渇水のレビュー・感想・評価
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ただ水を求めて
渇水
主人公達の出会う幼い姉妹の家庭は、水道のみの問題ではなく、電気も止まっている。確かに水道はライフラインだが、父は蒸発、母は数日家に帰らないことも屡々、それだけでは先を描けない
不況、精神疾患、怠惰、育児放棄、水道料金未払いの原因は様々で、しかし共感性を排除するかのように、停水の交渉時には攻撃的な描写が続いていく。自業自得にも思える。
また主人公は淡々としていて、後半に至るまでは背景が見えてこない。
水は万人のもので水道料金を払う必要はないという(社会背景に照らせば)荒唐無稽な意見
そういうものがふと生み出す小さなテロが、自主退職と、2件の犯罪を生んだ。幼い姉妹は施設に引き取られる。客観的にはそれだけだ。
時期が来て、雨はまた降り、制限は緩和される。未払い家庭への救済は変わらず見えない、制度も渇いている。
滝のシーンで主人公の感情が見え始める。わかりやすい映画では無い、「正しい」生き方はわからない、それでも、水は皆に必要だ。
渇れる少女たちの心と体
人に興味を示さない男と親に見捨てられ愛情に飢えた少女たちとの交流を通して人として大事なものは何かを描く。
人が人である為に最低限必要な水、その水を干上がった大地に撒くように何もかもを吸い尽くす社会。
その中で生きようとする姉妹を通して、社会の溝に落ち込んだ子供たちと社会から目を背けた大人との交流により、変化を願う想いを感じたが関係性の紡ぎかたが観てるものとしてしっくり来なかった。
そして渇いた感じのざらついた映像も意図したものだろうが、全編通して同じ解像度で表現する。変わらない大人のまま終わっても意図は伝わったのではないだろうか。
もしストーリー上に変化をつけるなら、映像にも明確な変化を付けて欲しかった。
”奇跡”は2度要らない
河林満の同名の小説を映画化した作品でした。私は原作を読んでいませんが、解説によれば内容的にはかなり相違があるようです。
芥川賞候補ともなった原作の舞台は1990年頃ですが、映画では現代が舞台になっていました。30年程の隔たりがあるものの、登場人物がスマートフォンを持っているくらいの話で、特段1990年当時と現在という時代設定の相違が、物語の根幹に影響を与えているような感じではありませんでした。
お話の内容ですが、前橋市水道局に勤務する岩切(生田斗真)と彼の助手を務める木田(磯村勇斗)の2人を主人公にして、水道料金を支払わず水栓を止める「停水」作業をする側とされる側の心情を描いたものでした。劇中も出て来ますが、電気、ガス、水道、電話などの公共料金の中でも、水道は”命の綱”であるためか、はたまた地方自治体が運営するのが基本であるためか、料金を払わなくなってから停水されるまでの猶予期間が最も長いようです。(最近は民営化される水道事業者もあるので、今後は猶予期間が短くなる可能性は高くかるかも知れませんが。)それでも支払わない利用者は最終的に停水されてしまう訳ですが、支払わない人が悪いとは言え、水道を停められてしまう側の惨めさは想像に難くありません。
仮に病気や失業など致し方ない理由で支払えない場合は、生活保護という手段が残されている訳ですが、本作の準主役とも言うべき有希(門脇麦)は「生活保護の申請をすれば、親に連絡が行き、援助できないかなど、いろいろと聞かれるので嫌だ」と言います。まあ公金から生活保護を出す手続きとしては、一定の確認をするのはやむを得ないと思いますが、そもそも日本の生活保護利用率は他の先進諸国と比べると低いと言われており、現行の申請手続きにその一因があるのではないかという気がしないでもありません。
ただ問題はそんなに単純でもなく、有希は最終的に2人の娘を放り出して男のところに行ってしまいます。2人の娘に対して、当初は一定の温情を示しつつもビジネスライクに接する岩切と、心情的に助けたいと思う木田でしたが、最終的に考えが逆転するところが最大の見どころ。妻が子供を連れて実家に戻ってしまい、プライベートでも行き詰っていた岩切の取った行動が、観客に一定のカタルシスを与えて物語は終わりました。
どんな事情があるにせよ、水道を停められてしまう身になることを想像すれば、暗澹たる気分にならざるを得ません。それは水を停める作業をする側の精神にも影響を与えるようで、そういった部分に光を当てたところが、本作の画期的なところだったと思います。岩切が取った”テロ”行為により”奇跡”が起こったのも、物語としてはアリだと思いました。まとめれば、着眼点、物語、俳優陣の演技などは、非常に高いレベルにある作品だと言えるかと思います。
ただ、最後の最後に岩切の息子から岩切に電話が掛かり、親子の絆も元に戻るような終わり方をしたのは、少々ご都合主義というか、”奇跡”は2度も要らないと感じたところです。あの終わり方は蛇足だったと思います。
(´-`).。oO何かが足りないんだよなぁ、、、。
ンンンンンーん。何かが足りないんだよなぁ、、、。んんんん。感じないんだよなぁ。
臭いを感じないというか?
