劇場公開日 2022年5月13日

「役作りが出色&ディテールも充実」シン・ウルトラマン talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0役作りが出色&ディテールも充実

2024年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

もちろん、評論子も「ウルトラマン世代」(ウルトラセブン、ウルトラマンA)の一員で、その意味では、このシン・シリーズの公開も楽しみにしていた一本になります。

「シン」シリーズでは、初めての作品にもなりますけれども、テレビの放送番組とは打って変わって、グッと「大人向け」の味付けで作られていた作品だったとと思います。本作は。

その中でも、特筆すべきは、過威獣特設対策室で、神永新二(ウルトラマン)のバディ(相棒or相方)を務めた浅見弘子こと、長澤まさみの演技と言えるでしょう。

自らの職務に充分な自信と自負を持ち、それゆえ、専門職(分析官)としての落ち着いた物腰の霞が関のエリート官僚を、遺憾なく演じていたと思います。評論子は。

お役人=官僚の世界は、どうかするとステレオタイプに見られがちなのですけれども、こんなに見事に演じきっていたということは、他の過特対メンバーと同様に、「霞が関官僚」という、ある意味ではマイナーな「生き物」という役作りに、相当な努力と苦心とがあったもと推察します。
評論子としては、その労を多としたいと思います。

そして、彼女のそういう出色の演技なくして、過特対は映えなかったと思います。評論子は。

彼女の演技が出色の一本としてだけでも、佳作と言えると思います。

<映画のことば>
「気の利かない男ねぇ。君もついでにコーヒーでもどうだと聞くか、黙って置いていくくらいした方がモテるわよ。」
「我々は個体で生命が完結している。それぞれが、自分の意思で、自分のために動くものだろ。」
「世の中は個人だけで構成されていない。あなたのコーヒーも、着ている服も、みんな見知らぬ誰かのおかげなの。人は誰かの世話になり続けて生きている社会性の動物なのよ。」
「そうか。それが群れか。」
「アホなの?この男は。」

(追記)
消耗品とされている用箋類や筆記具(ボールペン)などは別として、ある程度の耐用年数のあるものは公有財産としての「備品」として、個別に台帳に搭載して管理されています。お役所では。

つまり、一品一品に「備品管理票」というシールが貼られていて、購入年月や使用している所属が明記されます(おそらくですが…そこまで徹底して備品を管理している民間企業は、まずないと思います)。

しかし、過威獣特設対策室で浅見分析官の机の上の電話機には、ちゃんと、この備品管理票が貼ってありました(驚)。

ディテールといえば、ほんのディテールなんですけれども。
しかし、その一点からしても、本作の製作スタッフが、「霞が関」というところを、いかに綿密に取材しているかということが、明らかだと思います。評論子は。
そういうことから、そういうディテールにまで気を遣っている作品というのは、観ていて、気持ち良いものです。
(A県のとある漁港という設定のはずが、画面に映る漁船は、何故か他のB県の知事から登録番号の配布を受けた漁船ばかりというのは、ロケーションという「大人の都合」ということで、ほんのご愛嬌。)
個人的には、こういう「つくりの良い」作品に出会うと、嬉しくなります。

ちなみに、お役所で、自分の電話機(内線電話)が配付されるのは、役付職員(係長級以上)。浅見弘子さんは「分析官」という「役付」ですから、当然、使っていたのは、彼女に専用の電話機。
なお、単独の外線(NTT線)が配付されるのは、管理職以上(ただし、お役所でもタイヤル・インが一般的になってきた昨今は、そうとは限りませんが…。)。
浅見弘子さんは分析官という官位をお持ちで、ライン職(局長→部長→課長→課長補佐→係長→係員)に引き直せば「課長補佐級以上」で、過特対の部屋の中では直接に使っている部下は置かれていなかったようですが、扱いとしては管理職待遇の方ですから、セオリーから行くと、彼女の電話機は、ゼロ発信で専用の外線が使えたはずです。→誰がかけた電話かすぐにわかるので、電話料金が多額になると、予算経理担当からのチェックが入るというデメリットもあると聞き及びます。汗)

それゆえ、ちゃんと管理職手当の支給も受けていたことでしょう。彼女は。(笑)

本当に「ほんの余談」なのですけれども。
そんな空想(妄想?)も楽しめたところも、評論子には、好印象の一本でした。

talkie
talkieさんのコメント
2024年2月10日

トミーさん、コメントありがとうございました。
「細かい設定や小ネタ」…だんだん芸術へと昇華してきたとはいえ、もともと映画は「娯楽」だったはずですから、こういう要素は、やっぱり大事なんじゃないかと、私も思います。
今後ともよろしくお願いします。

talkie
トミーさんのコメント
2024年2月10日

共感ありがとうございます。
庵野作品は、細かい設定や小ネタがハマるとグッと評価が上がりますね。
長澤さんは凄く良かったと思います(巨大化、フェチぽい描写含む)だけに、次のシン仮面ライダーでの扱いは酷い・・

トミー