劇場公開日 2022年3月4日

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「アピチャッ“ポン!”」MEMORIA メモリア かなり悪いオヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0アピチャッ“ポン!”

2022年3月20日
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処女作『ブンミおじさんの森』でも感じたのだが、このアピチャッポン“音”に大変興味がある人っぽいのである。その興味が高じたせいかはわからんが、本作の主人公ジェシカ(ティルダ・スウィントン)が悩ませられる病気=脳内爆発音症候群という奇病にアピチャッポン自身かかってしまうのだ。その病気とコロンビアの山々が描く稜線を何とか結びつけられないか。そんな突拍子もない思いつきから本作は生まれたらしい。

爆発音の正体を探し求め、たぶん詩人だろうと思われるジェシカが、コロンビアのアチコチをふらふらと只彷徨うだけのお話し。といってもラストのとんでもないオチ以外、これといったストーリーはない。2時間ちょっとの上映時間中眠くてしょうがなかった、というのが正直な感想だ。人が眠っているシーンが多いことでも知られているアピチャッポン、観客が寝落ちしたとしても不思議ではない、静寂に包まれた作風は本作でも健在だ。

だがしかし、眠さをこらえてがまんにがまんを重ねたご褒美がまさか…テレンス・マリックもびっくりの理解不能なエンディングに、私のお目目も思わずパッチリ、すっかり目がさめてしまったのである。デビュー作でいきなりのパルムドール受賞、本作でプロデューサーをつとめているジャ・ジャンクー以下大物映画関係者たちも大いに肩透かしを食ったことだろう。

鬱蒼としげる木々や石ころに人類の記憶=メモリアが刻まれているという理屈はまだ許せるものの、それが『ツリー・オブ・ライフ』に出てくる白亜紀をも一気に飛び越えた時代まで遡ってしまうと、それとはまったくつながらないこれまでの展開は一体なんだったのかと、皆さん呆気にとられるはず。第一この映画、麻雀でもないのにやたらポンポンポンポン鳴きすぎなのだ。アピチャッポン、病気で○を少しやられちゃったのかもね。

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かなり悪いオヤジ