劇場公開日 2022年1月28日

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「井上昭監督を偲んで」殺すな 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0井上昭監督を偲んで

2023年1月18日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

井上昭監督
1月9日脳梗塞と肺炎のため京都市内の病院にて93歳で他界

初鑑賞

52分

原作未読
原作は『たそがれ清兵衛』『隠し剣 鬼の爪』『蟬しぐれ』『武士の一分』『必死剣 鳥刺し』『小川の辺』の藤沢周平
監督は『眠狂四郎 多情剣』『子連れ狼 その小さき手に』の井上昭
脚本は『座頭市(1989)』『あ・うん』『子連れ狼 その小さき手に』の中村努

江戸の長屋
かつて不義の疑いの妻を斬り殺し悔いる浪人と駆け落ちの男女
夫に居場所がばれ女は橋を渡り家に帰っていく

愛しいなら殺してはならん
至極当たり前のことである
しかし飛び込んでくるニュースの数々を知るとその当たり前のことができない人は世の中にわりとたくさんいることに引いてしまう

メインは柄本佑安藤サクラ夫婦演じる訳あり男女
主人公の浪人はいわば狂言回し的な役割をしている

安藤サクラが物憂げにボーとしていることが多いのだが声をかけられハッとするリアクションが良い
浪人に身の上話を聞かされ眉間に皺を寄せるあの表情も良い

本田博太郎の粘りっこい演技はいつも以上

男の方が悶える柄本安藤夫婦の濡れ場は妙な説得力があった
今にも出そうな感じは上手に表現できていた

なんてことはない話かもしれないがまず第一に映画は好きな役者の芝居を楽しむもの
玄人からすればなによりも脚本だろうが尾上松之助や片岡千恵蔵の時代から考慮すると昔から多くの映画ファンはそうではあるまい
その点で安藤サクラと本田博太郎は最高だった

長屋で筆作りの内職をしている浪人・小谷善左エ門に中村梅雀
お峯と駆け落ちした船頭の吉蔵に柄本佑
利兵衛の妻でありながら吉蔵と駆け落ちした多情な女・お峯に安藤サクラ
料亭・有明屋の女将おはなに中村玉緒
小谷善エ門の妻に佐藤友紀
船宿・玉木屋の主人でお峯の夫の利兵衛に本田博太郎

野川新栄