劇場公開日 2021年7月23日

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「退屈を嫌い、現状を満足しない 野心的な女性は メゾン(仕事場)で動き回る」ココ・シャネル 時代と闘った女 YAS!さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0退屈を嫌い、現状を満足しない 野心的な女性は メゾン(仕事場)で動き回る

2021年11月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

冒頭では 彼女のスタイリングに良く似合う すてきな帽子がとても印象的に目に焼き付く
しかしそれが彼女ではない。

最初に出てきた彼女のモードライバル「エルザ スキャパレリ」は今では影が薄いが、
晩年に対峙したディオール や クレージョと言った時代をリードしたライバル達の多くは
今では伝統ある「ビトン」の傘下だ。
それに比べ、野心家シャネルは合理的な経営センスに優れたビジネスマンである。
反ユダヤではなく、政治にも興味がなく、ただ貧困から這い上がった女であり、
それ故、気高くない者を嫌い、彼女は絶えず時代に合った相手を選び、気高い者・伝統名家だけに媚び、寄り添う事で自分の地位を確立して、生き抜いた。
そして最後に選んだのがアメリカハリウッド
それがCoCoだ。

彼女はモードを創作しているのではなく、媚びる為に”痒いところに手が届く道具”として
求める相手が 求めるほんの少し先を工夫しているだけに過ぎない。
すなわち、彼女にとっての 帽子 香水 女性スーツ は型崩れしなかったり、付加価値を付ける事こそ
彼女にとっての合理性の一部であり、
モードはあくまで”権威に取り繕う道具”であり、パトロンを掴めるのが主目的であり、ブランドは後から付いてくる。

今まで シャネルのドキュメントを何本化も鑑賞したが、いずれもシャネルスーツを切り口に語った
彼女の晩年の紹介が中心であったが、本作は生い立ちから、追った事により、
彼女のファッションコンセプトの神髄をよく理解できる 正に完璧なるノンフィクション映画だ。

作品は誇張してあるという最初の但し書きは、彼女自身が 創ろうとした自叙伝 ではない 事を逆説的に述べた事だと僕は理解した。

この完璧なるノンフィクション映画を観たら、「プラダを着た悪魔」よりも「マイフェアレディ」を観るべきだと思った。

YAS!