劇場公開日 2019年7月26日

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「光り輝く眼」セーラ 少女のめざめ KinAさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0光り輝く眼

2019年8月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

扉は開けられるのは私だけ。
女優として成功を夢見るセーラの辛さやもどかしさ、恐怖も高揚もストレートに伝わってきて、終始彼女に寄り添いながら観ている感覚になった。

抱き続けた夢のため目の前に示されたチャンスのため、起こした行動の代償と対価。
スリラーとスラッシャーとオカルトと、色々な要素が混ざり合いどんどん混沌としてくる展開にどんどん興奮してくる。

同じ夢を持つ同志からのあからさまな嫌味とマウント攻撃、不本意な現実へのストレスがしんどい。
リアルに心をチクチク刺してくる絶妙な塩梅だった。
セーラ自身もなんだか不器用で選ぶ言葉にセンスは無いし、いつも一言多い印象。頑張っているだろうにこれでは生き辛い。
しかし人の怪我でフッと笑えるその精神がとても好き。そうそう、それこそ本音。

セーラのビジュアルの変遷が楽しい。
一つの決断をきっかけに始まる、不可解でグロテスクな変貌。
彼女にだいぶ移入して観ていたので、これは結構本気でキツかった。好き。現実になりませんように。
もう駄目かと思ったところでの解放、多種多様な殺戮には思わず拳を握った。痛い痛い!

どうせ魂を売るなら好きなことへ。燃える夢に全て奪われるなら本望。
生まれ変わったその眼に引き込まれる。
欲望と野心を理由に倫理を冒す人の姿はこの手の映画では大好物。
最後は謎の多幸感に包まれて胸がいっぱいになる。

ただ、行き着く先がちょっと安直な気もする。
もっともっと目覚めても良いと思う。
混沌とした先の収まりがわりとお綺麗だったので、そこからもう一段階ヒートアップしてくれたら最高だった。

スターが皆こんな成り立ちだったら…と思うと堪らない。そんなわけないんだけど。
そもそも示されたチャンスも実はそこまで大きくないと思う。
映画としての終盤は多幸感でフワフワするけど、悪魔に身を委ねたその先に本当に思い描いた未来が待っているとは到底思えない。
本当に才能がある人は魂は売らない。
ホラー要素をふんだんに入れ込んだフィクションだけど、起きていることは現実的に珍しくないだろうな。
夢に身を滅ぼす人がどれだけいることか。

KinA