ある男のレビュー・感想・評価
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鏡とDNAとアイデンティティー
米田、武元、谷口、武元・・・3回も苗字が変わるという不幸にも挫けずに健気に生きる明るい悠人。そしてバトンは渡された?悠人視点から観ても面白いかもしれない今作品。城戸弁護士(妻夫木)が在日だったという事実とアイデンティティーの苦悩が中心とはなっていますが、父親不在という不幸にもめげない悠人の表情も良かった。
原作は未読なので知りませんが、そもそも戸籍を交換するなんてのは出来るのか?思えば、横溝正史なんかの推理小説では戦後混乱期に戸籍を変えたり成りすましで混乱させるストーリーが多かった。デジタル化の進んだ現代ではどうなんでしょう。そして、窪田正孝が原、曾根崎、谷口と名を変えてまで過去を消したのなら、武元家に入った方が無難だと思うのですが、と疑問に感じてしまいました。
窪田正孝演ずる原誠がプロボクサーをやっていた過去。偶然なのか必然なのか、里枝役の安藤サクラも『百円の恋』で素晴らしいボクシング演技をしていたが、中学時代からボクシングジムに通っていたらしい。また、安藤サクラの夫・柄本佑と妻夫木聡はボクシング仲間であり、窪田ともボクシングを楽しんでいるようだ。ちなみに仲野太賀もボクシングジムに通っているそうだ。
サブストーリーとして、在日外国人に対するヘイトスピーチだとか、生活保護の問題をいかにも社会派作品として盛り込んでありますが、それほどの効果はなかったように思う。義父(モロ師岡)に在日の嫌味を言われても耐え忍ぶ城戸。そこまでの父親なら、普通なら結婚には猛反対していそうだが、細かな点で不自然さがあった。
しかし、過去を消してしまいたい男と、帰化した在日3世を表明している男はある意味両極。城戸の苦悩というよりも、名前を変えてみることの意義深さに共鳴したラストのバーのシーンが興味深い。
何となく小説は面白そうなのですが、映画にする歳にはもっとミステリー色を濃くしたり、スリリングな展開が欲しいところ。ちょっとパンチが足りないといった感じです。
それにしても「ある男」とは誰のことなのかも気になります。本物の谷口大祐ではなさそうだし、偽物の谷口大祐でもなさそうだし、やっぱり登場しない曾根崎か?
あの絵
考えさせられる映画でした。
また、違和感を残してくれる映画でもありました。
鏡に自分の後頭部がうつる訳ない。
ホントにそうなのかな。
目の前に間違いなくいるのに、他人だと言われる。
恵まれた環境に見えるでしょ、でも辛いんです。
過去は変えられない、生まれてきた事実もまた同じ。
自分の戸籍を捨ててでも、変えたい環境。
死ななかっただけよかった、短くても幸せな日々を過ごせて。
心を抉られる度合いは人それぞれ。
耐えられない時は逃げていいんですよね。
一方で幸せも逃げていきます。
幸せはできるだけ長く離したくないですね。
永遠という言葉はなぜあるんでしょうか。
絵は語る
⚫︎注意⚫︎すごくネタバレですので鑑賞後の方向けです。
………
里枝は子供の死、離婚を経て故郷に戻った。
心の傷はまだ生々しく店番中にもはらりと頬をつたう涙。
気丈にしている隙間からこぼれてしまう苦しみに、たまたま客として訪れた彼は気づいたのだろう。
同じにおいが引き寄せるものを感じさせたのかもしれない。度々立ち寄るようになり友達になってくれませんかと名刺を渡す。
彼の名は「谷口大祐」
停電に遭いブレーカーの様子をみてくれた大祐と距離が近づいたとき、里枝はほのかな気持ちが走るのを自覚した。
そして、その様子を感じた大祐。
彼はすでに里枝に惹かれはじめていた。友達以上に…
付き合いはじめ、飲食店で自分のことを語る里枝。やり場のない思いを吐露するほどに震えてしまうその手をあたたかく包み込む大祐。
