1秒先の彼女のレビュー・感想・評価
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時間操作系×恋愛物の男女格差を思う
本作については当サイトの新作評論の枠に寄稿したので、ここでは補足的な論考を書いてみたい。
初見の際、ワンテンポ早いシャオチーとワンテンポ遅いグアタイのそれぞれのキャラクターが好ましいと思ったし、彼女の失われた1日と彼の与えられた1日という種明かしや、街の人々がマネキンチャレンジよろしく静止した「フローズン・タイム」に出てきたような光景に感嘆したり、路線バスが海の道を走るスペクタクルに感心したりと、おおむね好感とともに鑑賞していたのだが、身動きがとれず意識もないシャオチーに対してグアタイが行った行動には、SF映画「パッセンジャー」を観た時に感じた居心地の悪さもあった。観終わってからプレス資料の中で山内マリコ氏が「無抵抗の女性を男性が好き勝手するのは、観ていて少しヒヤヒヤする」と書いているのを読み、やはりそう感じる人も少なからずいるのではないかと思った次第。
で、新作評論では「恋慕の情に突き動かされた行動が相手の気持ち次第でロマンチックにもセクハラにもなる」「恋愛を扱う創作物が何世紀にもわたって語り、刷り込んできた悪しき伝統」と書いた。本作の仕掛けはタイムトラベルやタイムリープとは異なるものの、ここではループものも時間停止も含めて大雑把に“時間操作系”とくくるとすると、時間操作系と恋愛物を組み合わせた映画は、振り返ってみると男性が女性に働きかけてロマンスを成就させようとする筋が圧倒的に多い。「恋はデジャ・ブ」「バタフライ・エフェクト」「アバウト・タイム 愛おしい時間について」などがすぐに思い当たる一方で、男女を入れ替えたパターン、つまり女性主人公が時間を戻って意中の男性をモノにする、みたいなストーリーはほとんど作られてこなかったのではないか。
そもそも時間操作系の映画で女性主人公が絶対的に少なく、例外的と言える「時をかける少女」にしても、細田守監督のアニメ映画版では、ヒロインがロマンスを成就させるのとは逆に、仲の良い男子との関係が恋愛に発展するのを阻止するためにリープ能力を使っていた。
これは時間操作系に限らないが、男性が試行錯誤して(時にはチートもいとわず)女性を射止めようと奮闘するのはコメディになるが、逆のパターンは笑えないとか、恋愛の成り行きをあからさまに主導する女性は“はしたない”などといった、長年の固定観念から作り手も受け手も抜け出せずにいるのではないか。
映画に限定しなければ、ロバート・F・ヤングのSF小説『たんぽぽ娘』や、竹宮惠子の漫画『私を月まで連れてって!』など、時間旅行を行うロマンスないしラブコメのヒロインは少ないながらも登場してきた。いつか時間操作系×恋愛物の映画でも、ジェンダーのステレオタイプを脱却した斬新なストーリーに出会えることを心から願っている。
すれ違って来た男女にご褒美のバレンタインデーが
子供の頃から人と比べて何をするにもワンテンポ早い郵便局員、シャオチーと、逆に、いつもワンテンポ遅れるバス運転手のクアダイ。ただ毎日郵便局の窓口で顔を合わせるだけだった2人の運命が、バレンタインデーに激変する。と言うか、知られざる彼らの歴史が、空白の1日に詳らかにされる。シャオチーの記憶から突然消え去ったバレンタインデー。その24時間が、クアダイにどんなチャンスを与え、シャオチーにとっていつも謎だった過去の出来事の意味を浮かび上がらせるのだ。たった1日のタイムトリップを利用して、凝ったSFXやびっくりするような展開を用意せずに、ただ、ゆっくり生きることのご褒美を描く映画は台湾発。『熱帯魚』や『ラブゴーゴー』で冴えない人々にスポットを当て、そこから、オフビートな空気感と台湾人らしい優しさと人情を浮かび上がらせたチェン・ユーシュン監督の最新作である。ヒット狙いの大作が好まれる昨今の台湾映画界にあって、作りたい映画しか作れないと語るユーシュンの映画人としての在り方が凝縮されたような本作は、やっぱり台湾人の郷愁をそそって昨年の台湾アカデミー賞、金馬奨を制覇した。僕らが大好きな台湾と台湾人、そして、のどかな風景とスイーツ。それを丸ごと体感できるのがコレ、『1秒先の彼女』なのだ。
もう一度見たい
2024年4月28日
映画 #1秒先の彼女 (2020年)鑑賞
郵便局で働くヒロインは仕事も恋も冴えない日々。ある日ハンサムなダンス講師と出会い、七夕バレンタインにデートの約束を
するが、目を覚ますと既にバレンタインの翌日に
めちゃくちゃ面白かった
伏線回収ものだけど伏線が沢山あって2度見しました
よくもわるくも台湾の大らかさ、素直さが醸し出ている。しかし男は全員変なやつ!
