劇場公開日 1977年3月5日

「シシーの存在に尽きる」キャリー(1976) あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5シシーの存在に尽きる

2018年7月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

カメラワーク、サイコを思わす音楽もいい
が何より主演女優シシーだ
彼女の持つ、彼女ならではの雰囲気が正にキャリーの迫真さを生んでいる
キャリーの母親役の女優も素晴らしい
クラスメート達や先生の演技も良い
ブレイク前のトラボルタも頑張っている
しかし、やはりシシーだ
彼女の存在無くしては本作の成功は無かっただろう。名作たりえなかったはずだ

身近にいそうな、そして同じように同性から苛められていそうなそんな女の子をシシーがそのものズバリで演技してみせる、というかそこに居るだけで彼女そのものなのだ
小柄で痩せ過ぎ、美人とはいかない、がほんの少し可愛い、運動音痴だから色も青白い、引っ込み思案で内省的。でも芸術を好む美しいものを感じる感受性は豊か
きっと思い浮かぶ女性があなたの周囲にもいるはず

だからこそ物語が嘘臭くなくなり迫真さが違って来ている
トミーも悪巧みと知りながら頼まれたからプロムに誘ったものの、ちゃんとドレスアップして化粧もすれば割と可愛いなこいつとキチンと紳士的に応対する演技が説得力を持って成立するのだ
シシーの持つ容姿と雰囲気が絶妙のバランスなのだ

それだからこそクライマックスに至る彼女の尻込みと陶酔するような幸福感、そして驚愕、屈辱の怒りの爆発、悲しみ、絶望、を単に共感するだけでなく、観る側が自分自身のものとして感じる事ができるのだ

そしてクライマックスの惨劇がある種のカタルシスになる力を持つに至るのだ

中盤、アメリカングラフィティを思わせる、車で街を流すシーンがあります
監督はルーカス監督と仲が良いようで、メイキング映像で本作のオーディションはスターウォーズの第一作と共同でやったと話してます

あき240