車の中で気持ちのままに寄り添うが、窓に映る自分をみて大祐は、自分に似た父を思い出す。根深いトラウマが彼を襲う。その理由を問うことなくおびえる背中を抱きしめる里枝。
二人の空気感は湿り気を帯びた静かな思いやりに満ちていた。「僕がいるから」「私がいるから」と互いの過去をそっとみえない場所にしまってやるように。
二人は新しい家庭を築いた。里枝の長男・悠人も大祐を慕い、娘も生まれた。
穏やかな表情で大祐の出勤を見送る里枝。やさしい笑みを返し出かける大祐。二人は、そして家族は間違いなく安らぎのある幸せを手にしてた。
里枝は目の前の大祐をそのまま愛した。
大祐もそんな里枝を愛した。
思春期に入った悠人も大祐を慕い義理の父との家族愛の中にいた。
そして訪れた大祐の不慮の死。
この死により、大祐がある男〝X〟となり、未来が途切れた男の過去にむかって歩み出す。
里枝は夫の事実を知ろうと、以前世話になった弁護士の城戸に依頼する。調査の過程で城戸は服役中の囚人詐欺師、小見浦と面会する。
(ここで柄本さんの壮絶憑依が炸裂(O_O))
その凄みは圧倒的だった。
社会の裏のさらに奥の暗がりから、知り尽くした俗世をほくそ笑んでいたぶる語り。全てを握りしめたように相手を転がし弄ぶ意味深な目つき。
冷静で穏やかな城戸が完全にペースを盗まれ、落ち着きをなくし、脈を乱されてしまう。
なぜか?
そう…
ある男Xがなぜ大祐として生きていたか という話なのだと思って観ていたら甘かった。
中盤から怒涛の展開がくる。
しかし、あからさまな嵐ではない。
呻めきながらじわじわと手が伸びしのび込んでくるような地下の奥深くに疼く黒い雲のようだ。
小見浦がその暗がりで振り返りながらひっひっひと肩を揺らし、鼻で笑うのが聞こえそうだ。あんたにも覚えがあるやろと。
城戸はある男X をつくりあげた過去の消えない生い立ちと現実社会を夢中で調べながら、オーバーラップする自分の内なる声に気がつく。夢中だったのは共感に近かったからだろう。まるで自分自身の内面に切り込みをいれて剥がしていく作業にみえた。
後から気づく、いくつかの印象的なシーンがある。
城戸が里枝の車で迎えに来てもらい、ハンドルを握る里枝の指に結婚指輪がうつる。
完全に城戸の目線だ。
里枝と大祐に関わりながら
なにか羨ましさのような感覚がみえる。
外食先、妻の不倫を密かに見つけ、知らぬふりをする城戸。既に妻との愛情にすでになんらかの不安定さを肌で感じていたのではないか。妻もだ。
その状況で携帯を置きっぱなしにするのは、確信犯だ。問いただしたりせずに気持ちを置き去りにする夫の姿を確認するだけ。妻がいちかばちかのようにわかりやすく振り向かせたかった為の行動だったのかもと思う。(きっと、咎めて欲しがったんだろうね。)
世間的には、弁護士として不自由なく暮らし妻と子にも恵まれている城戸。
しかし、その肩書きの世界の虚しさと本当の愛情の在り方に自信をもてずに戸惑っていたのだろう。彼のストレスの根底には、脈々と受けてきた国籍の壁の厚みや高さが関係している。
妻の親との何気ない会話に潜むいやらしさや、愚かなヘイトスピーチ、やまない偏った情報、見透かすような小三浦との会話などで溜まり続けていく。
セリフの中で、とうに帰化していることも告白しているが、
「切っても切れないものが世にはある。」ことをさらに強調したのだろう。
また、息子と仲良く遊ぶ優しい父でいたかと思えば、ヒートアップした幼い子の失敗に怒鳴る。妻は息子を擁護しながら、家庭に仕事を持ち込みすぎていると怪訝を示す。
疲労にストレスが重なる状況になれば、理性を失い着火したかのように一転してしまう、人間の弱さ、表裏一体性も顕になった。
あの人が。。。という事件がたまにあるが、きっかけは意外にそこら辺に転がっているかもということがわかる。
