劇場公開日 2019年12月7日

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「肩透かしな内容と裏腹に…儚いアメリカンドリームと浮世離れな世界に踊る」ジョン・デロリアン かわちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0肩透かしな内容と裏腹に…儚いアメリカンドリームと浮世離れな世界に踊る

2021年1月26日
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鑑賞方法:VOD

単純

興奮

クルマ好きなら知っている、悲劇の一面も持つクルマ、デロリアン「DMC-12」。クルマだけではない悲劇を、男のロマンと共に映し出す、アメリカンなミステリー。
トムはポンティアックGTOに乗る、少し金持ちな中年。彼は麻薬取引の前科を消してもらう代わりに、元締めを引き寄せる役割を任されていた。そんなある日、デロリアンと仲良くなったことで、夢を共に見るようになるが、自身にも身の危険と運命の選択が近づいていた…。トムがテラーになるのだが、導入が少々複雑で掴みにくいのも事実。デロリアンと関わるきっかけも霞んでいた気がする。とはいえ、次第に裁判の理由が浮かび上がってくると、物語は大きく流れを変えてゆく。夢を語るだけではないデロリアンの熱量と、巧みな戦略が次第に大きな実像となって浮かんでくる。実際に、バック・トゥ・ザ・フューチャーで有名になる以前は、変わったクルマであったことは違いない。しかし、こうして名車になったことは、彼の夢の結晶が間違ったことではない。本題に戻すと、彼の名誉が失墜したのは、麻薬取引に手を出したことである。その焦点と豪腕な経営方針で起きた裏側を描いてゆく。そのため、割と人の真義を問いただすような本筋に持ってっていることが分かる。物足りなさはあるものの、デロリアンが目指した夢の行方は熱さを感じる。
デロリアンが世に出ていなかったら、どんなクルマが未来へ遡っていたのだろうか。大胆で大きな野望を感じる、浮世離れなドリーム。面白かった。

たいよーさん。