劇場公開日 2020年9月4日

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「思考実験としての「一人の人間の生涯」」海の上のピアニスト イタリア完全版 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0思考実験としての「一人の人間の生涯」

2020年10月25日
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鑑賞方法:映画館

いやぁ、「イタリア完全版 」なんて言うし。しかも4日間限定?是が非でも見なくては!ってなるやないですか。なんか、やっぱり、芝居ががってるフランス・ファンタジー文学的なイタリア・アメリカ合作。たっぷりと堪能できて大満足です。

ステファノ・ベンニって言うフランスの作家が好きなんです。所謂、ホラ話。実体はファンタジーに近いです。「豪華客船で生まれ、誰に教わったでもないのにピアノの天才で、生涯一歩も陸に降れず、船と共に、その生涯を終えた男の話」。そんな生涯を送った男がいたとしたら。興味は湧かないですか?

もう、俺の中では完全にホラ話。現実離れしてます。現実には起こりえない物語に聞こえます。そのホラを実体・実像化すると、こうなるねんでぇ!的な。

非現実に超人化されてたり、浮世離れしてたり、儚かったり、ストイックだったり。ピアニスト1900は、俺の中では、やっぱりファンタジー的存在。20世紀の一年前と言う名前は遠くて近い「失われた過去の記録」を象徴してるんじゃないかと思うんですよね。今のご時世、「伝説」には立錐の余地も無いくらいに現実主義化してるから。都市伝説に、人が惹かれるのは、人はリアリティや合理化だけを求めて生きてないから、って事かねぇ、なんて事を思いました。

良かった。とっても。

まだ10代だったはずのメラニー・ティエリーの瞳の美しさに、完落ちしました。

bloodtrail