劇場公開日 2020年11月6日

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「自身の人生に向き合う面白さと寂しさを絶妙に表現された作品」おらおらでひとりいぐも コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0自身の人生に向き合う面白さと寂しさを絶妙に表現された作品

2022年10月27日
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鑑賞方法:VOD

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内容は、埼玉県所沢市に住む独居老婦人日高桃子75歳の生活に密着した心模様を表した映画。一人で暮らす事の自由さ寂しさ楽しさ辛さをコミカルに描いた沖田修一監督独特の世界観を余す所なく発揮し名優の際立つ演技が面白い。印象に残った言葉は『垣根をブロックにしたかったが、勿体ないと言われ辞めた。一体誰の垣根やら‥』警察官の息子の友達と話する場合。欲しかったのは自立で自由それは痛いほど伝わってきた。脚本もカメラワークも天井の足音も最初と最後で逆だし、台詞回しも最初と最後が繋がる様な構成には基本ですが良い味感じます。印象に残った場面は。玄関先に置いてある車椅子に挨拶してから墓参りに山登りする場面が愛に絡め取られた自分を誇る様で良かったです。朝起きて『どうせ』が寝てろと声掛ける場面も良かったなあ。何気ない毎日の繰り返しの中で少しの変化に希望の様な微妙なモノを感じさせる所が面白かったです。最後には孫に自分達の東北弁が受け継がれていた事を嬉しく思いしみじみ感嘆したのも細やかですが良かった。地球46億年の記憶を辿る一片の様で上手いなあと感心させられました。傍目に見たら独り言の多い怖い老婦人だとは思いますが、映像化されると楽しさがこれだけ増すとは凄い。自分も75歳まで生きれば分かる感覚なのかも知らない世界観が良かったなあ。最近さかなのこ🐟を見て感動しましたが、『おらいぐも!ひとりでいぐも!』も非常に面白かったです。。

コバヤシマル