵を描いていくというこの非凡な物語は、なぜこれが成り立つかといえば、画家のバルボラと泥棒のベルティルはどこか通じ合うものがあったからだと思う。ふたりとも極めて危なっかしいのは、死や失うこと、傷が、彼らにとってはそう遠い存在ではなくて身近で親しい存在だから。
カモンカモンを観た時、インタビューされるというのは尊重されることなんだなと感じたのだけど、モデルにされるというのも同じようなことかもしれない。関心をもたれること、経緯を払われること。パンだけじゃなくてそういうものがなければ、人は満たされないのかもしれない。
実話、なんですね。
ドキュメンタリー風なフィクションだと思ったけど
ノンフィクションとは、ビックリ。
実話ベースにして、ちょっと恋愛要素も加えた、シリアスドラマ
でもよかったのにと思いました。
画家とモデル。
はたから見たら、色んな意味で危なっかしいよなそりゃ。
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