グレイハウンド

配信開始日:

解説

トム・ハンクスが主演のほか脚本も手がけた戦争アクションドラマ。第2次世界大戦下、英国に補給物資を届ける輸送船団を護衛する、クラウス艦長率いる米海軍駆逐艦グレイハウンドと、待ち受けるドイツ海軍潜水艦Uボートの死闘を描く。原作は「アフリカの女王」などで知られる冒険小説家C・S・フォレスターによる「駆逐艦キーリング」。Apple TV+で2020年7月10日から配信。

2020年製作/91分/アメリカ
原題:Greyhound
配信:Apple TV+
配信開始日:2020年7月10日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第93回 アカデミー賞(2021年)

ノミネート

音響賞  
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映画評論

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映画レビュー

4.0理想のリーダー像=“キャプテン”を演じ続けてきたトム・ハンクス。その表現者としての奥深さを再認識できる掘り出し物

2021年12月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

英語でcaptainと言えば、乗り物の乗組員たちを指揮する人、あるいは部隊を率いる士官。映画でキャプテンが主人公になるとき、当然そこには理想のリーダー像が込められる。トム・ハンクスはこれまで、「アポロ13」で宇宙船の船長、「プライベート・ライアン」で中隊の指揮官、「キャプテン・フィリップス」で貨物船の船長、「ハドソン川の奇跡」で旅客機の機長と4度にわたりキャプテンを演じてきた。小説の実写映画化である本作でハンクスは脚本も手がけ、これまで演じてきた理想のリーダー像とはまた一味違うキャプテンを作り上げた。

今回のハンクスの役どころは、第2次世界大戦時の米駆逐艦グレイハウンドを率いる艦長。英国に向け大西洋を渡る輸送船団を護衛する任務中に、数隻の独潜水艦と死闘を繰り広げる。戦闘は2度の山場があり、レーダーとソナー(音響探査)を使った敵潜水艦の位置把握と進路予測、敵から放たれた魚雷を回避する操艦、そして爆雷等による反撃など、洋上艦による潜水艦との戦い、いわゆる「対潜戦」の現場を、テクニカルな要素を含めリアリズムに徹して描いていく。

1時間半の尺に収めるためもあるだろう、共感や感情移入を呼びやすい乗組員らとの心の交流などの描写はほぼ排されている(しいて挙げれば、戦死した仲間を水葬にする場面などには情緒的な要素が少し加わるが)。もともとコメディアン出身で、脚本も兼ねた監督作としては青春音楽映画「すべてをあなたに」と、失職した中年が大学で学ぶことになる「幸せの教室」の2本があり、わかりやすいハートウォーミングな要素が好みかと思っていたが、この「グレイハウンド」でのストイックさ、ハードボイルドさは意外だった。ハンクスの表現者としての奥深さと多面性を思い知らされた気がする。

余談だが、最近Apple TV+の3カ月無料オファーがあり、それならということで試用を始めて、最初に観たのが本作だった。4Kの映像は迫力があり、海戦の描写はCGを多用しているはずだが作りものっぽさも抑えられ、(無料ということも相まって)お得感のある掘り出し物だった。

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高森 郁哉

3.5非日常が曇らせる評価基準

2020年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

目を瞠るシーンが訪れるたびに、劇場で鑑賞出来ない暗い事実への反発で心がざわめいた。

青や黒より水しぶきの白が勝る荒波に、角度も鋭くつっこんだ艦首が呑まれていくダイナミズム。これを映画館で観ずしてどうする! 敵Uボートを沈めた証として、兵士たちが流した血のようにどす黒い燃料の油が海面に浮かぶホラーとそれを見つめるトム・ハンクス艦長の悲痛な表情。これを大スクリーンで観られないなんて!

もしかすると反発心が生んだ過剰な評価かもしれない。実際に劇場でこの映画を観ていたら、けっこう良かったね、くらいでスルーしてしまっていた可能性がないとは言えない。事実、約90分という上映時間は、劇場で体感するには少し物足りない尺だ。

劇場で観るはずの映画を小さなデバイスの画面で観るという“非日常”は、明らかに作品を評価する眼を曇らせている。正直に言って、この映画を何のバイアスもなしにこれまでと等しく評価できる気がしない。

これまで大スクリーンで迫力ある映像と音響を当たり前のように享受してきた我々はいま、まさに時代の過渡期にいる。

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オスカーノユクエ

4.0海の上ではセンチメンタルなセリフは不要なストイック仕様!

2020年9月30日
PCから投稿

スゴいなと感心したのはトム・ハンクスの脚本で、観終わってから振り返ってみると、この映画にはほぼ一切心情を吐露するようなセリフがない。海戦の最中にあって、気持ちのケアをしている余裕は一切ないからだ。それでもハンクス扮する艦長は部下を、部下は艦長を気遣い、そして全員がプロの仕事をまっとうしようと全力を尽くしている。心情を吐露しないからとして、登場人物が無味乾燥なわけでは決してなく、それぞれの葛藤が想いは演技と演出から過不足なく伝わってくる。ストイックな脚本を、ちゃんと監督も咀嚼して作っているのだろう(脚本家が主演俳優として出ずっぱりなのだから、監督のプレッシャーも凄そうだ)。

そしてハンクス扮する艦長の、実力と限界とが残酷なほど描かれているのもいい。彼を律しているのが信仰である、という描き方は、正直無宗教なのでピンとは来ないが、『ハクソー・リッジ』にも似た信仰ゆえの過剰さを描いた映画である、という解釈もできるように思う。

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村山章

3.0普通

2022年4月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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パセリ
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