劇場公開日 2021年11月5日 PROMOTION

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花椒(ホアジャオ)の味 : 特集

2021年11月1日更新

父が急死した 葬式には、自分の知らない“妹”が
2人も来た――心が温まり、家族に会いたくなる感動作

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意外性のある物語に心をくすぐられ、登場人物の掛け合いにふくふくと笑わせられ、そして最後には強く、強く感動させられて――。11月5日から公開される「花椒(ホアジャオ)の味」は、上質な作品を求める映画ファンに特におすすめできる1本です。

ユニークな物語とそれに伴う感動、そしてキャストとスタッフの巧みな“職人芸”。この特集ではこれらの魅力と、微博(ウェイボー)フォロワー280万人を誇る映画ジャーナリストによる「本作がもっと楽しくなるトリビア」をご紹介します。「次にどれを観よう」と作品選びをしている人は、ぜひ参考にしてみてください。


【予告編】

見どころは【物語】 三姉妹が父の火鍋を再現するが…
辛くて、温かい――人生を美味しくする感動のひととき

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まずは物語と、どんなテーマが描かれるのかについて言及します。


[あらすじ]

旅行代理店で働くユーシューのもとに、いきなり「父が倒れた」という知らせが入る。大急ぎで病院に駆け付けた時には、すでに亡くなっていた。父リョンとは長らく疎遠になっていたが、最後に話すことすらできなかった。

久しぶりに父の火鍋店「一家火鍋」へ行き、遺品の携帯電話を確かめていると、ユーシューは少しばかり目を疑う。自分とよく似た名前から、度々メッセージが来ていたからだ。

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葬儀の日、会場に2人の女性がやってきた。一人は台北から、黒い服を着たクールなビリヤード選手ルージー。もう一人は重慶から、オレンジの髪の元気なネットショップオーナー、ルーグオ。彼女らは父リョンの腹違いの娘であり、これまでお互いの存在を知らないまま過ごした三姉妹だった――。

初めて顔を合わせた3人は、戸惑いながらもポツポツと父との思い出を話し始め、すぐに打ち解けた。一方で父の火鍋店はまだ賃貸契約が残っていて、従業員もいる。ユーシューは火鍋店を継ごうと決心するも、常連客の望む麻辣鍋のスープを作ることができず、客足が遠のいてしまう。ルージーとルーグオも加わり、三姉妹はなんとか秘伝の味を再現しようと奮闘するが……。


●にじむ感情を丁寧にすくえば、得も言われぬ感動が待っている

登場する三姉妹は、3人とも親や祖母と良好な関係が築けていません。会えばいつも辛辣な口ゲンカになり、プイと顔を背けて部屋を出ていってしまう……。

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しかし三姉妹で過ごすときはとことん楽しくて、火鍋を作りながら爆笑し、父の思い出話でしんみりし、自宅で飲み会をひらいてまた爆笑して。長く暮らす親には素直になれないのに、なんで、ほとんど初めて会う姉妹にはこんなに素直になれるんだろう――。

彼女らの感情の機微を丁寧にすくえば、見えてくるものがあります。くすくす笑って、ポロポロ泣いて。じんわりゆっくり温まり、ときどきピリリと痺れる。コロナ禍がまだまだ続きそうな今日このごろ、映画館で“胸に染み入る感動”を味わってみませんか?


【映画ファン必見】綺羅星のようなキャスト・スタッフ
本国で映画賞を席巻した、最高品質の良作の源泉は

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●三姉妹は“美しき個性派”ぞろい 脚本・監督は最注目の新鋭

主役となるユーシューを演じたのは、歌手として絶大な人気を誇り、女優として「インファナル・アフェア」シリーズで存在感をみせたサミー・チェン。父とのわだかまりを解決できなかった後悔からか、人の優しさをうまく受け取れないユーシューが、姉妹との関係のなかで“心の氷”を溶かしていく過程を繊細に演じています。

さらにクールビューティーなルージー役は、俳優・歌手・モデルとして活躍する台湾のマルチアーティスト、メーガン・ライ。「あの頃、君を追いかけた」など、日本でも知られる存在です。周囲をパッと明るくするルーグオ役には、中国の女優・司会者であるリー・シャオフォン。さまざまなバラエティ番組で司会を務める人気者で、女優としても「芳華 Youth」(2017)での“軍の文芸工作団員”役で鮮烈なインパクトを放ちました。

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そして個性派ぞろいの姉妹を取り巻く人間模様も、これまた個性派ぞろい。ユーシューの元婚約者ティンヤン役には、なんとアンディ・ラウ。ジャッキー・チュンらとともに“四大天王”と称されるトップスターが友情出演し、ファンにとってはたまらないサミーとの豊かなアンサンブルを奏でます。