是枝監督の『誰も知らない』では子供達が冷房も効かない蒸し暑い部屋の中で汗ダラダラで徐々に弱っていく描写がすごく印象的でした。
じんわりとリアリティのある汗の臭いや、髪の毛の臭さ、部屋のほこり臭さ、など、そう、この映画は何だかそこが中途半端だったような?なんかコギレイというか。だから臨場感がわかないというか、、、。
最後も狙い過ぎかなぁ?最後雨降るよなぁ、、、、と題名見て思ってしまった。
ああやっぱりでした。
シンママ蒸発しがち。。。追記あり7/24
原作、作者については知識0。
高はし正哉監督についても、クドカンの助監してた人か?位の認識です。鑑賞の決め手は「水道局員の停水」という仕事に興味を持ったから。(あと磯村君♪)
正直このような仕事がある事すら知らなかった。理由は何にせよ、滞納者の家を周り、対面で説明し、払えなければ停水する。。
何とも骨の折れる仕事でござる。。
さて、「Mother」「誰も知らない」同様、シンママが男作って蒸発→残された子供(ネグレクト)→ライフラインストップ→この先どーなる??って見飽きた展開。
万引き→公園で水汲んでる場面も
もう「誰も〜」でやってたよ。。
そして上記2作品を上回る衝撃もなかった。。残念。。
しかし、子供もいるのに、今、この瞬間に水が止まるという局面において母親(麦ちゃん)の携帯の画面が光っているのがとても異様で異常で、今の時代を象徴していると思いました。
そしてお姉ちゃんの転び方が上手かった!転んだ後、今まで押さえ込んでいた感情が爆発して。。。泣いちゃうか?!と思ったが、妹ちゃんを泣かせたのが良かった!!
唯一自分を守ってくれるお姉ちゃんの弱い部分見たら
不安になっちゃうよね( ; ; )
おおお〜〜!切なかったです( ; ; )
物語を通してお姉ちゃんを泣かせなかったのが個人的には高評価です!他の場面でもお姉ちゃんの表情が素晴らしかったし、訴えかけてくる目力が強烈で刺さりました。脆さと力強さが混在した顔のアップ。非難されているようで辛かったです。
「停水」についても、滞納者の状況や態度で岩切(斗真君)と木田(磯村君)の考えが変わる所は上手に人物像を描いていました。
ただ、、、今一つ!もう一押しがなかった!むせかえる様な熱気、ジリジリとした肌感覚。汗が張り付く嫌悪感などなど、もっと画面で強く押し出して欲しかった。ストーリーとしても題材を詰め込んだ感は否めないが、重いテーマの割にはさらりと観られます。
生田斗真君は特に追っていた俳優さんではないけれど、調べてみたらほぼ観てたw ので、今までと違った役所で乾いた目の普通の人を好演していたと思います。
磯村君も木田という鑑賞者の多くが思うであろう事を代弁して、ストーリーをわかりやすくさせる役所を良い塩梅の兄ちゃんで自然に演じてしましたね♪
2人のバランス良かったですね。
そして万人受けはしなそうなテーマなのに白石プロデュースで、色々お金集めてくれて映像化してくれてありがとうとおもいました(←誰?w)
星は、、いきおいで「怪物」を星2にしてしまったので。それを4にしてw
こちらは3かな??
