劇場公開日 2023年1月6日

  • 予告編を見る

「解決の糸口さえ見つからない移民問題」ファミリア eimeiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0解決の糸口さえ見つからない移民問題

2023年7月1日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

難しい

今(2023年7月1日)、フランスで移民2世の17歳の若者が警察官に射殺されたのをきっかけに、フランス全土で暴動が起きています。移民問題を扱ったフランス映画『レ・ミゼラブル』もぜひ見てください。

この映画「ファミリア」は、日本で暮らす在日ブラジル人たちの現実を描いている視点で鑑賞しました。ブラジルで食べていくのが大変な人々に「日本で3年働けば家が建つ」と誘い、日本へやってきた。来日して働き始めたら、リーマンショックで失業。地方自治体によっては、帰りの航空運賃を出して、希望者はブラジルへ帰国してもらった。日本に残ったブラジル人も非正規の低賃金労働でギリギリの生活を余儀なくされている。
ブラジル人だけでなく、移民・難民は立場が弱く、経済的にも大変なので、集まって助け合わないと生活していけません。移民・難民が集まれば、生活習慣・宗教などの違いから、トラブルが絶えず、もともと住んでいた人は、他の街へ転居していきます。そして、移民・難民の街が国中に点在することになります。
移民問題は、善意・共生・人道などのきれいごとでは、何の解決にもなりません。現在のアメリカ合衆国を見ればわかります。人種が絡む事件が起こるたびに、デモは行われますが、何十年たっても解決の糸口さえ見つかっていません。
日本も移民・難民・研修生などを受け入れ続けている現状からして、他人事と思えなくなってきました。

また、逆の立場となる明治~昭和における日本人のハワイ、北米、南米、満州への移民の歴史も忘れてはいけません。

eimei