劇場公開日 2022年6月24日

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「明暗対比の鋭い実験的人間ドラマ。」ベイビー・ブローカー コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5明暗対比の鋭い実験的人間ドラマ。

2023年8月19日
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内容は、舞台は現代韓国貧しいながらも犯罪で生計を立てる社会の低階級にいる人々が、ある新生児売買を巡り犯罪逃避行の中で血の繋がりのない家族について其々が自省する映画。印象的な台詞『何でだろう何も見えない方が凄く怖い…』観覧車で母親として最後の本心を語る場面。舞台上の景色で薄暗く雨模様の多い暗い映画ですが、しかし周囲が暗転(トンネル・部屋消灯)すると本心が語れ明るい場面になる。カタルシスの解放が上手く表現さらていて面白い。手で視覚を遮られ周りが明るく自分だけが暗くなると凄く怖くなるという台詞には心象を上手に表してるなと感じました。観覧車の内側の落書きが周りからの意見としての母親への周囲の見方というティストに繋がり物語で一番面白かった様に感じます。現代社会に潜む病巣の様な感じの問題提起は素晴らしい。印象的な場面は、最後の皆んなで撮った遊園地プリクラを大事に車の中で吊るす新生児売買コンビ年配の逃走中の男の人が、どうして出所した子供の母親を見つける事が出来たのか?全く描かれてなかったのでハッピーエンドが??になってしまった所です。其々の個人的な背景を細かく追ってるわりに肝心の物語進行がおざなりになり都合の良いオチになってしまった事が残念でした。印象的な演出は、半地下を思わせる様な坂の多い韓国のダウンタウンや雨を多様した演出です。キアロスクーロの様にあからさまに影を濃くした演出は実験的で面白かったです。光が強ければ影も濃い。『生まれて来てくれて、ありがとう…』誰にも望まれてないという実在が絶望感を増すよという主題が分かりやすく、それでいて深い言葉だと印象に残りました。でも、この撮影中新生児ウソン大きくなり過ぎたのが個人的に気になります。映画の撮影中どんどん大きくなるからしょうがないのでしょうが、子供を主役にする時は時間との勝負ですね。ハリーポッターやストレンジャーシングスも同じく難しさを感じてしまいました。

コバヤシマル