本作とは関係ないが、早く
「パーフェクトデイズ」の上映準備して欲しい!!!
追記 7月24日)
河林満先生の「渇水」読みました。
ラストが衝撃過ぎて。。
( ; ; )( ; ; )
本作のラストはこれで良かったと思いました。。
涙も水のうち
…とっても。心が潤いました
水道代が払えない人達は
色んな理由があって払えない
生活の困窮者がほとんどですが
お金があっても払わなかったり
様々な人がいます
水を止められる人も。
取り立てができず水を止める事になる
水道職員さんの苦悩もわかる
…太陽と空気はタダ
だけど水はお金がかかる
ここに出てくる姉妹。
お姉ちゃんが大人
母に気を使い
妹を世話し
一人で重荷を背負って
とても引き込まれる演技です
公園で水まき
テロを起こした水道職員。
…岩切(生田)が
自分に正直になった瞬間!
だと思った
姉妹二人が
プールサイドで楽しそうに踊る姿と
水道職員の
生田と磯村の四人が楽しそうに
アイスを食べるシーンが心あたたまる
弱者に寄りそいながらも、感情だけでは解決できない問題
原作未読ながら、おそらく「弱者に寄りそう」作品だったように思う。
原作から著作権者の了解のうえ、ラストを変更したらしい。
映画だと、寄り添っているものの、ただの「お気持ち」と「感情の爆発」でしかない。
理性的に考えたら親のネグレクト(育児放棄)案件に、大人が出くわしてしまった場合、警察から児童相談所への通報案件なわけで。
主人公・岩切の中に小さく少しずつ積み重なっていくストレスや罪悪感を一切表現せず、ある日突然「切れる」という見せ方は、創作の物語としては不親切で悪手。
さらに、そこで子どもを連れ回してしまっては社会人としてアウトなわけだが。
一見冷たいようだが柴田理恵演じるおばさんのように通報が一番親切で現実的対応であろう(子供を「かわいそう」と勝手に決めつけるのには嫌悪感があるが)。
短い時間の映画の中で、なんとなく盛り上げて終わらせるのに安易に「切れた」ようにまとめたようにも感じた。
しかし、リアリティとしては「たしかにそう」と頷くものだった。
そこに理屈も何もない、予測不能な爆発。
理性がプツンと切れる「衝動性」に納得してしまったわけだ。
でも、人間ってそういうところあるよね、そうじゃないと世の中に外野から見たら「こんなにバカな理屈に合わない事件」って多く起きてないよね、などとも思ったり。
なんか、真面目そうな生田斗真なら、我慢して平然と過ごしておきながら、ある日キレそうって、外見的な説得力があってこそだけど。
どこが違うのか、原作を読んでみたくなった。
姉・恵子を演じた山﨑七海という子役の上手さ、表情の豊かさに惹きつけられました。
今後に注目していきたい。
渇水なのに水増し演出
予想通り?の館内貸切
この日は「怪物」との2本立てで観ました
他のレビューにもあったけど「怪物」後の「渇水」では…渇水だけにカスカスな印象
「渇水」を先に観れば、もう少し楽しめたかも…
生活困窮がテーマの映画は大好物ですが…生田斗真主演なので、やや不安なまま鑑賞(予備知識は予告のみ)
予想的中…序盤で、まぁまぁの茶番劇スタート
薄い茶番だが、好きなテーマなのでまぁまぁ観れました
生田斗真は清野菜名と結婚したので、あまり好きにはなれません(嫉妬なのです)
昔からシリアスな役が似合わない印象…脳男、予告犯、グラスホッパー、秘密、友罪などなど…どれもやや茶番で微妙だった印象
土竜の唄は1作目だけ観ました
広瀬すずと共演した、先生!が1番良かった気がします(広瀬すずが…)
劇中の疲れきった顔が、ジャッキーチェンと南原清隆の合いの子に時々見えました
渇水なのに泥水の様な顔…
ラストで本当に泥水まみれに…涙
苦悩する役は、磯村勇斗の方が上手いです
磯村勇斗は好きな俳優さんです
令和のセクシーAV男優俳優!笑
ビリーバーズが羨ましかったです
門脇麦は客寄せピエロでした
まんまと騙されました…
門脇麦が入会してるマッチングアプリなら、喜び勇んで入会希望
そしてマイっちんぐ希望なのです
水の匂いはお嫌いですか?
