ラスト・ムービースターのレビュー・感想・評価
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かつてのセックスシンボルはまさにこれからが勝負の季節だったが
まるで古い蝋人形のような風貌で、かつてのスーパースターが招かれて地方の映画祭へと嫌々ながらも馳せ参じる。途中、演じるバート・レイノルズが痛いセルフ・パロディっぽいセリフを幾度となく吐きつつ。レイノルズのキャリアを知るファンは複雑な気持ちに違いない。一方、若い映画ファンはハリウッドの栄枯盛衰の過酷さを思い、笑いたくても笑えない奇妙な感覚を覚えるかもしれない。もし、興味を感じたら以下のことを知っていて欲しい。マッチョスターのシンボルとして人気最盛期はマネーメイキングの分野でクリント・イーストウッドと渡り合ったレイノルズは、大学時代に打ち込んだアメリカンフットボールで鍛えた裸体を、女性誌の"コスモポリタン"で披露して以来、絵に描いたようなセックスシンボル路線を歩み始める。しかし、次第に監督として頭角を表していったライバルのイーストウッドとは違い、その後もイメージを刷新することなく出番を無くしていく。そんな一瞬の閃光、時代の徒花的な存在だったレイノルズだが、だからこそ、ポール・トーマス・アンダーソンの「ブギーナイツ」で演じたポルノ監督役がぴったりだったし、もし、生きていたら「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」に登場する牧場のオーナー役は適役だっただろう。つまり、生きていたら、まさにこれからが勝負のシーズンだったのだ。
ベタな小品だけど、そこがいい。
バート・レイノルズにどっぷりと浸かっていた時期は特にないのだが、この人のパブリックイメージみたいなものは感じていた。今どきは流行らないような、胸毛の濃いマッチョ野郎で、シリアスさを吹き飛ばしてくれるような明るさを持っている陽気なアメリカ人。そんな映画スターが調子のいい全盛期を経て、やがてかつての輝きを失ったからこそ『ブギーナイツ』のような当たり役が生まれたと思っているが、それにしても、演技者としてあまり評価されないまま晩年を迎えていたように思う。
本作は、厳密には遺作ではないが、確かに遺作に見えるように作られている。少なくとも監督が、バート・レイノルズというスターの人生とキャリアと劇中の主人公をダブらせて、総決算のような映画を意識していたことは間違いないのではないだろうか。物語はベタだし、エッジさを狙っているところもないし、言うなれば平凡な人情噺だ。でも、それがバート・レイノルズという個性にぴったり合っているからこそ、この平凡な映画になんとも言えない感傷を感じずにはいられないのである。
こ、この人、バート・レイノルズか? 衝撃ともはや終活期に入った私に...
こ、この人、バート・レイノルズか?
衝撃ともはや終活期に入った私には、前半のコメディパートも笑いというより滲みた。
後悔したくないと思いつつ人生は後悔ばかりだ。私もあの時こうしてたら…たくさん(笑)
本作、そんな思いをラストでほんのちょっと救ってくれます。
むちむち運転手アリエル・ウィンターがいい味、彼女との絡みが楽しくそしてほっこり。
本作から少し、バートは旅立ちました、合掌。
BS12字幕版鑑賞
現在と過去と明日へ
泣きました。
想像以上でした。
自分の少し先の未来を感じながら、共感の嵐が心の中に押し寄せてきました。
自分は、スターではないけれど、老いとともに同じような感じを味わうのだろう。
自分は、贖罪できるのだろうか?
