劇場公開日 2021年12月10日

  • 予告編を見る

「あったかい気持ちで見られる映画。」ニューイヤー・ブルース yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0あったかい気持ちで見られる映画。

2021年12月16日
PCから投稿

今年202本目(合計266本目)。

ここでの特集にもある通り、4組のカップル(国も違うが、韓国映画です)のすれ違いや恋愛をテーマにした内容。中国やアルゼンチンなど色々出ます。
そのため、韓国語や英語はもちろん、スペイン語やドイツ語、中国語まで出てくる(韓国語以外はすべて、<~~~> と<>囲みの扱い)という「多国籍映画」です。

ストーリーの流れ的にこの4組のカップルがほぼ順番に描かれ、そして最初は何の関係もないと思われる4組が微妙に交差したり…というストーリーで進みます。ただ、上記の事情から、韓国、中国、スペイン語とはっきりしていることと、「その国ならではの「よくある背景やよくある発言」」が多いので(ナイアガラの滝に行ったりなど)、突然ストーリーがワープするというということもなく、比較的理解しやすいのではないか、と思います(時間軸も、タイトルの「ニューイヤー」(新年)に近づくように、数日前(5日くらい前)から各1日進み、その1日ごとに明示されるし、原則逆戻し描写もない)。

特に不穏当な表現や描写もなく一般指定ですし、放映されている映画館自体が少ないものの、「結婚することだけが幸せなのか」「正社員になることだけが幸せなのか」といったテーマも背景に存在し(ただ、パラリンピック選手の描写に関しては、「健常者のように写真映りするとまずいから義足の部分を目立たせるようにしろ」というのは、やや評価がわかれそう)、単に「観ているだけでハッピー」な映画でもありますが、一方で裏側にあるテーマもそれなりに考えさせるところがあるのが韓国映画で、やはりこの点、日本と隣国という事情もあるのか、リアル世界では仲が良くない今日この頃ですが、エンターテインメントの中では競い合って欲しいものです。

なお、日本以上にIT技術、特にスマホアプリの使い方が進んでいるという事情、さらに、日本と異なるSNSの使い方(カカオトーク等)もあるので、ある程度はSNSの知識が必要かもしれません(あれば有利程度の話。翻訳もあるし、わからなくても本質論でもない)。

評価は下記が気になったものの、大きな傷ではないのでフルスコアにしています。

-------------------------------
(減点0.2) この映画、「よくわからない日本語訳」がかなり多いです。
 警察署?らしきところで「国民請願法に基づき…」という部分。日本では憲法で請願権が定められていて、これに対応する形で請願法が存在しますが、書面による提出を要求しています。それは韓国も同じです(韓国憲法にも同趣旨の条文があり、それに対応する請願法もあるが、やはり書類提出を要求している)。ところが述べているのは口頭。

 一方で日本の行政手続法に基づくものと考えると36条の3が該当しますが(法に違反すると思慮する場合の行政指導の発出の申し出)、これも書面提出が必要です(韓国にも行政手続法はあるようですが、日本の36条に該当する条文があるかは確認が取れず)。口頭で良いのかどうか正直よくわからないところです。

 また、作内では横領事件も発生しますが「8000万ウォン持っていかれた」という通報に対して「強力課で対応しよう」というセリフ。「強力課」も混乱しそうです。「凶悪課」の誤字かなと思ったのですが、金額が高くても詐欺・横領は「凶悪」事件とは言いにくいので、何なのか事前に把握していないと混乱しそうです。

 ※ 韓国映画(警察もの)全体を見ると「強力課」という語自体はどうも存在するようで(日本語に直した場合の話)、主に凶悪事件など(誘拐事件や大規模違法薬物製造レベル)に対応するのが「強力課」であるようですが、詐欺横領でそれが出てくるか…というとスレスレな気がします(ただ、金額的に境界線にある(日本円では800万円相当)ことも事実で、そう解釈するしかないようです。さすがに韓国の警察事情まで把握している人もそうそういないので、字幕はもう少し工夫して欲しかったです)

yukispica