「まさにアニメの最先端。すべてを網羅しつつ、正義とはなにかを問う。」スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース あふろざむらいさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0まさにアニメの最先端。すべてを網羅しつつ、正義とはなにかを問う。

2024年2月6日
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これはすばらしかった。

前作でアニメの最先端を体感させてくれたが、今回は自らそれを上書きする仕上がりになっている。
ちなみに、製作費は148億円で興行収入は1,026億円。
前作は製作費が133億円で、興行収入は、557億円だった。
実に倍の売り上げだ。前作の評価が高く、第二作への期待値が高かったのだろう。

今回のヴィランはスポットという、次元を移動するキャラクターだ。
ただし、物語の中心になってくるのは、家族であり、仲間であり、他のスパイダーマンだ。そして、正義とはなにか、という問いが、すべての中心になっている。

今回も大量のスパイダーマンが登場する。そして、大量のスパイダーバースだ。
それを表現するために、さまざまな映像のバリエーションが用意されている。
まったく違う映像を、一本の映画の中にまとめあげるセンスは見事としかいいようがない。制作現場は地獄だったという話も聞いており、作品がよければどんな犠牲を払ってもいいのかと言われると言葉に詰まるが、やっぱりこの映像は他のアニメでは見られない。
しいて言うならば、SHAFTの「化物語」の自由さが、本作に近い。もちろん、規模が全然違うのだが。

前作は、リブートを繰り返して、ヒットはするものの新鮮味を失いつつあった「スパイダーマン」というコンテンツを斬新な切り口で表現してみせた部分が独創的だった。本作ではその長所をさらに伸ばし、なおかつエモーショナルな物語を構築している。まさにすべてを網羅した作品だ。
制作現場の問題点を知りながら、結局は絶賛してしまうわけだが、それだけの魅力とパワーのある作品に仕上がっているのは事実だ。というわけで、「スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース」が待ちきれない!

あふろざむらい