劇場公開日 2021年2月19日

  • 予告編を見る

「実話ゆえの凄惨さ。身につまされる、日々の尊さ。」ある人質 生還までの398日 門倉カド(映画コーディネーター)さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0実話ゆえの凄惨さ。身につまされる、日々の尊さ。

2021年3月30日
PCから投稿

泣ける

悲しい

怖い

【賛否両論チェック】
賛:凄惨な中で、なんとか日々を生き延びていた主人公の姿や、そんな彼を何としてでも助けようとする家族の姿が、観ていて胸を打つ。毎日を無事に過ごせるありがたさも、身に染みるよう。
否:拷問シーンや殺害シーンが多いので、思わず目を背けたくなってしまいそう。

 何の前触れもなく突然連れ去られ、劣悪な環境下での監禁と拷問という、終わりの見えない恐怖へとさらされる主人公・ダニエル。実話を基にしているからこそ、そのあまりの凄惨さに、思わず目を背けたくなってしまいます。
 また、そんな日々に何度も自暴自棄になりながらも、同じように監禁された人々との交流を通して、なんとか1日1日を生き延びていくダニエルの姿も印象的です。共に監禁されることになるアメリカ人・ジェームズが告げる、
「奴らの憎悪に負けたくないんだ・・・」
という言葉が、すごく心に残りました。
 それと同時に、今自分自身が平穏無事に毎日を過ごせていることが、決して当たり前ではないということも、思わず身につまされるような気がします。
 そしてダニエルを救出するために、まさに奔走していた家族の様子も、観ていて胸を打ちます。政府の協力が得られない中でも、なんとか生還させたいと願う姿に、家族であるからこその愛情を感じました。
 決して軽い気持ちでは観られない内容ですが、命の尊さを痛感させてくれる、そんな作品です。是非ご覧になってみて下さい。

門倉カド(映画コーディネーター)