劇場公開日 2022年3月25日

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「☆☆☆☆ 〝 アイルランド人は旅人だ、世界中にパブはある。だから♬...」ベルファスト 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0☆☆☆☆ 〝 アイルランド人は旅人だ、世界中にパブはある。だから♬...

2024年3月16日
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☆☆☆☆

〝 アイルランド人は旅人だ、世界中にパブはある。だから♬ダニー・ボーイのメロディーは、何処に居ても聴こえて来る 〟

人よりもある程度は映画を数多くは観ている方…とは思うのですが。この作品に関する事前の情報は特に此方には届いてはこず。気が付けば、アカデミー賞に多くノミネートされている…って事だけの知識。
元々、これまでの監督ケネス・ブラナー作品が個人的に好きではないのもあって、それ程の期待もしてはいなかった。

いや〜とても良い作品でした。今年のアカデミーノミネート作品だと、ネット系作品に対する拒否感覚は未だに根強いだろう…との予想もあり。更には、現在のウクライナに対するロシアの侵略行為が、民族間の差別・対立から発生している事も考えると。スピルバーグの『ウエストサイド…』に時流は流れているのでは?と思っていたのですが。この『ベルファスト』の受賞の可能性もかなりあるのでは?との思いを強く持ちました。
例え無理だったとしても、ジュディ・デンチとキアラン・ハインズの助演男女優W受賞の可能性は高いとの思いを持ちました。
アラン・ハインズ、、、良かったなあ〜

ベルファストの街で、ひっそりと暮らす小さなカトリックのコミュニティー。そこにプロテスタント集団が襲いかかる。
同じ民族同士であるのに、宗教観の違いと言うだけで流血や略奪の限りを尽くす悲劇。
そんな時代背景をバックボーンに、幼い少年が初めて迎えた少女との淡い恋物語がとても良かった。

お祖父さんとお祖母さんの、少年を諭すように話す《恋とは何か》を伝える人生訓の深さ。
間違った行ないに対して毅然とした態度で叱るお母さんと。普段は頼りなさげなのだけど、いざとなったら暴力主義には絶対に屈しない父親の強さ。
それらが渾然一体となり、未来へと向かって〝 月を目指す 〟

ケネス・ブラナーの演出は、つい先日に公開された『ナイル殺人事件』の時にも感じられたのですが、この作品でもかなりアクの強い演出。
特に印象が強かった演出として。まるで加藤泰監督作品のように、人間・車・バス・建築物等を、下から煽る様に撮っている場面が随所にあり。必然的に空が映る場面も多く、その際には重苦しい雲が空を覆っているところ。
その辺りのアクの強さに苦手意識を覚えると、少しずつ気持ちが作品から離れてしまうかもしれない。
とは言えそのアクの強さが、時折感じる異様な力強さへと繋がっていたのでは?とも感じました。
本作品はそこが最大の見所だったと思っています。

知識に乏しいので、ひょっとしたら間違った考えにあたるのかもしれないのですが。作品の中で暴力主義を掲げる集団が、後に泥沼の争いを繰り広げる【IRA】の過激派グループへと移行する事を示唆していたのかもしれないですね。
(ググッたら、IRAそのものは1919年の発足で。その運動がより過激化したのは、作品中に描かれていたと思える時期だったみたいですね)

2022年 3月25日 TOHOシネマズ錦糸町楽天地/スクリーン12

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松井の天井直撃ホームラン