劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song : 映画評論・批評

2020年8月11日更新

2020年8月15日より新宿バルト9ほかにてロードショー

3部作の最終章、「Fate」ファンにとっての「エンドゲーム」

「――問おう。貴方(あなた)が、私のマスターか」。このセリフの意味が分かる人は、この文章を読むまでもなく劇場に足を運ぶことだろう。

映画ファン向けに例えると、本作から見はじめるのはMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)を1本も見ないでシリーズ総決算の「アベンジャーズ エンドゲーム」を見るようなもの。重厚な物語で、ファンにとってのお祭り映画であるところも共通している。

2004年発売のPCゲームからはじまった「Fate」シリーズは、MCUさながらの多種多様な作品群がある。その原点である「Fate/stay night」の最後のエピソードをアニメ化したのが今回の3部作。「Fate」シリーズの肝である「聖杯戦争」の秘密が明かされ、他にも前2つのエピソードを知ったうえでこその驚きと楽しみがある。最初に紹介したセリフもファンにはあまりに有名で、これまで同じシーンが何回もアニメ化されているため省略されているほどだ。

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では、まっさらな状態でどこから見たら本作を楽しめるかというと「スター・ウォーズ」を何作目から見るかという問いと同じで「最初から全部」以外の選択肢となると本当に難しい。スマホで1つ目のエピソード「Fate」を無料でプレイできるので、さわりだけでも読んでみて世界観をつかんでから1、2作目を見れば、なんとか物語についていけるはず。

……というぐらいややこしい(でもそこが面白い!)「Fate」シリーズの、しかも映像化のハードルが非常に高いエピソードを見事にアニメ化してファンの心をとらえ、1、2作とも興行収入15億円を超えるヒットを記録している3部作の堂々たる最終章。ここまで書いたことを引っくり返すようだが、エンタメ界を席巻したテレビアニメ「鬼滅の刃」を制作したufotbleによる圧巻のアニメーションだけでも十分に楽しめ、何も知らないまま見てもあふれんばかりの熱量を感じられると思う。

五所光太郎

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