劇場公開日 2022年2月18日

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「戦争犯罪について私たちができること」マヤの秘密 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0戦争犯罪について私たちができること

2022年2月20日
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鑑賞方法:映画館

戦争は、勝ったほうも負けたほうも国の再興・復興という大きなミッションを克服しなければならない点では変わりない。勝利の高揚感の中で始まるか、絶望に打ちひしがれた中で始まるか、の違いがあるのだとしても。
と思ったところで愕然としました。
自分はイタリアやドイツの戦後の歩みについて何も知らないではないか❗️ナチやファシスト党について、このふたつの国は自国内でどう総括し、今に至っているのか。
ド・ゴールのおかげで戦勝国になれたフランスでもナチに加担したヴィシー政権については腫れ物扱いのようだったと聞いたことがあります。
日本は、といえば戦後このかたずっとアメリカ主導できたので、そちらについて行くのに精一杯で、アジア各地において行われたであろう局所的な戦争犯罪について特定個人を裁くことも含めて総括的なことはたぶん行われていないのだと思います。
徹底的に負けて国の体制自体もリセットされたことで、戦時中に起きた色々なものも一旦なかったことになり、戦争体験者の大多数が鬼籍に入ってしまった今(死人に口なしだから反論される心配がないせいか)、歴史修正主義の勢力が〝この国のかたち〟を法解釈の変更を積み重ねながら戦争のできる国に変えつつあるように思えてなりません。

『戦争犯罪においては、加害者だって心に深い傷を負っている場合がある、だから許されるべきである』
なんてことを言うつもりはありませんし、被害者による私的制裁(リンチ)もまた許されるものでもないはずです。
戦争犯罪のような、個人が負うにはあまりにも重たい出来事は、公的な記録としてしっかりと後世に残し、歴史の中で裁かれるのを待つ、というのが戦後を生きる我々がすべき責務なのだと思います。

そう思うにつけ、公文書改竄やお上にとって都合の悪いことはそもそも記録に残さない、ということがあからさまな最近の政権がとても危険なものに見えてきます。

グレシャムの法則