レンブラントは誰の手に

劇場公開日:

レンブラントは誰の手に

解説

オランダ黄金時代に活躍した巨匠レンブラントの絵画をめぐり、アートに魅せられた人々の愛と欲が交錯する様子をドラマティックに描いたドキュメンタリー。レンブラントの肖像画を所有するオランダ貴族の家に生まれた若き画商ヤン・シックスは、ロンドンで競売にかけられた肖像画がレンブラントの作品だと直感し、安値で落札する。本物であればレンブラントの作品が発見されるのは44年ぶりとなるが、思わぬ横やりが入ってしまう。一方、富豪ロスチャイルド家が所有するレンブラントの絵画2点が売りに出されることになり、フランスのルーブル美術館とオランダのアムステルダム国立美術館が獲得に動き出す。事態はいつしか、両国の政治家たちまで巻き込んだ大騒動へと発展していく。監督は「みんなのアムステルダム国立美術館へ」のウケ・ホーヘンダイク。

2019年製作/101分/G/オランダ
原題:My Rembrandt
配給:アンプラグド
劇場公開日:2021年2月26日

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映画レビュー

3.5名画自体よりも、美術収集をめぐる“上級民”らの欲や駆け引きに重点が置かれる

2021年2月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

知的

ゴッホ、フェルメールとともにオランダを代表する巨匠レンブラントのファンや、美術収集の世界に明るい人ならより楽しめるだろうが、私を含めそうでもない人にも勉強になり、興味深い要素が確かにある。

オランダ貴族の家に生まれレンブラントが描いた先祖の肖像画を見て育った若き画商は、ロンドンで競売にかけられた絵がレンブラント作だと直感し、安値(とはいえ1800万円位)で落札。鑑定後に発表して注目を浴びるが、入手過程をめぐり騒動が持ち上がる。あるいは、富豪ロスチャイルド家がレンブラント作2点を約200億円で売りに出し、オランダの国立美術館とフランスのルーブルが国の閣僚も巻き込んで獲得に動く話。

所蔵、売買、鑑定の対象になる絵画を紹介する際に画風や技法などを解説するので、レンブラント入門の側面も認められる。だがオランダ出身の女性監督ウケ・ホーヘンダイクは、「この世界は主に裕福で年配の白人男性が牛耳っている」とコメントしているように、ハイクラスの人々がその財力と欲や思惑で美術品の値段を高騰させる現実を冷ややかに見つめている。ある場面で専門家が「レンブラントは人物の本性を見抜いて肖像画に表した」と語るが、このドキュメンタリーも、美術収集や取引をめぐる個々人の行動や思いにとどまらず、美を愛する心や欲望といった人間の本質に迫ろうとしている。

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高森 郁哉

4.0好奇心くすぐる美術ドキュメンタリー

2021年1月31日
PCから投稿

非常に好奇心をくすぐるドキュメンタリー作品だ。ホーンダイク監督は単に美術品にフォーカスするのみならず、そこを切り口として各人の事情や背景を描き、その先に我々の生きる時代そのものを映し出す。思えば同監督は「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」(08)で、”あるべき美術館の姿”を巡って多様な意見が噴出する中、誰もが全く譲歩せず、改修工事が一向に終焉を迎えないという、民主主義に関わる極めて今日的なジレンマを浮き彫りにした。レンブラント絵画をめぐる本作も構造はどこか似ている。美術界を騒がせた”名画の発見”をめぐる顛末にとどまらず、様々な人々を通じて”所有”という行為をじっくり見つめる。その間、ホーンダイク監督は自らがカメラ前に映り込むことなく、登場人物を批判することもなく、ただ真摯にフッテージを重ねるのみ。解釈や考察を観客一人一人の胸に委ね、自らは時代の観察者に徹しようとする姿勢に感銘を覚えた。

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牛津厚信

2.5この演出家の違う作品が見たくて、3回も鑑賞してしまった。

2024年4月4日
スマートフォンから投稿
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マサシ

3.0惚れて愛して欲と威信

2021年6月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

画商ヤン・シックスは、競売にかけられた肖像画がレンブラントの作品だと直感し安値で落札した。本物ならレンブラントの作品が発見されるのは44年ぶりだった。作品が本物と鑑定された後、落札できなかった画商から共同購入の約束だったとクレームをつけられてしまった。
また、ロスチャイルド家が所有するレンブラントの絵画2点が売りに出されることになり、フランスのルーブル美術館とオランダのアムステルダム国立美術館が獲得しようとした。2点セットで200億円超の価格に、両国の大臣まで登場し国の威信をかけた大騒動へと発展していったというドキュメンタリー。
レンブラントはオランダに行った時アムステルダムの美術館に入って実際に鑑賞した事がある。その時はゴッホに比べて暗い絵が多いな、位しか思わなかったが、今回色々と解説を聞き、良さを教えてもらえたのが良かった。特に、肖像画を模写してる人の解説で、襟の白いフリルが難しいと言われていたのに、なるほど、と次回レンブラントを見る機会が有れば注目したいと思った。
それと、レンブラントの絵に惚れて、愛している人たちが多い事と、お金にしようと欲の塊のような人達もまた多い事を改めて知れて良かった。
レンブラント好きの方はぜひ観てください。

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りあの

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