(ストレスの影響といえば、大祐が里枝といる車中以外にも、ランニング中に倒れるシーン、茜といる部屋で鏡に映る自分をみて苦しむシーンでコントロールできないくらい体を支配してしまうことを表していた。大祐の場合は殺人を犯した実父とのつながりで、本人の罪ではないのに切り離せずつきまとう悲しい現実だということも。)
そして
大祐の過去を全てを知ったとき。
大祐への愛は愛のままだった里枝。
泣く悠人に正直に話し息子の気持ちを抱きしめてやる里枝。
(そうそう、姿を消していた本物の大祐のことも再会した美涼は許したね。)
僕たちは誰かを好きになるとき
そのひとの
何をみているのだろう
そのひとの
何を愛するのだろう
…あの人と幸せに過ごした事実は事実
本質に向き合った里枝のその気持ちにじんときた。
わずかな歳月、そんな里枝と過ごせた大祐の感情を愛おしくかんじた。
そして、里枝と新しい家族の愛を胸に大祐が安らかに眠ってくれてることを信じたい。
とある美しい夜のバー。
グラスに揺れる氷の透明さ。
はじめて語らう紳士たち。
楽しげな時間がおわり
抽象的な絵画の前で立ち止まる男は城戸。
ある男を眺めるある男
そのある男を眺めるある男・城戸。
その城戸を眺めるスクリーンの前のわたしたちも抽象的で象徴的な絵画の前に立つ。
互いの真実は誰も知らないまま…
(修正済み)
消したい出自
親も、国も、生まれた時には選べない。生まれてくる環境の中で生きていくしかない。それは辛い、過酷な運命かもしれない。自分に対する評価じゃなく、何とかの子だからと、正当な評価じゃない、自分じゃどうしようもない言われようが付いてくる。本当の自分を捨ててでも‥。
ブッキーと窪田正孝、柄本明は役にハマり切っていたと思う。さり気ない表情ひとつにも、その人が現れていて、何か暗いものを隠して悟られないように必死で生きているけど何かあると思わせるような。この3人みているだけでも面白くて、ワクワクしちゃった。
窪田正孝って痩せすぎのイメージあったんだけど、めちゃくちゃ身体作っていてビックリ。ボクサーだったわ!大変だったろうな!
城戸が自分を見失う物語としての考察(空想)
窪田正孝演じる谷口の描写に「出自や肩書きなどに囚われてはいけない、その人がどう生きているかが大切」というメッセージを読み取ることも出来る。だが、本筋は主人公城戸のアイデンティティが揺らぐ過程であるように思えた。(原作未読なので、あくまで映画本編のみでの個人的印象)
印象的に使われるマグリットの「複製禁止」の絵、それにそっくりな城戸の後ろ姿のカットがしきりに出てくることを考えると、あの絵は城戸の心の象徴だろう。鏡に正対しているのに、自分の顔が見えていない。
窪田正孝の作り出した闇が強烈でダブル主演のように見えてしまうが、彼の存在は城戸をアイデンティティの迷路に迷い込ませるための凝った舞台装置とも言えそうだ。
弁護士という社会的信頼度が高い職に加え、逆玉の輿と言っていい結婚(しかし最初からあまり幸せそうではない、谷口の家庭を見た後では特に)などを見ていると、城戸は自身の社会的アイデンティティに無意識のレベルで不安があって、絶対に崩されないレベルのスペックで身辺を固めたのでは、とも思えてくる。
それが谷口の件と関わるうち、彼の出自への絶望に知らず知らずのうちに共鳴している自分に気付いた。
戸籍交換という表沙汰に出来ない手段で辛い出自から逃れ、短期間だが真に心安らぐ幸せを手にした谷口。
一方、元在日三世の城戸は、正規の手続で帰化して社会的地位も評価も手に入れた。妻の実家も金銭的な安心感をくれる。時折聞く在日や北朝鮮への日本人の口さがない物言いも、気に留めないようにしてきた。しかし、妻は仕事に理解がなく夫の行動を疑って詮索し、家庭の空気はどこか空疎だ。