1秒先に動く彼女とか、ワンテンポ遅れている彼とかの設定は中盤から最早どこかにいってしまった。(笑 脚本も大味というか。薄いというか。
でも、なんだろう。ほんわか温まるのよね。
大らかで素直な台湾が醸し出ていて、なんだ雰囲気がいいのよ。
それだけで成り立っている。それだけで観れる。
※しかし、出てくる男が見事に全員癖のある問題男や変態男ばっか!
・思いっきり直球セクハラ発言の上司
・バスの隣席に座った触ってくる変態親父
・干してる下着を匂う変態男
・失踪する父親
・主人公に近づく詐欺師
・主人公を追う盗撮&ストーカー&拉致男!
台湾って変な男ばっかなの??
テンポが良く
十数年前に父が失踪した、せっかちなアラサー女子のシャオチー。郵便局で働き、さえない日々をすごしてしたが、ダンス講師のウェンソンと七夕バレンタインにデートすることに。喜ぶ彼女だったが、気がつくとその翌日になっていた。どうして、バレンタインは消えたのか。一方、毎日郵便局に来る、とろいグアタイは。
テンポが良くコミカルで、ちょっとつじつまがおかしい気もするけど、気にしないで楽しめる作品でした。さえないシャオチーが、だんだん可愛くなってくるのもよかった。台湾は七夕とバレンタインが一緒なんだ。
こちらの方が
しっかりしてると思った。
「1秒先の彼」の方の彼の仕事っぷりはちょっとしたことだけど見ていて気分の良いものではなかったが、こちらの彼女はしっかりと己の仕事をしていた。
でもなんで1日分得をするようになったかの説明が少し伝わりにくかった。「1秒先の彼」の方が名前の画数が多くて他の人たちより時間を損しているという理由が馬鹿らしくもわかりやすくてよかった。
アマプラで字幕版を観たがスタッフロールで流れる曲にも字幕が入っていて最後まで楽しめた。
果たしてこの感想はネタバレありなのか否か。そもそもネタバレなしのレビューなんてありえるのだろうか。
日本のリメイク版を先に観ていたが、オリジナル版の方がおもしろかった...
日本のリメイク版を先に観ていたが、オリジナル版の方がおもしろかった。
シャオチーとグアタイも役に合っていたし、時間が止まってからの世界もリメイク版よりは自然でとっても良かった。
くすっと笑えるシーンも多くて、2人がとても可愛らしい。長い片想いが叶ったような、ラストは心温まります。
良作です。
変な映画!
主役の李霈瑜(リー・ペイユー)が中々の良い。
◎8歳でマンガの『ヒカルの碁』を読み 棋士を目指した女流囲碁棋士の黑嘉嘉(ジョアンナ・ミシンガム / Joanne Missingham)が郵便受付け係で《逆引き立て役》で友情出演している。
◎台湾には年2回のバレンタインデーがあり、2月14日よりも、旧暦7月7日の「七夕情人節(チャイニーズバレンタインデー)」が重要なイベントらしい。
◎「豆花」(トウファ):豆乳で作られた絹ごし豆腐のような食感のプリンで、甘さは控えめ。タピオカや白玉、フルーツなど様々なトッピングを楽しめるのも。
◎シャオチーが働く郵便局を忠実に構築するために、外観、窓口、処理センター、休憩所などを制作。あまりにも本格的な外観だったため、撮影中に多くの人が本物の郵便局と間違えて、手紙や小包を投函しに来てしまったらしい。
台湾SF感動ラブストーリー
前半1時間は彼女の不思議な体験で、後半1時間は彼の不思議な体験。
カメラ小僧登場なだけあって、映像の構図が良い。
台湾バスツアー氣分を味わえた。
男のロマン、タイムストップの映像が凄い。
せっかちだと一日減るなら、ゆっくり遅れながら生きたい。
彼女のキュートさと、彼のやせ我慢
昨年「1秒先の彼」が劇場公開されていた時に、たまたま帰省していた娘と観にいった。クドカンらしい脚本で、面白いなぁと思っていたら、実はリメイクだと知り、帰ってすぐにHuluでこっちも鑑賞。
その時は「原作はもっといいじゃん!」と思った記憶がある。
…記憶はあるのだが、最近、Amazonでこのクレジットを見かけた時に、すっかり内容を忘れていることに自分でも驚いた。
改めて新鮮な気持ちで観てみると、「彼女」であるシャオチーのキュートさと、「彼」であるグアタイのやせ我慢に心を打たれた。
シャオチーのせっかちでちょっとズレた感じは、ずっとユーモラスなのだが、物語が展開するにつれてどんどんキュートに見えてくる。そして、グアタイも、全然いけてないのだけれど、だんだんカッコよく見えてきたりする。
