「ノブレスオブリージュ」劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM 後編 僕は君を愛してる @花/王様のねこさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ノブレスオブリージュ

2022年7月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

難しい

幸せ

2巡目の運命の乗り換え

リサイクルと言う言葉通り、アニメ版の大筋をなぞる形でストーリーが進んだ。

アニメ版よりも時系列に話が進むのでストーリー全体を把握しやすかった。

誰かの強い願いのために、運命が乗り換えられていく物語の設定が面白い。

前編ではプリクリ様の可愛さとペンギンの愛らしさで勢いに乗せられて興奮したが、後編では話の本筋に切り込んでいくので、一体全体どうして誰と何が関係してこの状況になっているのか、謎が解き明かされる。

誰からも関心を持たれない、愛してもらえなかった子どもたちは世界から認識されなくなり、透明になる。

自身がバラバラになることも納得してしまう子どもたちは、文字通り無垢で透明な存在。

何者かに慣れたはずなのに
何者にもなれなかったと審判が下された世界

そんな、誰かから関心を持たれなければ存在が許されない世界を真っ向から否定する
サネトシ先生

私が貴方を見つけて、愛していると語りかけてくる
おぎのめももか

サネトシ先生は自己肯定感を他者に左右される世界を否定しながらも、ももか達が他者を受け入れ、愛し合う世界に憧れがあるのかもしれない。

もし、サネトシ先生が理想とする世界を実現させるとしたら、それはとてもシンプルですぐにでも実践できてしまう。
単純に他人を無視して生活すれば良い。
関わらず、語らず、侵さず、侵されない距離感を保ちながら自分を生かすことだけに集中していれば済む話だ。
自分にも他人にも無関心でいられれば、サネトシ先生の理想とする世界は実現できる。

にも関わらず、ももかが手を加えた世界線にちょっかいを掛けに行くのは、自分と同じ次元で世界を見ることのできるももかにシンパシーの様なものを感じているのかもしれない。

実は他者を拒否するつもりで話しかけたことが、うっかり関係性を繋いでしまったり、他者への関心を持ってしまうことになったのかもしれない。

ももかちゃんも、なんだかんだ言いつつ、サネトシ先生を遠くへやるだけで存在を消し去ろうとはしないのだなと思った。

サネトシ先生とももかちゃんはもう、神様というよりも概念に近いのかなと思った。

光が眩しい様に
影が濃くなる様に

現象に名前をつけたら2人になりましたって感覚が近いのかもしれない。

2人に巻き込まれた関係者はたまったものでは無いけど。

時々、電車に乗っていると、自分の列車の隣を走る電車にのる人と目が合う時がある。

きっと、何か少し違えば、自分はあっちのれさ電車に乗っていたかもしれない。

生きる景色は毎日の何気ない選択で変わっている。
私達も毎日もがいて、選択をして生きながら、運命の乗り換えをしているのかもしれない。

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@花/王様のねこ