心が揺れ始めた状態の中、何度も小見浦を訪ねる。彼は即座に城戸の出自を見抜いた上、弁護士であることなど歯牙にもかけずからかい、城戸の言葉を最後まで聞こうともしない。
乱暴な物言いの人間には仕事上接した経験も多いはずだ。しかし安定を欠き始めた城戸の心に小見浦の言葉が、声を荒げてしまうほどクリティカルに刺さるようになってゆく。かつては苦々しく思いながらも聞き流していた、一部の日本人の在日や北朝鮮に対する心ない言葉も、次第に流せなくなってくる。
とどめは妻の浮気だ。城戸がそれを知ったことに妻は気付かないまま物語は終わるが、彼は妻に浮気を問い詰めることは出来ないのではと思う。
あの妻の実家の太さと付き合いの距離感は、夫婦関係の公平性にも影響を及ぼしていそうだ。それに彼ら義両親は、社会の中で城戸の不安定な自我を守る殻の一部でもある。
もとの自分の在り方に確信が持てなくなり、どんどん息苦しくなって、かと言って現実を打開する行動も取れないから、彼はバーにいた見知らぬ人間の前で谷口を複製し、ひとときの間現実逃避をした。谷口の得た幸せ、妻の里枝からの信頼への羨望があったのかも知れない。
出自や肩書きに囚われないことの大切さを谷口が表しているのに対し、城戸はそのことの難しさを体現しているとも言える。
贅沢なキャスティングで安心して演技を見ていられたが、やっぱり柄本明は別格。頬杖ついて睨まれただけで腰が抜けそう。面会室のシーンは「羊たちの沈黙」のアンソニー・ホプキンスを思い出した。キャラクターの品性はだいぶ違うけど(笑)。
窪田正孝は父親役も演じていたが、父親の時の目のギラつき方が谷口の時とは別人で驚いた。さすがです。
面白かったけど理解するには難しかった
すずめの戸締まりの前に流れた予告が面白そうだったので鑑賞。
面白かったが、予告で期待していたほどではなかった。
本作では差別表現が使われているので人によっては不快感があるかもしれない。
特に、在日やハーフなどで子供の頃に嫌な思いをした人にとってはしんどい表現がある気がする。
PG12にすればよかったのに。
結論から言えば、出生や家系による差別を誇張表現した作品。
今どきの言葉で言えば親ガチャに該当しますね。
親が犯罪者、在日〇世、親が離婚してる、逆に親が地主や老舗の跡取りなど私が小さい時でもこれらの差別意識というのはあったと思います。
自分のせいではないそれらの差別から逃げて新しい人生を歩み出したい人たちの奮闘を覗き見たような作品です。
窪田正孝さんが演じていたキャラが死ぬまでの描写が微妙で、がっつり削るか、もっと詳細にするかどちらかにして欲しかった。
キスシーンからの場面転換で知らん間に小さい女の子が登場して混乱した。
序盤に谷口里枝が石ころを思いっきり蹴って車にぶつけた後逃げるシーンがあるが意図は何だったのだろうか。窪田正孝さんの役が描く絵を子供がそのまま大人になったようと表現したように、谷口里枝もまた子供がそのまま大人になったということなのか。
城戸香織の両親との食事シーンがあったが、香織の父親は過激派の日本人という感じですかね。「生活保護制度がそもそもおかしい。在日は簡単に生活保護を受けれるのに云々。」
日本人からすれば、言わんとしていることは理解は出来ます。ただ、厭味ったらしい日本人のネガキャンなのか在日のネガキャンなのか正直分からなかったです。
城戸章良弁護士の勘が悪すぎる。
「城戸章良はなんで窪田正孝さんの役が戸籍を一回しか変えてないと決めつけてるのか?」
「小見浦憲男は仲介人なら当然本人も変えてるのではないか?」
と私は早々に疑問を抱いてしまった。
柄本明さんは腹立つイカれた老人がはまり役で良かった。
小藪さんは申し訳ないが、つらつらと喋ると新喜劇を思い出してしまって個人的には残念だった、ムロツヨシさんの方がよかったかもしれない。