とはいえ、やっていることは、好きな娘が無抵抗状態であることをいいことに、自分の思い通りに連れ回しているので、ちょっとストーカーチックな危うさを感じない訳ではない。
それを救っているのが、キスをためらうシーンだ。あれだけ長い間、迷って迷って、最後におでこにキスしてにっこり笑ってケジメをつける。本当に彼女を好きだからこそのやせ我慢。それが一発で伝わるいいシーンだった。
そして、2人の再会の場面は、こっちも泣けた。
まず彼女が泣いて、それから時間差があって彼が泣いて…。
せっかちな彼女と、ワンテンポ遅れる彼が、ここでも繰り返されるところがニクイ。
しばらく経ったらまた内容を忘れてしまうかもしれないが、その時はまた、新鮮な気持ちで楽しみたい。
ずっと想ってくれていた
父ふらりと、家出?だったのか。
娘ヤン•シャオチーは、
郵便局に勤め窓口業務。
公園で声かけてきた自称ダンス講師のウーに
映画誘われる。弁当迄貰う。
映画を観てヤン•シャオチーは人より先に笑う。
ウーは、施設の子供の為にお金が要ると言う。
ヤンは以心伝心ゲームの練習をして明日の
バレンタイン大会で優勝して賞金ゲットしようと約束。
朝起きてバスに乗って約束場所に向かうが‥。
起きると明日だった。
バレンタインデーは昨日になっていたじゃないか。
ウー来ない。行方不明。
突然ヒューズが飛び、真っ暗。
ヤモリのじいさん登場。長細い舌で蚊をペロリと。
そして、過去の無くし物箱を渡された。
中身は、本人でも覚えていない数々、鍵発見、
何の鍵か。
リウがバスに乗ってウーを尾行していると、
台湾の極道が数人乗って来てウーを脅す。
極道の姉がウーに騙されて金を騙し取られたから
何倍かの金を脅し取りに来たのだった。
ウーという人間の正体を見てしまったリウ。
突然世界が止まったので運転手放り出しリウ運転交代。
ヤン一人乗せて走り出す。
リウ、ヤンに語りかける。
悲惨な過去、励ましてくれたこと、
文通のはずが住所がわからず私書箱止まり。
彼女をおんぶして、海辺まで行き、
砂浜で彼女にポーズさせて写真を撮る。
流木で相合傘作り二人で記念撮影。
だいぶ日焼けして顔が真っ赤になった二人。
期せずしてヤンの父乗って来る。父だけ動く。
ヤンに語りかける父、
出て行った日ビルから飛び降りようとしたが、
今のように世界が止まり、断念せざるを得なかった、
これは生きよ、ということだと解釈して
とにかく生きて来た、と。
なぜ世界が止まりリウや父だけ動けるか、
人より時間が遅い分を長年足すと
神様が一日分返してくれたのさ、
と言い下りて行った。
その前にヤンとのツーショット。
服を着たままベッドに横たわるヤン。
そっとおでこにキスして帰るリウ。
遅刻だぁ〜とバレンタインデー大会会場に行っても、
誰もおらず昨日だった、終わったと言われる。
あの鍵の合う郵便局私書箱を探してあちらこちらへと。やっと見つけると中から大量の手紙。
中にはたくさんの写真が入っていて見て驚く❣️
差し出人を見て昔を思い出した。
363日後、
あの私書箱のある郵便局に移動したヤン。
とうとうお待ちかねのリウがやって来た。
思わず涙を流すヤン、
少し遅れて泣くリウ。
言葉を交わさずとも二人の心は繋がっていた。
エンドロールで種明かしのような写真の数々が映し出されて観客も飲み込めた顛末❣️
秀逸な脚本で面白かったです!笑って泣ける心が温かくなる映画。
脚本が秀逸で凄く面白かったです。2日後にもう一度観に行きましたー!笑
①最初は彼女目線で描かれる。何をやっても人より早い彼女は郵便局員。写真を撮っても人より早いので目をつぶった写真ばかり。 そんな彼女は誰からも愛されずモテない。そんな彼女の窓口に毎日手紙を出しに来る男性。彼女が気になる様子。ある日モテない彼女にイケメンダンス講師がデートに誘うが何故か1日飛んでしまったー。
②視点が変わって手紙を出しに来る彼の目線で描かれる。①の彼女目線と全く同じシーンが描かれるが全然違って見える。この②番目のシーンが凄く面白くて実にいい!女性はえっ?って思うシーンがあるけどそれはちょっと置いといて映画を楽しもう。(私は女性ですが映画を楽しめました)
③女性目線に戻って全ての伏線回収。本当に良くできた脚本でした!面白かったー!!