贖罪したいけれど、やる術がない。
リルの存在が、ラストムービースターを浮き立たせている。
ベタな話かもしれないが、初老の自分には、心に浸みる映画です。
結末は変えられずとも途中は変えられる
途中で挟まれる過去の映像、音楽、街の景色、登場人物たち、全てがアメリカの映画という感じだった。
過去のスターがあるきっかけで過去を振り返る旅に出て、変わっていく。ストーリーはありがちだけれど、結末は変えられなくても途中は変えられるのだというメッセージは響く。
表情が優しく変わったリルが印象的。
この役のオファーを受けたことが凄い。
アマプラで鑑賞。
子供の頃大好きな役者だったバート・レイノルズだが、全盛期に何度もテレビ放送されていた「ロンゲストヤード」、「トランザム7000」、「キャノンボール」あたりは放送される度に必ず観ており、「ブギーナイツ」で久しぶりにその姿を見た時にはあまりにもおじさんになっておりビックリした事を思い出したが、本作はそれより更に20年後の映画で当たり前だが完全な白髪の老人になっており更に驚いた。
バート・レイノルズはそもそも肉体派俳優でアクションコメディ映画で世間に知られ、陽気でお気楽な男臭いタフガイ役ばかりであったため、そのイメージがあまりにも強すぎ演技派への転向が上手く出来なかった俳優という印象がある。
勝手な見方だが、ひと世代上のチャールズ・ブロンソン、ひと世代下のトム・セレックあたりもバート・レイノルズと似たような道を辿っていたように思う。
なので劇中にも実名で出てきていたロバート・デ・ニーロやジャック・ニコルソンらのアクターズスタジオ出身の俳優達とはそもそもが違うと思っている。
バート・レイノルズがこの役のオファーを受けた背景には60歳を超え晩年に差し掛かった時に出演したブギーナイツでその演技が評価されていたことに尽きると思う。
劇中の主人公ヴィックとバートの大きな違いはここであり、これこそがバートが本作に出演するための最低限のプライドであったように思う。
ヴィックは今時のぶっ飛んだ女の子リルや映画祭の主催者であるリルの兄等との交流、故郷の昔を知っている人達やかつて捨ててしまった元奥さんに会う事などで、自分自身がスターで周囲にチヤホヤされていない時に温かく迎えてくれていた人たちに対し、はじめて本当の厚意のようなものを知り、心を入れ替え謝罪し、これからの人生を更に前向きに生きようと決意する。
正直いうとありきたりな設定かもしれないが、他作品との圧倒的な違いは役者自身の経歴と劇中の設定がマルっと重なっているという事であり、ここがこの映画の唯一にして最大の生命線だと思う。
往年の映画ファンとして、鑑賞することができ本当に良かったと思わせる映画であった。
※チェビー・チェイスだって最初はわからなかったw。
バートレイノルズの最期の作品
まさしくラストムービーだ。
年老いたかってのセックスシンボルに
映画祭の招待状が届く。まさしくバートレイノルズだ、
トランザム7000、ロンゲストヤード、ブギーナイツや脱出が僕はすきだ。あとジャーキーズマシーンとか。
チェロキーインディアンの血を引く彼はユダヤ人として
作品には紹介されてましたな。
タランティーノのワンスアポナタイムインハリウッドの出演が決まっていたが他界したのは、残業だったなあ。
重なる人生だが、持ちなおしは明るく
「ロンゲスト・ヤード」は名画座で観た。全盛期を知る世代か。まだ、男くささを売りにするスターがハリウッドには多かったかな。中学生ぐらいの自分は男らしさに憧れた記憶。マックイーン、ブロンソンも健在、作品でもセリフにあるイーストウッドも。
主人公が回顧して悔やむのと同じように、バート・レイノルズは「あの人は」的に過去になっていた。セリフの端々に、彼自身の生きざまと重なる部分もありそうで、ホンネなのか台本なのか分らなくなってしまう不思議な感傷。
過去のわだかまりを贖罪し、生まれ変わった彼の顔色が良くなったのが救い。役者人生の復調と重なっている。
アリエル・ウィンター
Netflixドラマ『モダン・ファミリー』の次女、この子を見たくてチョイス
めっちゃかわいい、雰囲気変わったけど(笑)
バート・レイノルズは見たことない…
けど年齢を重ねた男優として自然体の演技が素晴らしい
古いフィルムとの合成もすごくいい!