余談だが、青春時代に見ていたキラキラした俳優さん女優さんもおじさんおばさんになったのだなとしみじみ感じ、自分も年を取ったのだと実感してしまった。
倍速で見たい作品。
正直ダルい。テンポが遅すぎて度々脱落しそうになる。構成と脚本の問題。窪田正孝が亡くなるところから始まる、くらいの構成じゃないと。
せっかくいい主題なのに、ほんとうにもったいない。今の自分ではない人生を生きたい、「生き直し」たいと思う人は、確かに多いはずだ。格差、差別、貧困。ポンジュノ「パラサイト」、ジョーダンピール「アス」、是枝「万引き家族」らとも通底するテーマ。でもせっかくのテーマを掘り下げきれないまま、冗長なセリフ回しと、意味ありげな(でも大した意味のない)ゆるいカットで、ただただ尺だけが長い印象。
こういう作りしてるから、映画を倍速で映画見る人が増えてるんだろうな。Netflixだったら確実に倍速で見る作品。
誰かも指摘している通り、死刑囚の息子である事の悲しみや苦しみ、在日3世の苦しみ、といった描写がない(弱い)から、観客の想像で心情を読みとくしかない。仲野太賀の苦しみって何なんだ?結局。
一方、役者陣の芝居はしっかり。妻夫木、柄本、安藤サクラ、みな素晴らしい。小籔もいい味つけ。
ラストも腑に落ちない。
その後、妻夫木も戸籍を変え別人として生きている、ということ?妻に浮気されて今の暮らしがイヤになったから?
浮気された夫、と、死刑囚の息子を同列にしちゃっていいのか?
それでいいのか?
知る事が全てではない
ある男
ファーストカットの絵画
奇妙な絵だ。
鏡に顔を向ければ自分の顔が見えるはず
それなのに鏡の中の自分の顔は見えずに
背を向けている
「まるで自分で自分に向き合っていない」気がするし
「自分の顔が見えない」=私は誰なのか?
「ある男」
優しい再婚した夫は
不慮な事故で死亡する。
その後。夫の名前は偽名で「何者」なのかもわからない
離婚の際にお世話になった弁護士に
夫の正体を依頼する。
絶妙なミステリードラマ。
真相に迫ると
過去のトラウマで生まれ変わるしかなかった
心情が心に迫る
個人的な意見で
「本物の谷口大祐」側の物語も見てみたかった。
WOWOWでドラマ化しないかな。4話ぐらいで。
同じキャストで。
そして最後だ。
彼はバーに飾られた絵が目に入る。
ルネ・マグリット「複製禁止」
映画の公式サイトを開くと
まるでこの絵のようなデザインに
なっている
3人の人間の後ろ姿だけが映し出される。
——あっ「複製禁止」
改めてみるとまさにオマージュと感じた。
結局、曽根崎はどこ?
結婚した相手が偽戸籍だったので誰であるかを調べた結果、やっぱり調べなくても良かった、一緒に暮らした日々さえあればみたいな感想を述べることも、死刑囚の実の孫であることを娘に伝える役を息子に買って出させるのも、被害者ではありますが、無責任な母親だなぁと思いました。
調べる前から、偽戸籍である事情がポジティブであるわけがないとわかっているはずで、自身が犯罪者でなければ家族に犯罪者がいることくらいしか思いつきません。映画の予告編を見た時点でそう予想していましたが、結局その通り。何の罪もない死刑囚の息子が苦しむ軌跡を辿って理解したつもりになっただけ、何も誰も救われません。将来、娘は、戸籍の父親欄が空白になっているか死刑囚の息子の名前が入っているのを知るわけで、父親違いの兄から何言われたとしても、新たな悲劇しか待っていないでしょう。
それと、妻夫木聡扮する弁護士が在日三世と一目で見抜かれるというシーンに驚きました。全く見えないですからね。でも、戸籍偽造業者は会う度に「在日、在日」と連呼して五月蝿いし、在日問題を死刑囚の子供と同列視しようとしているのか、とても違和感がありました。
ラストシーンで弁護士が温泉宿の次男坊を名乗っているのにも呆れました。浮気かつ託卵かもしれない妻に嫌気が差したので、逃げてるんですかね?