東京では今、台湾巨匠傑作選をやっています。観られる人は是非映画館で!
台湾ならではというか、振舞いや発想が、もろもろ大らかで可愛らしくて...
台湾ならではというか、振舞いや発想が、もろもろ大らかで可愛らしくて、ほわっと癒しをいただいいてきました。
台湾に観光で出かけた時と同様、人々が魅力的なのが、再確認できます。
景色や日差し、お食事など、あちらでは何気ないであろう場面が、いま観てすごく魅力的でした。
バレンタインデーがなくなった理由
最初から中盤までは、展開が地味だなあと思っていましたが、バレンタインデーがなくなった理由が判明したときは、目から鱗が落ちました。
よく考えられたストーリーでした。
ただ、普通に考えて彼の行動はストーカーであり、不審者にしか見えなかったです。
彼にもっと冴えた男なら違った見方ができたのかもしれないです。
ヤモリ
U-NEXTで観賞 オリジナルのほうがシンプルで変に回りくどくなく、しかもリズムが良い やはり中国語のリズミカルな早口に今作は合っているのかもしれない
殆どの人は、動かない女性を連れ回して挙げ句の果てに飛んでもないことを・・・をご立腹されているが、劇中でもこれ以上はってセーブしているので、許容範囲なのでは?なにせ本人以外、世界中の人が記憶にないのだから
勿論、躰を傷付けたのなら許せない行為だけどね
ラストの男の方の涙は、日本版には無かったが、あれで全てが報われたと思うのは自分だけだろうか?
自分の考察として、日本版にも言えるのだが、何故交通事故に遭うのかという件、あれは神様による連れ回しの罰なのではと思う 今作では、彼女のみ日曜日を失った 他の人は単に日曜日が2日設けられているが、実際は初回の1日は記憶がない その1日はずっと貯金をしていた周りよりもテンポの遅い人達の利息だったということ
失った彼女は1日、借りていた時間を返済したということ
ま、そんな講釈はどうでもよく、オリジナルの台湾の風景や南国感溢れるノンビリさと都会の忙しさがキチンと作品に織込まれていて、オリジナルには勝てないという結論である 題名の件も、台湾ならではの気候と生態系故だから違和感ないしね^^
台湾ラブファンタジーアワー
ワンテンポ早い彼女と遅い彼がもたらすファンタジックなひととき。彼の気持ちに気付いて転勤してでも待つのも良かったし、彼が奇跡的に死んでないのも良心的だったと思う。日本版リメイクを見て、オリジナルに戻りたくなった。
2人が一緒に過ごすシーンのその光景の何と美しくおかしく切ないこと。映像といい、構成といい、時間を巡る奇想天外なアイデアといい、全てが鮮烈に心に残りました。
日本版リメイク『1秒先の彼』公開を機に、オリジナルの本作を、TSUTAYAの宅配レンタルで見てみました。
監督・脚本は台湾のチェン・ユーシュン。1995年の初長編「熱帯魚」と97年の第2作「ラブ ゴーゴー」で、世の中の片隅で生きる。“ひとりぼっち”たちの人生が交錯する瞬間のかけがえのない感情をみずみずしく描き、日本でも熱い支持を集めた人です。
その後、CMの世界に活躍の場を移していましたが、10年ほど前に映画に復帰。通算5作目の本作で昨年、台湾のアカデミー賞とも呼ばれる金馬奨で作品賞など5冠に輝きました。
分類すればロマンチックコメディーということになりますが、この映画もまた、ひとりぼっちたちの物語といえそうです。
郵便局で働くシャオチー( リー・ペイユー)は、仕事も恋もパッとしないアラサー女子。何をするにもワンテンポ早い彼女は、写真撮影では必ず目をつむってしまい、映画を観て笑うタイミングも人より早いのです。そんな1拍のズレのせいか、いまだ独り身。職場では横を見れば彼氏のいる後輩(囲碁棋士でもあるヘイ・ジャアジャア)に複雑な気分に。
そんな彼女が、逆にワンテンポ遅い男と思いも寄らぬ形で巡り合い、人生を再発見するまでが、いきのいい笑いと涙と共に描かれます。
冒頭にシャオチーは、警官のもとへ駆け込みます。「なくしもの」をしたと告げるのです。失ったのはある1日。旧暦7月7日、七夕情人節。台湾ではバレンタインデーの恋人たちの日として、盛り上がる日でした。
場面は変わり、バレンタインデーの前日。シャオチーは、ハンサムなダンス講師のウェンセン(ダンカン・チョウ)からバレンタインにデートに誘われて、すっかり有頂天になります。しかし一夜明けて、目覚めるとなぜか翌日に!