ありそうな素人映画祭も微笑ましい!
ただ全体的には作りが子供っぽいな〜
自分の過去の過ちをこうして大々的に謝罪できた人は心置きなく死ねるでしょう!!幸せです
普通の人はこういうチャンスなく
どんどん意固地になって嫌われ
不幸な末路となることも…
新しい犬を迎え入れてもう一花咲かせるのかな
生きていてこそわかること
私も55歳になった、もう若くないと自分に言い聞かせなければならない歳になっている
ただ、まだまだ諦めたくはないので悪あがきは今もこの先もできる限り続けていくつもりでいる
この作品の主役ヴィックを見ていると私の父の姿とダブってしまう
まだ元気だがいろいろと諦めていて家から外に出ることも殆どないのだ
今の私はそんなの嫌だ、まだまだ諦めないぞと思うが父の歳になり身体が不自由になった時、はたして同じ気持ちでいられるか疑問だ
この作品でヴィックは若き自分と話しているシーンがある
若きヴィックは生き生きとして自由奔放で怖いもの知らず
年老いたヴィックはその先の事まで全て知っている
自分が今まで間違いだらけだったことを知っている
若きヴィックに何を言っても言うことを聞かないことも知っている
私の父も若い頃はそうだった、誰の意見も聞かず一人で商売を始めてそこそこ忙しく毎日羽振りよく事業は上手くいっていた時もあった
ヴィックはレイノルズであり私の父でありいずれ来る私の姿でもあるのだ
その時私は若き私と話せたとしたら何を言ってやれるだろうか
いや、まだ遅くない「今」この気持ちになっていることを大切に忘れずにこの先を進んでいこう
『この先からはラストシーンについての感想になります
見てない方はご注意下さい』
バート・レイノルズは最後の最後に笑ったのです
彼はまだ諦めていなかったのだと、まだ明日を見ているのだと思うのです
世代間化学反応
バート・レイノルズさんの映画は随分見ているがワンパターンの大根役者といった印象だったので正直あまり気乗りがしなかったのだが、観てびっくり、唸ってしまった。
老成して脂ぎった部分が無くなったせいもあるだろうが最高の名演技、もしかして演技を超え、本当に自身を重ねていたのかもしれないと思ったりもしました。
本がまたいい、監督・脚本のアダム・リフキンさんはバート・レイノルズありきの当て書きと言っている。昔の主演作の本人と2ショットというCGマジックの活かし方も秀逸。
セリフも良いですね、性質の悪いボーイフレンドに見切りを付けろと説教するヴィクに「5回も結婚に失敗している奴に愛を語って欲しくない」とため口で返すリル、かってのビッグスターだからといってちやほやせず、イカレタ姉ちゃんだからと言って馬鹿にもしない、おそらく亡くした娘への想いもあるのだろうが御爺ちゃんと孫のような二人が化学反応を起こしてゆく過程が見どころですね。
最初の妻へのプロポーズのエピソードと再会の描き方、ベタすぎるけれどなんてロマンティックなのでしょう。老犬との別れで始まり、子犬を笑顔であやすラスト・シーン、老いへの悲しみと希望への再生のメタファーなのでしょう。
昔を懐かしむ、故郷へ帰ろう的なロード・ムービはよくあるが映画祭招聘を転機として描くという構想は新鮮でした。バート・レイノルズさん、図らずも遺作となってしまいましたがこんな素敵な幕引き、俳優冥利に尽きるでしょう、ご冥福をお祈りします。
生きることが愛おしくなる。
春・・・遥か先に見える希望の光のみを見上げ坂道を駆け上がる時期。
夏・・・間近に見える希望の星に手をかけ、逃すまいと必死に掴もうとしている時期。
秋・・・希望と不安が綯交ぜになったなかで現実という目の前の相手と対峙して奮闘している時期。
冬・・・果たして自分のしてきたことは正しかったのか?自分が歩んできた軌跡は美しいのかを考察する時期。