で、結局、曽根崎はどこの誰なんでしょう、スッキリしないんですが。
サスペンス?ミステリー?社会派ドラマ? 主人公が途中、里枝から城戸...
サスペンス?ミステリー?社会派ドラマ?
主人公が途中、里枝から城戸弁護士に替わり、心理ドラマっぽくなる。
男の正体が分かってからの後半は冗長。
詐欺師とのやり取りは病んだ心の作り出した妄想のように思える。
無神経な義両親に心を削られ、自分の出自を責める声が聞こえるのかと。
キャリアも全て捨て去るほどに。
本物の谷口大祐の兄も相当な無神経ぶり。
眞島さんの空気読めないっぷり。ああいう人いるいる。
里枝の娘は家族が心優しいのが救い。
名前って何だろう。
_φ(・_・不安になったよ。
考えさせられる映画だった。
対比する映画は『ドライブマイカー』だと思う。
あの映画は過去の辛い思いをどうやって折り合いをつけるかってのが描かれていたと思います。誰かとそのことを話す事でその辛い思いは忘れはできないにしろ昇華していくのが描かれていました。
この映画も辛い過去や出自などの逃れられない事に対してどう折り合いをつけるかっていうのがテーマなのかなぁと思います。折り合いをつけるには現在の自分の状態が正常に存在するか?アイデンティティが確立されているかどうかなのでしょうね。里江が折り合いをつける事ができたのは長男の誰だかわからない父が死んで『さびいしいね』の一言と娘の存在が大きかったのでしょう。誰だかわからない父を憎むのではなく、寂しいという現実が折り合いをつけたのだと思います。息子にとって誰だかわからない父ではなく優しい父だったのですね。泣けました。
問題は弁護士の城戸。在日という逃れられない出自、家族は彼とは真逆の人間。妻は浮気、義理の父は差別主義者。彼は折り合いをつける事ができない。孤立した人間だから。
ラストは孤立した人間はどうしたらいいの?という視聴者への問いなんでしょうね。
どちらかと言うと私も孤立しそうな人間で帰り道車を運転しながら不安になりました。
たかが名前、たかが戸籍
観た直後より少し時間置いた方がじわっとくる気がする。名前とか戸籍とかただの人を識別するための記号でしか無いのにやたらと重たい。戸籍ロンダリングって新しい人生を手に入れるというよりこれまでの人生を捨てるってことなのか。
彼はこれまでの人生をちゃんと捨てられたんだろうか。鏡を見て傷つけたくなる自分を最後の3年9ヶ月には捨てることが出来ていたと信じたい。
ホンモノの谷口大祐は何を捨てたかったんかな。家族と上手くいってないことはわかるけど戸籍ロンダリングしてまで捨てたかったモノってどれほどのものだったのかな。そして一切素性がわからない曽根崎という人も。小見浦も。
一方で城戸さんは?在日3世という生い立ちや妻の浮気という現実を捨てずに生きられるのだろうか。
いい映画
「いい映画」だと感じました。ネタバレは驚くようなものではないですが、妻夫木さん、安藤さん、窪田さん、清野さん、柄本さんなどなどキャストがすばらしく、2時間ほぼ引き込まれぱなしでした。
別の人物になる
石川慶監督。
勧められて、なんとなく観たけど、めちゃくちゃ面白かった。
色んな理由で戸籍も変えて別の人物になり、別の人生を歩みたい人の話。誰もが想像はするなー
殺伐とした話なのかと思ったらなかなか考えさせる終わり方で話の伏線もきっちりしてた。
柄本明の不気味さが際立ってた。
ラストのオチの意味は
映画の評価は、時によっては、作品の内容云々よりも、自分が想像していたストーリーでない時は評価が下がったりもするものだ。
そして本作の批評は、オイラにとってはまさにそれ。
ミステリーでの謎解きを期待したが、そういうものではなかった。
【以下、思いっきりネタバレ注意】
そして、ラストのバーでのオチ。みなさんのレヴューを読んでいると、失礼ながら勘違いされている方が多いのでは?
弁護士の城戸は、「私は、伊香保温泉の次男坊で……」と、谷口大祐を連想させて終わるわけだが、あれは、あくまでもそう擬似的に語ってるわけで実際はそうではありませんよね?
