劇場公開日 2021年1月8日

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「スタントという人力で起こす映画の魔法」スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち よしさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5スタントという人力で起こす映画の魔法

2021年3月24日
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女は自分の実力を証明しないとダメ、何度も繰り返して。証明していくことはまだまだある。"君じゃ無理だ"と言われる前にやってみせるの!スタントの素晴らしさを、最前線で尽力しながら尚も魅せられ続けている人々の、あまりにも偉大な功績と共に伝えてくれる。ものすごくパワフル!!
女優を助けてあげたい、だって彼女の映画だから。彼女たちの功績にスポットを当てる。数々のスタントくそかっけー、格好良すぎて痺れた。取り組み方や考え方・発言、節々からプロ魂やばい。見ていて大興奮!その辺の映画本編よりずっと高まった!夢中になって引き込まれる。
その昔、映画がカネになると知った男たちが彼女たちを追い出した。男の職場と決めつけた。最近になっても男性が女性のスタントをすることもあらしい、黒人も。その悔しさを励みに、女性でなく、プロのスタントマンとして周囲に認めさせる血のにじむような努力や環境・状況に負けない粘り強さ。
まさしく縁の下の力持ち。高いプロ意識に脱帽。スタントウーマン協会も設立したレジェンド達の貴重な証言の数々と、それを裏付ける映像に興奮と背筋の凍る思い。けど、まだまだ彼女たちも化石などではない。もちろん、成し遂げてきたものは、広く正当に讃えられるべきだ。
役者に見えてバレないのが必要だけど、もっと讃えられるべきだという気持ちが芽生えるのは極々自然なこと。彼女たちがいないとありとあらゆる作品は実現していないはず。往々にして、ハイヒールなど、男性よりも動きにくい衣装であったり、女優と体型を似せるために痩せることを求めれたり、厳しい状況下に置かれることもしばしば。
ミシェル・ロドリゲス姐さん大納得。
いつもプランA, B, Cがある。監督が求めているもの、スタントマンがしたいと思っているもの、そして最悪の事態になるもの。イメージできないスタントは危険だから中止。自分は他人の命を預かり、自分の命もまた誰かに預けている。危険は隣り合わせで、怪我はつきものだろうけど、命あってこそだし、恐怖は感じるべき。経験則て危険を教えてくれる。線引きの難しさ、ノーということの大切さ。仲間を失うつらさは忘れられない。当たり前だけどスタントそのものより命のほうが大切だ。クスリは厳禁、ハイになってると失敗する。コカインの件を指摘すると嫌われ、干されるのは間違っている。
そして、本作品は終盤、女性アクション監督の少なさという点も扱う。他人を怒らせることは怖がってはダメ、やるべきことは必ず優先させる。大胆でいて時に繊細さも持ち合わせている。

とぽとぽ