そして人は四季の軌跡を残し、死期を迎え鬼籍に入るのだが・・・
この作品は上記の全てが詰まった、小さな小箱である。
それもとびきりの小箱。
この小箱を開けると、涙し、感動に震える。
すばらしきかな人間。
バート・レイノルズ最後の主演作
主人公(バート・レイノルズ)は今は年老いてしまったが、昔は映画スターとして名をはせていた。
そんな主人公のもとに映画祭の招待状が届き、出かけてみることに。
ところがこの映画祭はファンだけで立ち上げているしょぼい映画祭だった。
主人公と運転手役の女性との珍道中が始まる。
バート・レイノルズはとてもいい作品に巡り合ったようだ。
スター
フィクションなのだろうがレイノルズの半生のような作りになっている。見せ方が上手く楽しめた。70、80年代よく映画を見ていたのにレイノルズの作品をほとんど見てこなかった(見たのはグレートスタントマン)。亡くなっていたことも知らなかった。スターは年老いてもスターだった。
「終活」ムービーの秀作
ここ数年、イーストウッドの「運び屋」レッドフォードの「さらば愛しきアウトロー」など、老人になった往年の映画大スターが主演を務める「終活ムービー」が次々公開されている。
それら特徴として、作中の主人公に演者自身を投影するメタフィクション的な構成の作品が多いんだけど、本作はそうした他の作品と比べても、かつて一世を風靡した老俳優ヴィック・エドワーズに演じるバート・レイノルズのキャリアや人生が色濃く反映されている。
ストーリー展開はベタで目新しいとことはないし、傑作とは言い難いんだけど、ラストではヴィックやリル、映画祭に集まる連中全てが愛おしく思える秀作だと思う。
いい映画
犬で終わり、犬で始まった。
結婚式のサプライズゲストで歌いおえた時、そして、さいごのスピーチがおわったときは、(映画館なのに)拍手をしそうになった。
テネシー州のカントリーミュージックがしっくり合っていたやわらかい映画だった。
ウィリー・ネルソンの『To Get Here』の歌詞が良くて席を立てなかった。
魂が舞い戻る場所。
ダダ泣きの三分。
老いる哀しさにに打ちひしがれる日々。って言う程でも無いけれど、すっかりと隠居生活に慣れ切って、まるでお迎えでも待ってるかの様な生活のヴィック・エドワーズ。
ナッシュビルの超田舎ローカル映画祭、と言うか同好会の定例会程度のイベントに出向いたレジェンドは、その貧相な様や待遇にヘソを曲げ、一晩だけで帰ろうとしますが、車で三時間走れば、生まれ故郷のノックスビル。うつ病を抱える案内役兼ドライバーのリルと共にノックスビルを訪れる物語。
ヴィックが若かりし頃に出演した映画の中に、老いたヴィックが登場し会話します。「何故、お前はそんな生き方をしているのか?」って言ってる様な気がしてならない。
5回結婚したヴィックは老人ホームにいる最初の妻の元を訪れ、過去の自分の行為を謝罪します。ナッシュビルの映画祭の会場に戻って懺悔のスピーチ。そのバックには、痴呆症の妻を強引にホームから連れ出し、プロポーズの再現をするシーンが流されるんですが、そこが泣けてしまい。もうね、ダダ泣き。久し振りに。
あの頃が一番幸せだった。そんな事は、わかってるよね。わかってたよね、もっと前から。ずっと前から。自分の魂が舞い戻るべき場所に、帰れなかった理由があるとしても、「帰れない理由」にしてしまってるのは自分自身。
リルが幸せを掴めそうになったのもまた、幸せになれない理由を作ってるのは自分自身だった事に気付いたから。
そんな物語。良かった、とっても。
パート・レイノルズ最後の主演作だそうです。名優に合掌。ホントに滲みる映画、演技でした。
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