僕は山羊の匂いですが、いかがですか?
火と鉄の匂い…ターミネーターがお好きなんですか?
謎は深まるばかりです…涙
ツンとした魔女の様な鼻が好きです
鼻に華がある女優さんですね
変質者っぽい色気も魅力的なのです
ラストで戻ると思ったら…水の様に蒸発しました
男を求めて三千里…身も心も渇水状態、カツカツなのです
アーメン
電気止められても元気いっぱいの姉妹2人…子供はそんなにバカじゃないョ
官九郎と柴田さんが汚い…人の事 言えないのです
磯村勇斗の彼女役が、去年芸能界を引退した佐藤美希嬢!
このシーンだけ爆上がりでした!それだけ
アコムのCMが懐かしい
写真集持ってます(嘘)
生田斗真と尾野真千子はミスキャストな気がします
ひまわり畑のシーンは違和感そのもの
本物のひまわり畑だろうけど、なんか嘘くさい…
中盤から万引き家族風味
元々、万引き家族風味な内容でした
(原作知らない)
終盤は予想通り?のジャニタレ茶番劇
水と愛嬌を振り撒く生田斗真
あぁ〜やっぱりか〜という印象
(EDテロップに藤島ジュリーKとあったので更に納得…もっとちゃんと謝罪して)
茶番なのにガツンと逮捕(勾留?)
ここだけ超手厳しい
内輪揉めなのに…涙
出所祝いのアイスが救いでした
少しズレたズラの様な…少し嘘くさい映画でした
結婚祝いは当り棒
物理面と精神面での渇きを同期的に描く、という発想の通り、捻りのない作品でした。
まず、色々と盛り込み過ぎ。
半端に退場させるくらいなら、門脇麦のエピソードはもっと薄くていい。
(あの男も、旦那がいるという時点で軽く引いてたから上手くいかないだろうなぁ)
姉妹との交流がメインなら、局員の業務は削っていい。
そういったものがありながら、岩切の家庭問題の描写が薄く、生い立ちも軽く台詞で触れるのみ。
なんだか焦点が合いませんでした。
最後のテロも、姉妹を笑顔にするぶんにはよいが現実的な問題は解決しない。
おせっかいおばさん(伝え方は悪かったが…)に水をかけておいて、結局児相扱いも収まりが悪いかと。
会いに行った日から『勾留』という悪い情報しか増えてないのに、息子との溝が埋まるのも意味不明。
全体の演技は悪くなかったし、子役も(『怪物』には遠く及ばないが)十分上手い。
反面、汗や陽炎など暑さへの表現が足りず、テーマの割に涼しそうなのは非常に残念。
一番良かったのは後半の音楽。
滝のシーンとテロのシーンでのギターは、映像を見ながらアドリブで弾いたんじゃないかってくらい感情の動きに沿っていた。
他人を潤すことで癒やされる渇きもあるんだろうなぁ、というのと、少し雨の日も甘受できそうかな、という感想。
本気で水のみに料金払ってると思ってる大人は、あんなに多くないと思いたい。
特に潤わなかった
正しい正しくないなのは分かっている。
でも私は潤わなかったし、主人公の乾いた心が潤ったようにも思えなかった、公園のシーン。
万引きはちゃんと店長さんに咎められた方が良い。
その上でネグレクトが公になった方が良い。
全て流して水を流しても、何にもならないよ。
と言うかお母さんが帰宅してないと知った時点で通報してよ大人で、父親なんだからさ…
でも、水は雨を呼ぶ。
あのシーンくらいの水で雨は降らないだろうけど、無意味と言い切ることもできない。
久しぶりの雨は、乾いた大地や皆に等しく降り注いで、あの瞬間の水は、まさに0円。
そして、辛く険しい表情のお姉ちゃんの顔が雨と涙に濡れつつ和らいでいくのを見ると、しょぼいテロにも意味があったのかなと。
