劇場公開日 2019年12月6日

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「主人公のささやかな決意と行動が、人生の真理を柔らかく伝えてくれる」私のちいさなお葬式 ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5主人公のささやかな決意と行動が、人生の真理を柔らかく伝えてくれる

2019年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

人生の最後を意識することで、人の生き方は大きく変わるという。私は未だそういった境地に立てずにいるが、本作の主人公のささやかな決意と行動力は、その人生の真理を優しく、柔らかく伝えてくれているかのようだ。

医師から余命いくばくもないことを告げられた彼女にとって、ロスタイムがどれだけ残されているのか皆目わからない。だがその中で彼女はやれるだけのことをやろうと一つ一つ物事を処理していく。このあたりの几帳面さにはかつての教師歴とも関係しているのだろうか。今やすっかり中年になった教え子たちに「先生、先生」と慕われる主人公は、彼らや友人や隣人らを巻き込みながら、自らの手で準備を着々と進める。こうして過ぎ行く日々は、死へのカウントダウンではなく、むしろ生をぎゅっと凝縮させた時間と言えるし、冒頭から登場する「鯉」はまさに生の象徴として印象を刻む。深遠さを感じさせるこの映画の美しいラストが私はとても好きだ。

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牛津厚信