劇場公開日 2021年11月12日 PROMOTION

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カオス・ウォーキング : 特集

2021年11月8日更新

【11月の大注目作】ここは男の思考が具現化する星
そこへ少女が不時着…“新感覚”を観る準備はいいか?
「スパイダーマン」トムホ×「SW」ヒロイン夢の共演

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11月公開作のなかで、アンテナ感度の高い映画ファンから、特に注目されている作品がある。11月12日に公開される「カオス・ウォーキング」だ。

なぜ注目されているのか? その理由は、発明とも言える画期的な設定と、組み合わせにときめきしかないキャスト陣にある。聞けば期待に胸が高鳴り、観れば「自分ならどうするか」「物語に何を感じたか」を誰かと語り合いたくなる。そんな本作の魅力を、「設定」「キャスト」「レビュー」の3つに分けて紹介していこう。


【予告編】そこは、心の声が視える世界。

【革命的な“設定”】男性の思考が視える星 そこでは
女性は絶滅しており、驚愕の秘密が隠されていた――

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●あらすじ

西暦2257年、“ニュー・ワールド”と名付けられた惑星。汚染した地球を旅立った人類がたどり着いた“新天地”のはずだった。しかし男たちの頭のなかの思考やイメージが“ノイズ”としてさらけ出されるようになり、先住者“エイリアン”の攻撃もあり、やがて女は死に絶えてしまう。

そんなニュー・ワールドで生まれ育った、最も若い青年であるトッド(トム・ホランド)は、一度も女性を見たことがない。ある時、地球からやって来た宇宙船が墜落し、トッドはたった一人の生存者となったヴァイオラ(デイジー・リドリー)と出会う。

まさに一目惚れだった。ところが首長のプレンティス(マッツ・ミケルセン)らは、ヴァイオラを捕え、利用しようと画策する。トッドは彼女を守ると決意。2人の逃避行の先々で、星における驚愕の秘密が明らかになっていく──。

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●“ノイズ”という大発明 素晴らしい設定が、物語展開を何倍も面白くする

数々の名立たる文学賞に輝いたパトリック・ネスの傑作SF小説が原作。本作の最大の特徴は“ノイズ"にある。

この星では、男たちの思考は頭の周りにモヤみたいな形で現れる。例えば自分と誰かが話していることをイメージすると、「自分と相手が話している映像」がモヤのなかに蜃気楼のように浮かび上がる。心で発した声は、他人にも受容できる言葉となり、頭に直接語りかけられるみたいに響くのだ。

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このノイズという革命的な設定が、シチュエーションを何倍も面白くしていく。普通に描けば興味を持てない状況ですら、ノイズがあれば素晴らしく興味深いシーンに様変わりするのだ。思考が具現化することを応用し、劇中では以下のような出来事が描かれる。

・思考が簡単にバレる だから隠しごとができない・ノイズを制御できる者もいる・女性にノイズは発生しない

想像してみてほしい。隠し事がバレない時、例えばあなたはどうするだろうか? 思考をコントロールして具現化できるとしたら、何をするだろうか? そして「女性にはノイズがない」ということが、本作の大きなターニングポイントとなる。この星にはなぜ女性がいないのか? 青年と少女は何を求め、どこへゆくのか? すべては本編で明らかになる。

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【ワクワク止まらない】トムホにリドリーにマッツに…
あの超大作の主役たちが、これ以上ないハマり役で共演

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次にキャストを紹介しよう。「スパイダーマン」シリーズのトム・ホランドが主演し、「スター・ウォーズ」シリーズの主人公役で知られるデイジー・リドリー、「ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー」「ドクター・ストレンジ」などのマッツ・ミケルセンが共演。豪華な面々を、秀逸な作品を生み出し続ける名匠ダグ・リーマン監督が演出している。


●星で最も若く、思考を隠せない未熟な主人公:トム・ホランド(「スパイダーマン」シリーズ)

「スパイダーマン」シリーズのピーター・パーカー役で一躍、世界的トップスターへと成長したトム・ホランド(通称:トムホ)。本作でも若く、未熟で、だからこそ魅力的な主人公・トッドに扮している。特に興味をそそられるのは、トッドに待ち受ける展開だ。

心の声が視える星で、思考を制御できない青年が、星中から狙われる少女を匿ってしまった。彼女についての思考が漏れ出れば、すぐに居所がバレてしまう。成長しなければ彼女を守り通せない――観客はトッドに思いを重ね、応援し、やがて物語にグイグイと引き込まれていく。また、レビューパートで詳しく語るが、今回のトムホは超絶かわいらしい!