妹のために背伸びして無理して無理していたお姉ちゃん、転んだ瞬間「あ、限界きたな」と。
大人にもああいう瞬間ってあって、誤魔化しきれなくなる些細なキッカケで爆発するけど結局何も変わらなくて、また引っ込めて耐えるみたいな。
あのシーンが一番胸にきました。
しかし、せっかく奥さんに会いに行ったのにロクなことも言えずに終わったあのシーンの後、海に行きたいに至るのは何でだ。
色々思うことはあったけど、特に潤わなかったと言いながら、なんやかんや響いている、そんな作品でした。
本当に求めているのは水ではない
刺さる人と刺さらない人で、評価がかなり分かれる作品ではないだろうか。
個人的には、似たような仕事をしているのもあるが、お金、夫婦仲、子どもとの接し方など、まさに「こうならないように」生活してきたので、あまり共感はできなかった。
作品の完成度は高いと思うが、PG12の割にあまり踏み込んだ描写が無かったのが、少し物足りなく感じた。姉妹の普段の生活や、門脇麦、外回りを外してもらった同僚などに、もっとエグいエピソードがあればとも思ったが、作品の趣旨から逸れてしまう気もして、結果、全体的にバランスが良いのかもしれない。
冒頭、水のないプールを前に、帰ろうと言う妹と、泳ごうという姉。
確かにプールを求めて来たのだが、極論、水を求めていた訳ではない。冷たくて気持ち良いと感じられる、心の癒しが得られればそれで良い。
最後まで、「本当に欲しいもの」への姿勢が揺るがない姉。その描写、本人(子役)の演技は見事だと思う。
水道局員にとってできることは、事前に伝えることだけ。
どうするかは、本人が決めること。
生田斗真だって、奥さんから何度も「通知」を受け取っていたはずなのに、無くなってからその重要さに気づく。
姉にとっては、周りの大人が、みんなそんな風に写るのだろう。
(延滞料金を)いくらかでも払って欲しい、というセリフは、そのまま、姉が母親に言う「髪を切ってくれたら」に対比する。
そんな些細な愛情でいいから欲しい。
水やお金が欲しい訳じゃない。
愛情が欲しいだけ。
水のように低きに流れていく人からは、水の匂いが、自らを叩き上げ続ける人からは、火と鉄の匂いがするのだろう。
結果的に、お父さんもお母さんもいなくなって、あの姉妹は、幸せなのか。いや、これから自ら幸せを掴みにいくに違いない。
ただ、どうにも生田斗真だけが救われたようなエンディングが、もやもやしてしまう。
テーマがわかりにくいと感じた
この映画の物語を通じて、何を言いたいのか、僕にはわかりませんでした。
何かが変わったのかといえば、何も変わりません。
主人公の水道局員の岩切さんは、自分を抑えつけることに耐えきれなくなって、暴走した結果失職しましたが、それによって行政の何かが変わったということはありません。
姉妹も、行政サービスに保護されただけで、母親や父親と幸せになったわけでもないし、大人を信じられないと言ったお姉ちゃんも、岩切さんの暴走くらいで心が晴れるわけはないです。
母親から、アンタくらいの歳には親のこともわかっていたと言われて、歳のわりに大人びて世の中のことを理解していた賢いお姉ちゃんが、たまたま偶然にタイミングよく降った雨だけで、成長するとも思えません。
岩切さんの息子から電話で、海へ行きたいと言われたのも、「その結果のためにどんな努力をしたのか?」っていうと、ヒマワリ持って会いに行ったけど、奥さんや子供には受け入れてもらえずに「考える時間が欲しい」といって追い返されただけです。