そんな面々を演出し、エイミー・チャンによる小説をもとに脚本を書き上げたのは、香港の新鋭ヘイワード・マック。23歳で発表した長編デビュー作がいきなり香港電影金像奨の最優秀新人監督賞にノミネートされ、その後も秀作を連発した最注目の新鋭監督が、簡単に言葉では言い表せない深みとコクがある映画を創出しました。

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●プロデューサーはベネチア“金獅子賞”の大物 充実の陣容で香港電影金像奨11部門ノミネート

プロデューサーの名を出せば、映画ファンには“本作の品質の高さ”が何よりも雄弁に伝わるでしょう。香港の著名な映画監督であり、脚本家でもあるアン・ホイ(「客途秋恨」など)が参加しているんです。

香港電影金像奨で最優秀監督賞を6度、金馬奨の最優秀監督賞を3度も受賞し、ベネチア国際映画祭の生涯功労賞・金獅子賞にも輝いた超大物。彼女がヘイワード・マック監督の才能に惚れ込み監督・脚本に抜擢し、製作がスタートしたのです。賞レースでは第39回香港電影金像奨で11部門ノミネート(最優秀美術指導賞を受賞)を果たすなど大きな話題を呼びました。

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事前に知っておけば、本作がもっと楽しくなる4の事実
香港映画を知り尽くす映画ジャーナリストが徹底解説!

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最後に、中国最大のSNS「微博(ウェイボー)」のフォロワー数280万人を有する映画ジャーナリスト・徐昊辰(じょ・こうしん)さんが、“これを知っておけば本作がもっと楽しくなる”要素を解説。日本ではあまり知られていない火鍋の常識など、「へえ~!」となる4つの事実を見ていきましょう。


■火鍋の歴史は2000年以上! 40万超の店舗が存在

日本の皆さんが「ローカルな中華料理は?」と聞かれた時、おそらく多くの方々が「火鍋」と答えるのではないでしょうか。「海底撈火鍋」をはじめ、現在「火鍋屋」は、日本でも多数出店されています。

鮮烈な赤色のスープ、尋常ではない辛さ、最高の刺激……。この火鍋、2000年以上の歴史があるんです。ところが、私は上海に住んでいましたが、子どもの頃、日本でよく見かける“赤い火鍋”なんて1度も食べたことがありません。実は、地域ごとにさまざまな種類があり、作り方&材料も異なるんです。今では40万以上の店舗が存在しているため、単なる鍋料理ではなく、最早「中国の大衆文化」になっています。

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■重慶と花椒(ホアジャオ)の深い関係性

三姉妹のひとり、ルーグオは重慶からやってきた――この設定、タイトルに使用されている「花椒(ホアジャオ)」と深く関わっています。劇中に登場する激辛で真っ赤な「麻辣火鍋」は、重慶で誕生したため「重慶火鍋」とも言われています。

この火鍋のポイントが“麻”と“辣”を両方体感できるということ。そして、しびれの基となる“麻”の原料として「花椒」が大量に使用されているんです。「重慶火鍋」が中国全土だけでなく、海外にまで人気が広がった理由に、この「花椒」によるしびれが重要な役割を果たしています。

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■実際の“香港流火鍋”はどんな味?

リョンの火鍋店「一家火鍋」がある場所は香港です。実際の“香港流火鍋”は「重慶火鍋」とは違って、鶏、海鮮の旨味を用いた清湯(チンタン)をメインとしたもの。とにかくスープを重視しているので、他の地域の火鍋とは一線を画しています。

ところが香港における火鍋は、重慶ほどの人気料理ではないんです。つまり、劇中の麻辣火鍋が食べられる「一家火鍋」のような繁盛店は、香港では珍しい。映画的な改変といえますが、そんな背景でも「一家火鍋は繁盛している」というのがポイント。それほどの美味なんでしょう……是非食べてみたいです!

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■中華圏では“「海街diary」の香港版”と評されていた

本作は「家族の映画」と呼べるテイスト。中華圏での上映後、この作品を是枝裕和監督作「海街diary」の“香港版”と評した観客が大勢いたことを覚えています。是枝監督の影響力のすごさを示すエピソードでもありますよね。

実際、近年の中華圏では、家族を題材とした映画が年々増加しているんです。ただし「花椒(ホアジャオ)の味」のように、こんなにも火鍋を軸に展開する物語はなかなかありません。火鍋の温かさ、味の奥深さは、ある意味“家族”と深く通じる部分があるといえます。

同作がきっかけとなり「中華圏の家族映画」の重要な要素として、火鍋が頻繁に登場するようになる――そんな可能性も秘めている気がします。(徐昊辰)

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