「映像は綺麗。それだけです。」あの娘は知らない sokenbiteaさんの映画レビュー(感想・評価)
映像は綺麗。それだけです。
あまりにひどくてかなり前半で劇場を出ましたので、その上での感想であることをお断りしておきます。
冒頭から何シーンか、映像がとても綺麗だったので、おー!と思って上がったのですが、それ以外完全に何もないのが早々にわかってしまい、盛り上がった気持ちは急速にしぼんでいきました。
ストーリーは、若者が閉店中の張り紙のある旅館に現れ、ヒロインの店員の子に話しかけるところから始まります。
唐突に表れた若者に、ヒロインは何も言わずに怪訝そうな顔をして、変な間が空きます。
そこがもう、なんといいますか、不自然で不自然で。
狙ってる感じがありありとわかるだけに、寒くてしかたがなくて、見ながら体をもぞもぞ動かしてしまいました。
そこでもうヤバいなーと思ったのですが、その予感と寸分違わぬうすら寒い場面が延々続いていきます。
よくある、ミニシアター系の、静かで心にしみこんでくる、あの感じがいいなー、と作家気取りで妄想して高校生がノートに書いたシナリオ、という印象です。
大抵そういうものは、大人になって冷静に振り返ると、いたたまれなくて決して人に言えない黒歴史として記憶の中に封印されていくものかと思うんですけどね。
これはまかり間違って商業映画の脚本を書くところまでたどり着いてしまったケースということですかね。
恐ろしいことです(笑)。
ヒロインは大した出来事もないままどんどん若者と近づいていくのですが、何ですかね、この子はそんなに飢えてたんですかね?
口調こそ静かですが、めちゃくちゃグイグイ行きますからね。
よっぽど顔がタイプだったんでしょうか。そんな描写ないですが。
若者も、新手の詐欺か?とかこの子メンヘラか?とか特に疑いもせず、まるで映画のシナリオで指示されてるかのように距離を詰めていき、流れのままキスしやがったりします。
どうやらちょっと親しくなるとすぐキスしちゃうタイプみたいですね。
そのシーンの前に、若者ばかり集まる変なスナックで、「あいつレズだったんだってよー」と男子三人組が、まるでそれを言うために後をつけてきたかのように唐突に話し出すのですが(子供の頃に道徳の時間に見た、「いじめはいけませんよ」的なドラマみたいなのを思い出しました)、それを見て心にグッとくるところがあったのでしょうか?
ヒロインもそれを誘うように、好きでもない人とセックスしたことあるとかなんとか告白しだすんですけども。
セックスがまだ珍しい年頃の方が書いたのかなーこれは、と困ったような笑いを顔に張り付かせて見守る以外に、僕にできることはありませんでした。
ともかかくこのキスシーンでもう、お尻のモゾモゾが堪え切れなくなり、席を立ってしまいましたので、この後の展開はわからないです。
実はこの後、この変な思わせぶりな脚本実はが全部狙って書いてるもので、その仮面をはぎ取って鮮烈なセリフや場面が続いてすべて覆していく、のかもわかりませんが、それを我慢して待ってることはできませんでした。
もしほんとにそうだったらごめんなさい。
いや、ほんとに高校生が書いた自分に酔ってる脚本とかならそれはそれでいいんですよ。
趣味の世界だし、微笑ましいものです。
ただそんなものを観に映画館に来たわけではないので。
やっちまったなー、と凹んだ気分で帰りました。