物語を通して観客に対して訴えたい何かがあるのかというと、テーマはとても理解できません。
ただ、公務員という仕事の救いの無さを淡々と描いたように見えます。
公務員はただ仕事を任されただけの作業員に過ぎず、公務員の裁量で市民へのサービスが不平等に偏ることは許されません。
姉妹がどんなにかわいそうでも、自分のやった業務の結果、幼い少女が万引きに手を染めてしまったことを目の当たりにしても、なんなら姉妹が生活苦から売春行為に走っているところを目撃したとしても、仕事は仕事です。
人間として耐え難く、ついには暴走してしまうほどに苦しいとしても、それが公務員の仕事です。
そのような苦しい仕事をしていても、市民からは「税金で給料をもらっている」といって後ろ指を差される。
お金のでどころが税金だろうが会社の顧客だろうが、労働者にとって給料は「労働の対価」であって、公務員だって仕事をしてお給料をもらっているのだから、本来ならそのような中傷を受けるべきではないのに。
何かを伝えたいというより、理不尽を見せたかったのでしょうか?
たしかに世の中は夢と希望に満ちてなんかいないけれど、こういう現実を見せつける内容は陰鬱な気持ちになって楽しくありません。
評論家とか、頭の良い偉い人には良いのかもしれないけれど、映画にエンターテイメントを求める多くの観客にとっては、胸糞悪く感じられるのではないでしょうか。
ディハイドロオキシジェン
どこかの評に書かれていた通り生田・磯村の目の死に方が見事だし,長女もフランキー・コリオ@「アフターサン」ほどではないにせよ,なかなかの逸材とお見受けする。
日本はライフラインやインフラ,治安維持,医療,防災等日常生活を支える基本的な公共サービスが,その存在すら時々忘れてしまうほど充実しているが,その網にどうしてもかからない人たちを救うために,壊れてしまう現場担当者がいることに思いを馳せたい。
最後に待望の降雨があって様々なものが潤い,水に流してしまうところがいかにも日本風か。
雨降って…
門脇麦がYOUで、お姉ちゃんが柳楽優弥みたいな話になるのかよーと思ったよー(監督が是枝裕和じゃなくて良かったねー)
公共料金で水道は最後の砦、自分も若い頃止められた経験があったことを思い出す(遠い目)
いつまでもあると思うな親とカネ(教訓)
小さなテロ
水道料金を滞納している人々の家の水道を止水する水道局員ととある姉妹との物語です。
自分はあまり自宅にいないので、水道代がかからない生活をしているので、滞納なんてした事もないんですが、今作に出てくる人たちはかなり滞納している人たちが出てきます。しかもわりかし逆ギレする人たちが多いのも特徴的でした。
メインは水商売で生計を立てるシングルマザーと幼い姉妹の一家、他にも家庭の事情や経済的問題、身勝手な理由で滞納する人たちがぞろぞろ出てきます。滞納している理由に同情できる人はほとんど出てきません。というか滞納なんて余程のことがない限りしないと思うので、それなりに問題がある人が滞納してるのかなぁとなんとなく現在とリンクしたなと思いました。
主人公も過去に家庭を置き去りして過ごしていた事をこうかいしつつも、流れるように仕事をしている事で色々中和している人物だなと客観的に思えました。
