配信開始日 2020年12月18日

「明るさと痛さを演じ分けるチャドウィック・ボーズマンが圧巻!」マ・レイニーのブラックボトム 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0明るさと痛さを演じ分けるチャドウィック・ボーズマンが圧巻!

2020年12月19日
PCから投稿

泣ける

悲しい

1927年のシカゴ。とあるスタジオで"ブルースの母"と呼ばれた伝説の黒人シンガー、マ・レイニーの新作レコーディングが行われようとしている。だが、マ・レイニーは白人マネージャーやプロデューサーに対してわがままのいい放題だし、録音に参加する自信過剰で明るいノリのトランペトターのレヴィーは、マ・レイニーの代表曲である"マ・レイニーのブラックボトム"を勝手にアレンジしようとして、マ・レイニーの神経を逆撫でする。この2人が、なぜわがままで頑固にならざるを得なかったのか?なぜ、明るくかつ自信に満ちて見えるのか?その謎が徐々に解き明かされていくに連れて、言葉にするのも憚られる当時の黒人差別の実態が浮かび上がっていく。マ・レイニーとレヴィーは表現方法こそ違え、同じ怒りを抱えつつ白人社会と対峙しようとする、不幸な似た者同士であることが。凝ったメイクでマ・レイニーを演じるヴィオラ・デイヴィスが視覚的に強烈だが、レヴィーの軽妙さと、それとは裏腹な痛々しい素顔を演じ分けるチャドウィック・ボーズマンが圧巻だ。これが遺作となったボーズマンには本作でアカデミー主演男優賞と、同じNetflixが配信する「ザ・ファイブ・ブラッズ」で助演男優賞候補の可能性が高い。故人が同じ年のアカデミー賞の2部門で候補になるのはオスカー史上初。2つの中では「マ・レイニー~」の方が有力だと思うが、さて。

清藤秀人