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●星に不時着し、窮地に陥るヒロイン:デイジー・リドリー(「スター・ウォーズ」シリーズ)

「スター・ウォーズ フォースの覚醒」など新三部作で主人公レイを演じ、こちらも一躍世界的人気を獲得したデイジー・リドリー。今回は、女性が絶滅した星に不時着し、命がけの脱出行に挑むヒロイン・ヴァイオラに扮している。

ヴァイオラの孤独感と寂しさは推し量るにあまりあるが、それでも生きるために前を向く芯の強さが印象深い。「スター・ウォーズ」シリーズでも見せた“時代を切り開くヒロイン像”を、力いっぱい表現している。

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●寛大で有能な首長、だが実は…:マッツ・ミケルセン(「ドクター・ストレンジ」など)

デンマークを代表する国際派で、今や世界中で愛される人気俳優となったマッツ・ミケルセン。今回演じたのは、星の人々を束ねるプレンティス首長だ。

トッドも尊敬を寄せるなど、人々を強烈に惹きつけるカリスマ性を発揮する一方で、その実、人の猜疑心や虚栄心につけこむ天才。公明正大、寛大でありながら心根の奥は静かに狂った悪、という役をやらせたら、マッツの右に出る者はいないのではないか。そう思うほどの存在感である。

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●監督は「ボーン・アイデンティティー」「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のダグ・リーマン

メガホンをとったダグ・リーマンは、上記の作品などで知られる世界的ヒットメーカー。巨大宇宙船、エイリアンとの戦い、星をめぐる追走劇――誰も体験したことのないこの新感覚SF大作は、劇場で目撃すべきだと自信をもって言える。

そして脚本には、「スパイダーマン ホームカミング」のクリストファー・フォード。さらに原作者であるパトリック・ネスも脚本を手がけ、小説が持つ魅力を最大限に活かしつつ、映画としてもインパクトを与える物語を編み上げた。ほか出演に「ゴジラvsコング」のデミアン・ビチル、「ハリエット」でアカデミー賞ノミネートのシンシア・エリボ、「ジュマンジ」シリーズのニック・ジョナス、「グローリー 明日への行進」でゴールデン・グローブ賞ノミネートのデビッド・オイェロウォら実力派が集結。豊かなアンサンブルをかなでている。

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【編集部レビュー】“中学生っぽい”トムホが愛おしい
設定の裏に潜む“エモい物語”を辿るべき、SF大作

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突然だが、結論から述べる。声を大にして言いたいのは、

今回のトム・ホランドもめちゃくちゃイイよ!!

ということである。

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心の声が視えてしまう星を舞台とする作品に、絶対に心のなかで喋りまくっているであろうトムホが主演するという時点でもう素晴らしいのだが、それ以外で何がいいかって、もう、トムホが観ていてくすぐったくなるほど“中学2年生っぽい”のだ。

例えばこんなシーン。主人公のトッドは女性を見たことがないので、ヴァイオラと鉢合わせした瞬間、「女の子だ! 本物だ!」みたいな、伝説の生き物を発見したのと同じような反応をする。

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で、免疫がないからすぐに恋してしまう。ここからも非常に面白く、トッドの頭のなかは「黄色の髪かわいい」「かわいい。うわー! かわいい」で埋め尽くされていく。するとこの星では男の思考はダダ漏れになるので、少女に自分の思いが伝わってしまうわけだ。

心の声が漏れる度に赤面し、恥ずかしい思いをしないよう「僕はトッド・ヒューイット、僕はトッド・ヒューイット」と呪文のように唱えるトッド……。すさまじくピュアで、ガラスのように繊細な心の持ち主である青年が、思いを寄せる女性への下心を統御(不可能に近い)しつつ、同時に追手から守るという筋書きが、観客の心を右に左に上に下に振り回していく。これがスリリングで、胸がキュンとなる瞬間もあり、たまらない。

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一方で全体的にアクションはややおとなしめ(むしろ、そこがケレン味がなくて良い、と筆者は思っている)だが、そこはやはり名手ダグ・リーマン監督。ストーリーテリングの妙で緊張を持続させ、観客の興味を削がない手腕は匠の域にある。ノイズという設定の素晴らしさは、得てして「作品で一番面白いのはノイズ」という事態になりかねない、いわば強烈な諸刃の剣でもあるが、リーマン監督は物語に一本の芯を通すことで作品に豊かな奥行きをもたらしている。

その一本の芯とは、トッドという青年と、ヴァイオラという少女が、孤独であるがゆえに絆を育んでいくエモーショナルな過程だ。2人はその細い、しかし確かな糸を手繰り寄せ、やがて欠落を埋め合わせていく。中盤から終盤にかけ、トッドが今は亡き両親に思いを馳せるシーンは白眉だ。設定の裏に潜むエモーショナルな物語を辿れば、温かい感動があなたを待っているはずだ。(編集部・尾崎秋彦)

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