劇場公開日 2022年3月18日

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「映画ができるまでも感動、映画自体も感動。」あしたのわたしへ itaru9さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0映画ができるまでも感動、映画自体も感動。

2022年3月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

出演俳優は全員オーディション、さらにワークショップでそれぞれの役を勝ち取っていく。映画が出来上がるまでの真摯に映像の世界を目指す若者たちの成長ストーリーが、普段見られない映画製作の裏側とともに、ドキュメンタリーとして公開されている。ドキュメンタリーを見てから、出来上がった作品を見たとき、「演じる」ということの難しさと、本人たちの「成長」、そして、制作スタッフの方々への一人ひとりの役者への「愛情」をこんなに感じる作品は他にないと思う。
映像ビジネスや制作環境が目まぐるしく変化する中でも、良い作品を作りたい、映像で人の心を動かしたい、という映画の変わらない素晴らしい価値が、業界に入りたての若手たちだからこそ出せる真っ直ぐな演技、気持ちで伝わってくる作品でした。
中でも、ひもの屋の娘を演じている村田寛奈さんが素晴らしかった。個人的に彼女が演技を初めた頃から注目をしているが、この作品を通して、今までの彼女にはなかった魅力が引き出されている。演技の間のとり方、キャラクターのつくり方など、演技自体も成長を感じさせるものだったし、全体のストーリーの中で、少し年上のお姉さんという立ち位置で、恋愛や悩みを通り抜けていく学生組の激しい心情の移ろいを、安定した通低音として受け止め、群像劇のハーモニーをより鮮やかに際立たせる存在として作品に欠かせない役割を果たしている。今後も彼女の演技に注目して見守っていこうと思う。

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itaru9