「情報過多社会とコロナ禍をシニカルな笑いで内包」続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5情報過多社会とコロナ禍をシニカルな笑いで内包

2020年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

知的

お騒がせ俳優サシャ・バロン・コーエンが、人間が抱える心の奥底を引っぺがす、イジワルやり過ぎモキュメンタリーのまさかの続編。
ボラットとその娘トゥーターがやらかす一挙手一投足は、トランプ政権になって顕著となったアメリカの実態をそのまま再現したものばかり。前作同様、よくもまぁここまでやったなという突撃撮影が見どころだけど、一番笑ったのは共和党集会に乗り込もうとしたボラットの秘策。いつも体を張るコーエンのプロ意識(?)には本当に頭が下がる。
根はいい人なのに、情報の取捨選択次第で偏った思想に陥るという情報化社会がもたらす弊害はもちろん、コロナ禍というタイムリー過ぎる現状までシニカルな笑いで内包してしまう。
例によって観る人を選ぶ内容であるものの、コーエンが結局本作で一番伝えたかったメッセージは、ラストのラストにあると思う。大統領選直前で本作を発表したのが、何よりの証拠だ。

アマゾンプライム配信なので日本語吹き替え版も簡単に観られるので、ボラット役の山寺宏一による絶妙なセリフ回しも堪能してもらいたいところ。

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