バレンタインの1日が消えてしまった!?
消えた1日の行方を探しはじめるシャオチー。見覚えのない自分の写真、「038」と書かれた私書箱の鍵、失踪した父親の思い出…謎は一層深まるばかりです。
どうやら、毎日郵便局にやってくる、人よりワンテンポ遅いバスの運転手・グアタイ(リウ・グァンティン)が手がかりを握っているようなのです。そして、そんな彼にはある大きな「秘密」がありました。 失くした「1日」を探す旅でシャオチーが受け取った、思いがけない「大切なもの」とは!?
失われた「1日」に何が起きたのか。そこに至る軌跡が、現在と過去、日常とファンタジーの境目を巧みに行き来しながら描かれていきます。
物語は2部構成。前半はシャオチーの側から語られます。最初は、どこにでもいそうなおひとりさまの滑稽譚のように映ります。やがて消えた1日の謎に向き合うべく、置き去りにしていた記憶のかけらを集め始めた彼女は、どんどん魅力的に見えてくるのです。後半、視点がぐるんと反転し、彼女を思うグアタイの側から物語が語られ、記憶のパズルができていくと、果然、ぐっとくる展開となることでしょう。
誰もが日々の生活で見なれた職業に就く2人に、ちょっとした変な性格付けをすることでドラマが起動する脚本構成が素晴らしいのです。
記憶をめぐるラブストーリーが紡がれる本作は、同時にスペクタクル映画としての魅力も満載です。とはいえ大仕掛けなアクションやセットはありません。動くことではなく静止すること。そしていつも同じ場所を走り同じ場所に停まる路線バスが、いつもと違う場所を走り、違う場所に停まるということだけで、ハリウッド映画も顔負けのスペクタクルが展開されていくのです。
白眉は、生きるリズムの違い、いわば時差ゆえにすれ違ってきた2人が一緒に過ごす時間の描写にあります。その光景の何と美しくおかしく切ないこと。映像といい、構成といい、時間を巡る奇想天外なアイデアといい、全てが鮮烈に心に残りました。それはきっと単なる技巧ではなく、片隅に転がっている人生にやさしい光を当てる監督のフィロソフィーのたまものです。
仕掛けを確認するためにも、主人公たちの最高の。泣き笑い顔”と再会するためにも、ついDVDを巻き返してもう一度見たくなりました。
最後に、終盤でふたりを乗せたバスが、浜辺の海中道路を突き進むシーンは大変美しくこころに残りました。海のなかに、なんであんな道があるのでしょうね。物語を印象づける素晴らしいロケ地です。
出逢うまでの奔走! ラブLOVEなバレンタインデーを目指して♥
悲しい交通事故で落ち込む男性、グァダイを励ましてくれた少女だったシャオチー。
私書箱の文通から、始まった恋。
台湾のバレンタインデーが、2月14日と
7月7日あることを初めて知りました。
大人になってもシャオチーをずっと想い続ける
グァダイに上手く伝えられなくても
仄かな恋心を感じました。
郵便局で働きながら、「手紙」を出すグァダイ
を何回も見ていたシャオチー。
タイム・ラグと時間が止まったときの
台湾の街並みに郷愁がありました。
写真館で撮られたシャオチーの写真。
海辺に干された牡蠣。
走るバイク。
すれ違う男女が出逢うまでのファンタジーを
少しじれったい思いで見ていました。
シャオチーとグァダイは出会える運命だったのか、砂浜に描かれた相合い傘が
ラブレターのような甘いバレンタインデーを
イメージする作品でした。
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