水道を止める事には抵抗は無いけれど、生きている意味を実感しているようには思えないのもなんだか辛い描写だなと思いました。
姉妹の健気に生きる姿が美しくも見えて、それでいて痛々しくも見えてしまいました。最初は水を汲んだり、節約に励んだりと、ダメな母親を頼らずとも強く生きているのですが、後半になってくると万引きに手を出したり、他人の家から水を盗んだり、犯罪紛いのところまで手を出してしまっていたので、母親に近づいていってしまうのではないかと危惧してしまいました。
姉妹と主人公と同僚が一緒にアイスを食べたり、金魚の水替えをしたりするシーンは微笑ましかったです。
母親は全くを持ってダメ親なので、子供たちの面倒は見ているようでほとんど放置していますし、金稼ぎの水商売ではなく、恋愛としてに軸を移してしまっているので、完全に子供達のことは置き去りにしているのもダメだなぁ、救いようがないなと思いました。
終盤、流れを変えたくなったという変化と共に、主人公が姉妹と一緒に小さなテロを起こします。止めている水道を解放してばら撒くのはなんだか爽やかな絵にも見えました。結局取り押さえられて警察へ突き出されますが、どっちかって言うと児童を連れ回した方が事件性としてはデカいのかなと思うと、しっくりこない部分もありました。
出所までのスピードだったり、突然の留置所へのぶち込みだったり、色々と急で雑だなと思いましたが、オチへの持って行き方は良かったなと思います。
姉妹も行くべき場所が決まり、同僚は守るものが出来て、主人公は息子と再会する、ヘビーな内容だった中盤からは想像できない光の射すラストでした。
役者陣の演技も素晴らしく、生田斗真さんの死んだ魚のような目をした、それでも流れを変えるために生きる表情の変化が素晴らしかったです。
門脇麦さんもダメな母親の熱演が最高でした。そこまで登場シーンは多くないですが、とても印象に残りました。
最近観た「なぎさ」にも出演されていた山﨑七海さんも良い味を出していました。儚げな表情、背伸びして妹を守ろうとしている姿がとても良かったです。これからの邦画界を担っていく存在になっていくと思います。
良いところもあれば、引っかかるところもある作品でした。水道代が無料になれば良いのになという気持ちはありつつも、水道局の人たちの生活のためにしっかり支払った方が良いんだろうなという何重にも考えさせられました。
鑑賞日 6/4
鑑賞時間 13:50〜15:40
座席 G-1
柄本明は出ていなかった
予告篇からこの少女たちは辛い境遇にあるんだろうなと解っていたので、最初の水のないプールで楽しそうに泳ぐ振りをする姿に泣けてしまった。そして最後のプールに飛び込むところでも泣いてしまった。
「怪物」「渇水」と子どもたちを描いた作品が続いた。
子どもたちは素晴らしい。
磯村勇斗の明るさが救い。ほんと最近よく出てますね。
柄本明さんは出てこなかった。
あなたは渇いてない?
前橋市水道局で働く男達の話。
ある家族の姉妹二人と水道局で働く岩切(生田斗真)、マニュアルに忠実な岩切だけど姉妹との出会いで心の変化が、後輩の木田(磯村勇斗)を交えた切ない、ちょっと悲しいストーリー。
原作は小説、30年越しの映画化。
本作の映画予告を観た時に凄く楽しみにしてた1本。個人的には同日公開の「怪物」よりも楽しみにしてた!
水道料金を支払えない家庭や店舗を周る岩切と木田、本作だと4ヶ月滞納で停水執行の為家庭、店舗と周ってたけどリアルも4ヶ月が限度で停水執行なのか?
