アラビアンナイト 三千年の願い

劇場公開日:

アラビアンナイト 三千年の願い

解説

「マッドマックス」シリーズの鬼才ジョージ・ミラーが、イスラムの説話集「アラビアンナイト」をモチーフに撮りあげたファンタジー映画。イギリスの作家A・S・バイアットの短編集「The Djinn in the Nightingale's Eye」を原作に、3000年もの間幽閉されていた孤独な魔人と現代の女性学者の「願い」をめぐる寓話を描く。

古今東西の物語や神話を研究する学者アリシアは、講演先のイスタンブールで美しいガラスの小瓶を買う。ホテルの部屋に持ち帰ると、中から巨大な魔人が飛び出し、瓶から出してくれたお礼に「3つの願い」をかなえると申し出る。しかし物語の専門家であるアリシアは「願い事」を描いた物語にハッピーエンドがないことを知っており、魔人の誘いに疑念を抱く。魔人は彼女の考えを変えさせようと、3000年におよぶ自らの物語を語り出す。

「パシフィック・リム」のイドリス・エルバが魔人、「サスペリア」のティルダ・スウィントンがアリシアを演じた。

2022年製作/108分/PG12/オーストラリア・アメリカ合作
原題:Three Thousand Years of Longing
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2023年2月23日

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

特集

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画評論

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3
  • 画像4
  • 画像5
  • 画像6
  • 画像7
  • 画像8
  • 画像9
  • 画像10
  • 画像11
  • 画像12
  • 画像13
  • 画像14
  • 画像15
  • 画像16
  • 画像17
  • 画像18
  • 画像19
  • 画像20
  • 画像21
  • 画像22

(C)2022 KENNEDY MILLER MITCHELL TTYOL PTY LTD.

映画レビュー

3.5物語性やストーリーテリングをめぐるジョージ・ミラー監督の思い溢れる

2023年2月27日
PCから投稿

実に7年ぶりに世に放たれたジョージ・ミラーの新作は、一見すると『マッドマックス』の巻き起こした一大旋風を綺麗さっぱりリセットしたかのような世界観ではあるものの、「物語や願望についての物語」という意味ではミラー監督のフィルモグラフィー全体を包含するテーマ性を持った作品と言えるだろう。映画の大部分を占める魔人ジンの回想はVFX満載で、ダークかつ魅惑的な趣向によって貫かれ、かと思えばミラーらしい肉感あふれるエキセントリックな描写の数々も観る者を最初はギョッとさせ、やがて納得のニヤリに変えていく。なにしろ三千年という途方もない時代の旅路である。せっかくのエルバ&スウィントンという最高峰たちの共演をもっとじっくり見ていたかった気もするが、逆にいうと彼ら二人だからこそ”道先案内人”のような役割を滑らかに全うできたのかも。声のトーンや存在感に重みと説得力があり、心地よく身を委ねることができる一作である。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
牛津厚信

4.0知と語りの蓄積が、文化と文明の発展を促す

2023年2月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

知的

魔術の使い手や奇妙なクリーチャーが存在する物語世界のビジュアルは、確かにスペクタクルに満ち、目を奪われる。だが、物語論の専門家アリシア(ティルダ・スウィントン)と古い小瓶から出現した魔人(イドリス・エルバ)の対話――といっても、大半の時間で魔人が過去の三つの願いをめぐるエピソードを語り聞かせ、アリシアは聞き手に回っている――が私たちに教えてくれるのは、自ら見聞きしたことや体験したこと、空想したことを誰かに伝えたり記録したりすることがストーリーを語るという行為の原点であり、ストーリーを語ったり聞いたりすることはある種人間の根源的な欲求であること。その意味で、見かけによらず本作には極めて知的な寓意が込められている。

魔人が回想する才女ゼフィールのパートでは、映画の原型のようなムービング・ピクチャーズのからくり箱や、レオナルド・ダ・ヴィンチがイラストを残したらせん翼ヘリコプターのミニチュア版が登場する。アラビアンナイトでなぜこんなエピソードが?と最初は唐突に思ったが、科学技術の進歩もまた、過去の知の集積と取捨選択(編集と言い換えてもいい)を経て新たな創意工夫が加わることで成し遂げられるという意味で、ストーリーテリングと親和性があるのだと気づかされた。ストーリーを語る手法を歴史的に振り返るなら、原始人の頃は身振り手振りや絵で、それから共通の言語ができてからは口承や文章で、やがて演劇と小説が確立し、さらに写真技術を応用する形で映画が誕生した。英国人小説家A・S・バイアットの短編をジョージ・ミラー監督が映画化した本作は、そうした人間の根源的な欲求と願望がもたらしたストーリーテリングの三千年の歴史と、その中における映画の位置づけにも目配せをしているように感じられた。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
高森 郁哉

2.5不思議なアラビアン 大人の恋? そのファンタジー 願いは 2人で暮...

2024年4月4日
PCから投稿

不思議なアラビアン 大人の恋? そのファンタジー 願いは 2人で暮らすことに 間の アラビアンが語る物語は面白くない。2人の会話は面白いが。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
kendesu73

4.5孤独な人類全てに贈る、愛の物語

2024年2月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

興奮

幸せ

大人のための絵本、というとありきたりな表現だが
幼少期に母親に絵本を読んでもらっていた感覚がぴったりの表現のように思う
荒唐無稽と思いながらもどこか不思議で、ワクワクする世界。それはとっても大それていたり身近に感じてしまうくらい小規模だったり、同じお話や同じようなお話なのに毎日ディティールが異なったりしていた。退屈で眠ってしまうこともあったけど、先が気になって眠れなかったり、夢の中で続きを夢見たりする。

バキバキの画力で描かれるお伽噺はジョージ・ミラー監督の映画そのものだし、目に映るもの全てが美しい。是非劇場で観たかった…!
監督の過去作を見ても暴力性に溢れていたり、いなかったりするがどれも不思議で夢のある映画ばかりだ
「こんな映画を観たい!」という気持ちとソリが合わなかったらなかなか評価が難しい映画ということは分かるが、まだまだ過小評価された映画と個人的には強く思う
だってこんな映画、なかなか撮れないぜ?

最後に、イドリス・エルバがちょっとよりもう少しちょっとデカすぎる点。ティルダ・スウィントンと10cmも違わないはずでは?笑

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ezio
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る