「サイコホラーかと思いきや、連続殺人と刑務所での壮絶な苛めとなかなか進展しない捜査を並行して描写する真面目な社会派ドラマ」ハンガリー連続殺人鬼 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0サイコホラーかと思いきや、連続殺人と刑務所での壮絶な苛めとなかなか進展しない捜査を並行して描写する真面目な社会派ドラマ

2022年5月30日
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鑑賞方法:映画館

サンパウロのハンガリー映画祭にて鑑賞。

1957年、ハンガリーの田舎町。靴工場から帰宅途中だった女性エルジェベートが頭部を凶器で殴られて殺され、すぐさま彼女の元恋人レティが逮捕される。レティは厳しい尋問の末犯行を自供、終身刑を言い渡される。それから7年後、また街で女性が殺される事件が発生、警察と検察による捜査は遅々として進まない中次々と犠牲者が増えていく。どの事件も殺害の手口が酷似しており、7年前の事件とも類似性があることに気づいた捜査陣は服役中の犯人は実は冤罪だったのではないかと疑い始める。

サイコホラーかと思いきやそんな要素はほとんどなく、刑務所で壮絶な苛めを受けながらも堪え忍ぶレティ、繰り返される殺人、モタモタと進展のない捜査の3つの視点で織りなす真面目なドラマ。60年前のハンガリーの国勢を背景に織りなす複雑な人間模様を終始色褪せた冷たい映像で捉えた印象的な作品でした。

よね