水道料金を支払えないある家庭、そこに住む姉妹二人と出会い「停水執行」をする事になるんだけど、その家の母親(門脇麦)が、いい加減、いつまでも女、多少の小遣いは娘に渡すんだけど家には帰ってこない。そんなことから長女の気持ち荒んでく、長女ながらに妹を守ろうと万引き、人の家から水を盗む(真夏のカンカン照りでダムの水が少なくなり給水制限の為、公園の水が止められてる為)など。
姉妹二人が慰め合うこの描写を観て率直に思った感想はこんな幼い子達にこんな思い、気持ち、こんな事をやらせないでくれ!って、作品とわかっていながらも感情移入してしまった。
この万引きをしてる長女の姿を見た岩切、それまでマニュアル忠実、独り独りに情をかけてもしょうがないって考えだったんだけど、長女に言われた「大人、こんな社会大嫌い!」と言われた事で吹っ切れた岩切、止められてた水の止水栓を開け、最終的には会社の人間に取り押さえられる...だったんだけどその岩切の行動には人間らしさ、優しさがあり笑顔を失ってた長女の顔も笑顔を取り戻せてたから結果良かったのかな!?
岩切自身の渇いた心も少し潤って最後笑顔になれてたみたいだったから良かった!
長女の女の子がめっちゃ推しのノンに似てるなと思った!
【今作は前半は"停水"のシーンの度に心の潤いがドンドン無くなるが、後半は徐々に心潤う作品。孤独な水道局の男を演じた生田斗真さんのどこか寂しき佇まいから、”ある決意”に至る過程は宜しき作品でもある。】
ー 水道局の”停水”を行う仕事は、精神的にキツイだろうなあ、と思いながら観賞。-
◆感想
・夫に逃げられながら、娘達にはパパは船の長旅に出ていると言いながら売春をしている母親(門脇麦)。水道料金を滞納して”停水”。
ー ”中卒の夫に逃げられた女に、どんな真面な仕事があるんだよ!”と水道局の岩切(生田斗真)に啖呵を切るが、脳内で”子供を産んだ責任をキチンと取れよ!”と毒づく。門脇麦さんって、ヤサグレた女性を演じても巧いなあ。
それにしても、喫茶店で男(篠原篤)に優しくしてもらったからって、あんなに簡単に子供を置いて出ていくかな。
”アンタは夫と同じ水の匂いがする。あの人は鉄と火の匂いがするから大丈夫。”は印象的な台詞である。-
・マンションに住むボンボンが水道料金を滞納して”停水”直前まで行くシーン。で、恋人に水道料金を出して貰い、岩切に3万をクシャクシャにして目の前に捨てるシーン。
ー 無茶苦茶、腹が立ったシーンである。お前は一生”停水”だ!-
・岩切と一緒に”停水”に回る若き水道局員(磯村勇斗:毎週、この人が出演している映画を観ている気がする。良いもんなあ。)の情の厚さにやや心潤う。
ー ”停水”した上記女性の二人の娘を気遣い、アイスを買って上げたり・・。ー
<今作で、心が乾いていくシーンの幾つか・・。>
■岩切自身が妻(尾野真千子)と別居しており、彼自身の心が”愛しているのに上手く接する事の出来ない自分に似て来た息子”と会えずに干からびているのが伝わって来るからである。
そして、彼自身が幼い頃から親と上手く関係性を構築出来なかった事も彼の台詞から分かるのである。
■母親に捨てられた長女が、お金のない中、万引きするシーンは切ない。そして彼女が叫ぶように言った言葉。”大人なんか、大嫌い!”
■岩切が、毎日水をやって育てていた向日葵の花束を持って妻に会いに行くも息子からは敬遠され、海に行こうと言っても断られるシーンも切ない。
ー けれど、このシーンがラスト心潤うシーンに変わるのである。-
■何かが壊れた岩切が、”停水”の道具を壊し公園中に水を撒くシーン。
ー 虹が切ない・・。-
<警察に拘留され、水道局の上司から辞職を求められ、応じる岩切。
だが、彼の表情は何故か吹っ切れたように爽やかだ。
母親に捨てられた、施設に入所する事になった娘達からの絵手紙。
そして、息子から掛かってきた電話”海に行こうよ!”
今作のラストはやや心潤された作品でもある。>
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