劇場公開日 2021年9月17日

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「恐ろしい」アイダよ、何処へ? アンディぴっとさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0恐ろしい

2022年9月24日
iPhoneアプリから投稿

 1995年7月に実際に起きたスレブレニツァの大虐殺をもとに、国連の通訳をしていた女性アイダを主人公にした物語。アイダ等登場人物はフィクションのようだが、通訳の仕事をしながらなんとか避難してきた夫と息子達を守ろうと悪戦苦闘するアイダ。満員で入りきれない避難民たちの中から家族を探し、なんとか中に入れようと必死になる。知人たちに「この子も助けて」と頼まれても聞き入れる余裕すら無い。実際にあの立場なら、まず自分の夫と2人の息子を、なんとか守りたい、てことだけで目一杯でしょう。
 出演者の表情がこの映画の見どころでしょうか。主役のアイダの目力の強さは凄まじく、日々の激務で疲れた感に加えての置かれた現状に対する悲壮感、表情が凄まじい。特に目力が凄まじい。アイダ以外の家族が見つめあったり、避難民たちの表情もおおくを語らせずとも表情で観ているこちら側も辛くなってしまう。
 戦争といってもまだほんの最近の話。他民族、他宗教と難しい問題が多く、我々日本人が知識として頭に入れたとしても到底理解など出来ないだろう複雑な問題。ロシアとウクライナの現在にしても、なんとか解決できないモノだろうか。罪もない人々が大量虐殺で殺されるなんて絶対にあってはならないし、もう起こらないでほしい。
 とても観るのは辛い映画だが、せめてこうした事実を知るためにも観るべきジャンルです。

アンディぴっと