劇場公開日 2024年3月22日

「なんだろう、このテキトーな感じ?」コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話 あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5なんだろう、このテキトーな感じ?

2024年4月1日
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脚本と演出は「キャロル」の人なんだよね。
何か遠慮しなきゃいけない向きがあるの?どうしてこんな歯にものが挟まったような語り口になるんだろう。
まず主人公のジョイの立場、主張、行動が理解不能。心筋に問題があって中絶せざるを得ないが正規医療ルートでは拒絶され「ジェーン」にたどり着いてなんとか施術を受ける。ここまでは分かります。施術シーンはなかなか大変だけど、昨年公開のフランス映画「あのこと」なんかと比べればまあ穏やかなものです。
心臓のことなんかはケロリと忘れて、その後ジョイは組織に入り込み自分で施術するまでになる。はて何が彼女をそうさせたものか?女性たちの身の上に同情してとか、技術面での自分の才能に目覚めやる気スイッチが入ったとかそういうことなのだろうけど、エリザベス・バンクスがふわふわと演じているせいか、全く切実感がないのです。
結局は彼女の夫や娘も彼女を支援することになるらしいのだがはっきりしない。隣家の主婦(ラナだっけ)も曰くありげに再々出てくるんだけど何者かは最後まではっきりしない。周辺の人々とジョイの立場や主張の違いを見せることによってジョイの人物像をくつきり浮き上がらせることが狙いのはずなんだがまったく外してます。
「ジェーン」という組織もそうです。おそらくこの映画の狙いは、そこに身を投じた一人の女性の目を通して、女性たちの連帯の姿をみせることにあったはずです。「ジェーン」は最初は望まぬ妊娠で困っている女性たちを救出する地下組織として描かれている。ところが映画の最後の方では1973年のアメリカ最高裁が人工妊娠中絶合憲の判決を下した際に、原告支援を行ったフェミニストグループの一つとして描かれています。
流れは理解できますが、最後のシーンが合憲判決に喜ぶ「ジェーン」の皆さんというのは話がすっ飛んでいませんか?いつからそのような活動をするようになった?そこはきちんと筋書きがあるべきだと思うのです。

あんちゃん