劇場公開日 2024年3月22日

「救う側から救われる側へ」コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話 サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0救う側から救われる側へ

2024年4月9日
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鑑賞方法:映画館

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まだ中絶が違法だった60年代後半から70年代前半のアメリカで、多くの女性を救ったとされる実在の団体〈ジェーン〉の物語。登場人物の葛藤や信念が予想以上にしっかりと描かれており、苦しんだ女性たちだけでなく、子を失った父や姉のドラマとしても、素晴らしい作品だった。

今となっては、母体が優先されるのは当たり前。でもほんの数十年前までは、中絶という行為が子を殺すことにあたる殺人罪。生死に関わる大問題にも関わらず、堕ろすことを認めない、認められない病院の評議会のシーンは、非道過ぎて見ていられなかった。そして、本当に苦しんでいる人だけでなく、軽い気持ちで中絶手術をお願いする若者も登場。そんな子でもジェーンは平等に救ってあげる。社会との対比が上手く表現されていました。

この映画が面白いのは、中絶出来ないって辛いよね、苦しいよねじゃなくて、何故認められないんだ!おかしいだろ!それなら私たちが救ってやる!という、女性たちの熱く強い思いが大半を占めているところ。予告からは中絶に至るまでを描いている作品だと思っていたから、その先をこんなにも見せてくれるとは思わなかった。史実を元にした作品としては、かなりの完成度じゃないかな。

全体的に地味で、映画館で見るような華やかさは無いけれど、俳優たちの熱演と色々と考えさせられるテーマ性で、もっとお客さん入ってもいいのにな〜と思いました。貸切は嬉しいけどね😁

サプライズ