何故って、城戸が事務所で書類を叩きつける温泉の兄と谷口里枝と3人で話しをしてます。
大祐なら兄は、当然気が付きますよね?
(オイラの勘違い?)
確かにそれならそれで、恐るべき偶然の確率ではあるもののミステリー好きのどんでん返し作品としては、もしかしたら成立するかもですが。笑
それにしてもやっぱり妻夫木聡は素晴らしい。
“感動”だけでは終わらない、秀逸作
とても面白かったです。
根底には差別問題があり、身元不明の男「大祐」(窪田正孝)が長い間囚われていた苦しみが描かれています。
妻夫木聡演ずる弁護士の城戸と一緒に、物語が進むにつれ、まるで自分の足もとが揺らいでゆくようでした。
里枝(安藤サクラ)とその息子との爽やかな結末とは他所に、家に帰ってから、ラストカットの意味(おそらく)に気づいて震えました。
予告のわりには期待はずれ
それなりに楽しめるけど、映画やドラマ慣れしている人には、期待はずれのよくある筋書き。
また、内容にあまりリアリティが感じられない。死刑囚の子どもとして自分を責めているのに、家庭を作り女の子までもうけている。また、男の子を可愛がるのは、自分もそうしてもらいたかったからなのか?自分のことに精一杯の人間が、他者を思いやる余裕がそこまであるのか?
死刑囚の子どもとしての葛藤や苦しみ、また、おそらく父から受け継いだであろう激しい性格や、幼い時の子育ても含めた心のトラウマの面が描ききれていない。・・それが、映画の迫力を削ぎ、嘘っぽくさせている。
キャストの素晴らしさ
ヒューマンミステリーなので静かな映画だったが
窪田正孝さん、安藤さくらさん
そして妻夫木くんよ
妻夫木くんはこんな感じの静かだが内面に爆弾持ってるような役やらせたら天下一品やわ
話が進むごとに
榎本明さんや清野菜奈さん、仲野太賀さん、でんでんさん…
出るわ出るわ
名演オンパレード
小籔とかもちょうど良い息抜きポイントで
苦悩のあった人生だったけど
戸籍を変えることで
別人として生きる事で
家族、血縁の暗い部分は捨てれたのだろうか。
安藤さくらとの三年数ヶ月は幸せだったのだ。
血は切っても切れないと悩む大祐だったが
安藤さくらの息子、悠人と血の繋がりはなかったが
親子以上の関係を築けたことに
血より愛が優った。
妻夫木くんの奥さんがね。。。
この監督らしい終わり方だと思ったなー
ざわざわ感が抜けない
1番推しのブッキー主演作『ある男』
久しぶりに主演をはると聞いた時……
『キターーー!』と喜んだのを覚えてる😊
彼の芝居、声、仕草…全てが好きなんです😍
あの苦悩する姿とかも…。(推しの前置きはこの位で)
観終わって…
またやられたぁ〰️って気持ちにさせられる作品でした。
ラストが気になる終わり方だし…なぜあの終わり方なのか?
原作未読の私には、またざわざわ感が残った。
窪田くんが謎の男としての存在感がとてもリアルで最後までどういう展開になるのか気になり、誰がどのように戸籍を交換したのかも途中、分からなくなり…
ボトルに名前を貼り説明する場面で少し理解が出来たりと…最後までホント目が離せませんでした。
城戸がファイルを叩きつける場面や面会場面での怒りの芝居にはドキッとさせられ心が締め付けられるほど悲しい気持ちにもさせられました🥺
ただ…一人に焦点を当てたのではなく、城戸にも謎な部分がある事を話を進めるにつれて分かり、あのラストはなぜあの様な展開になったの?
城戸も誰かになりすましたかったの?!
もう ざわざわ感のままエンドロールを迎えました😰
原作を読めば分かるのか❓
このざわざわ感は観終わっても残り…
他の方のレビューを見て少し落ち着きたいと思った。
幸い…Twitterで『ある男』公式さまより
ムビチケオンライン券を頂いたので
もう1回観るチャンスを頂きました😊✨
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