劇場公開日 2022年7月29日

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「いろいろと入れ子構造」アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台 kumiko21さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0いろいろと入れ子構造

2022年8月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 「ゴドーを待ちながら」を演じる囚人たちの本業は本質的には待つこと。だからこそなしうるリアルさに溢れた演技。演技ってなんだ?リアルってなんだ?演じることに魅せられた彼らは閉ざされた塀の中の広場的空間の自由時間でも練習する。それを見て他の囚人たちは演技だと思わずに本気で「心配」してしまう。
 舞台上の劇中劇のみならず波乱だらけのメイキングプロセス(もちろん映画本篇の一部というフィクションなのだが、リアリティ感すごい。プロの俳優が素人の俄仕立ての囚人俳優の演技を演じることの難しさを忘れさせてくれる)を俯瞰して鑑賞していたら、最後にそもそもが「実話に基づく」のであることを知らされた。
 世紀を跨いだベケットへのオマージュである。劇中、存命中ではあるが書籍に掲載されている彼のポートレート写真が映された。本当に短い時間であったけど、インパクトのある風貌だった。

Kumiko21