劇場公開日 2022年9月2日

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「俳優として活動されている方が監督として作品を撮るとどうなるか」MIRRORLIAR FILMS Season4 BONNAさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5俳優として活動されている方が監督として作品を撮るとどうなるか

2022年9月4日
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鑑賞方法:映画館

なお1と2は観て3は観忘れたため前二作との比較しかできませんが、観やすさでは2→今作→1の順ですかね。
今作はどちらかと言えばストーリーを掘り下げるより、ビジュアルで訴えかける作品が多かった気がします。特に後半にかけての作品はそんな感じがしました。
以下、感想。

①東京モラトリアム
藤井道人監督。多分、地方出身の若者達が映画に関わる仕事をしたいという思いで状況。結果、夢を諦めないでいるのは主人公のみ、らしい。
映画を撮っていた学生時代と社会人になってからの今の対比。ありがちな話かもですが、夢を追い続ける主人公と夢を諦めた/諦めざるをえないかつての友人達とのコントラストがリアルでした。
社会人の立場として観ると、結構懐かしく感じるようなところが多いかと思います。

②バイバイ
ムロツヨシ監督。小学生の時の微妙な男女感の関係性を取り上げた…と思いきや、え?とツッコミ入れそうな展開へ。
全然別の2作品かなと思っていたら、ちゃんと繋がっていました。
今作の中で一番好きです。ムロツヨシ氏と大西礼芳氏の珍妙な会話が面白い。エレベーターのことを「ベーター」って訳す人初めて見たよ。

③BEFORE/AFTER
GAZEBO監督。内容に触れると完全にネタバレになるので省略。
これもかなり好きな作品。押し入れに対する愛着が湧く。

④女優iの憂鬱
齊藤工監督。タイトルが活劇映画くさすぎて一抹の不安(出オチ的な意味で)が過ぎりましたが、中身はちゃんと社会派ブラックコメディでした。
新型コロナがまだ未知の奇病だった時に過剰なくらいに自衛対応を迫られていた業界をディスる作品。なお、実話っぽい。
全然関係ないけれど、実話ですというところだけ何故か敬語でなんか笑えた。

⑤星ニ願イヲ
真壁勇樹監督。音響がなんかすごかったです。主題とはあまり重点をおいていないところかもですが、山に行く際に追い剥ぎには気をつけようと思いました。

⑥おとこのことを
水川あさみ監督。主演が窪田正孝氏。つまりご夫婦の作品ですね。
水川氏の視点も良かったですが、元々演技派の窪田氏に悲惨な役をやらせるのはリアリティあり過ぎであかんと思います。最近の窪田氏の動向を追っていませんが、この方早いとこ海外でご活躍頂きたい。国内のみの俳優では勿体ない方と思います。
…話が逸れましたが、植物の水やりや食べ残しの弁当など、俳優さん夫婦なのに庶民的な題材と環境を取り上げられていたのが個人的にかなり好印象でした。

⑦Good night PHOENIX
池田エライザ監督。俳優さんとして動かれてる彼女は結構、いや、物凄く好きですが、この作品はなかなか深読みが必要な作品であるため、私にはちょっと難しかったです。ビジュアルは凄く美しい作品です。

⑧シルマシ
福永壮志監督。
撮影監督がエリック・シライなんですよね。
主演の伊藤蒼氏の存在感が彼の手腕によって、より際立っていたと思います。こちらもビジュアルが映える作品。

⑨THE NOTES
村上リ子監督。この作品がトリでしたが、かなり泣かされました。
《境界線なんて幻想だ》というのがこの九作品共通のテーマですが、言語という際立ってわかりやすい境界を、訳あり少女と親の視点で見守る隣人の高齢者の立場から、伏線を踏まえて飛び越えた素晴らしい作品でした。

以上。
役者さんとして活動されてる方が、監督として作品を撮られた時に意外な側面が見えてくるのが面白いこのシリーズ。今後も続けて頂きたいです。

BONNA