劇場公開日 2019年9月27日

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「秀作だ。しかし、女性の性器も受難を被るが、男性の性器(キ⚪タ⚪の方)がこれだけ痛め付けられる映画も珍しい。」宮本から君へ もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0秀作だ。しかし、女性の性器も受難を被るが、男性の性器(キ⚪タ⚪の方)がこれだけ痛め付けられる映画も珍しい。

2022年8月28日
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鑑賞方法:VOD

①原作は読んだこと無いけれども、短い説明文を読んだ限りでは生き方は下手だけれども熱血漢の主人公が仕事に恋に人生に頑張って行く青春物と漠然と思っていましたけど、現物は全然違いましたわ。②内面は殆ど描かず分かりやすい外面(顔の表情とか行動)だけで宮本浩という若者を見事に具現化した池松壮亮の好演に先ず触れねばならないのだろうが、それよりも先に蒼井優の好演に目が行った。③宮本宅に挨拶に行ったときにはいつものお淑やかな立ち居振舞いだったのに、井浦新扮する裕二が闖入してきた時とか、宮本が自己チューの感情をぶつけて来た時のキレッぷりというか、怒鳴りっぷりというか、負けない返しっぷりが素晴らしい。宮本との口喧嘩も殆ど漫才並みで笑ってしまった。確かにこれくらいの女性でないと宮本のあの熱気に互角に渡り合えないのかもしれない。職場に乗り込んできて一方的にプロポーズする宮本を罵倒しまくった後、「そういうことでこの度妊娠しました」と職場の皆にシレっと言うところも笑ってしまった。しかしその一方で、母親や妹には屈託無く接するのに父親に対する複雑な感情(ちょっとファザコンか、父親の“東京に出す時にこういう帰り方だけはしないと約束したよな”という台詞は重いなァ、本人も痛いほど自覚しているようだし)をそれとなく表現して、一歩間違えると宮本同様マンガの登場人物(原作はマンガだったね)の単なる実写化になるところを、靖子という活きた人間像の造形に成功している。④映画化の前に同じ監督、同じ俳優陣で前日譚を撮っているんですね(未鑑賞です)。だから宮本の造形もそっちで済んでいるわけだ。映画では最初っからハイテンション。上司や先輩と対峙しているときは普通の社会人っぽいし、靖子の実家に挨拶に行った時も好青年だが、それ以外はすぐキレて初めはややウザイ(でもチンピラとかのキレ方とは違うね。チンピラは自分の弱さを隠す為にキレる芝居をしているけど、宮本は真剣に事態に腹を立ててキレているから本物だ。経験者は語る。)映画を観ているうちに宮本のその真っ直ぐさ(中間がない)が段々分かってきて愛おしくなってくる。⑤しかし、裕二から靖子の妊娠を聞かされた途端、裕二の股間を蹴りあげるか、普通⁉️でも、靖子に子種を宿したのは自分だと真っ直ぐに愚直に思い込んだ宮本にとっては、もう一人の子種の主かも知れぬ裕二の精子は敵・邪魔者以外の何でもない。そこでその精子の生産場所である精巣(=キ⚪タ⚪)を破壊する行動を男の本能として取った、と考えれば納得がゆく(って私だけか)。でも、裕二は口から泡を吹きながらもそれがわかっていた様な気がする。(このモチーフ=男→精巣=キ⚪タ⚪はクライマックスで再度出てきます。)
⑥しかし、その時宮本君は既に大きな厄介事に直面していた。大体あのラグビー同好会っのが最初から胡散臭かった(体育会系のああいうサークルの飲み会が元々私は嫌いというバイアスがかかっているとしても)。デカイ男ばかりのサークルにどうして(ハッキリ言って)そんなに体格の良くない宮本が入る?ラグビー好きという描写もないし。取引先からの誘いを断われなかった?(断われよ。というのは37年間のサラリーマン生活で一度も営業したことないので、営業の大変さがわからないと言われればそれまでですが)。百歩譲ってそうだとしても(宮本の事だから仕事のためと疑いもなく受けたのかも知れないけど)、何故宮本が彼女を連れてこなければならない?これも彼女をマネージャーにせよ、との取引先の命令?オッサンの中に女の子が一人だけいるのに凄い違和感があった。⑦しかも、佐藤二朗扮する大野という課長野郎が一番胡散臭い。靖子に絡んで勝手なスリーサイズ当てとかセクハラすれすれの事をやっておいて、そのすぐ後にピエール瀧扮する真鍋部長の有名な学生ラグビー選手らしい息子に電話して早く来るように誘う。その時呼び水みたいに靖子のスリーサイズを言ったり年上だぞとか言っていたが、“やれる女がいるから早く来いよ”と言ってるのと同じ。傍らでそんな事が進行しているとも知らず宮本君は一升瓶の一気飲みなんかさせられている(宮本なら煽てられれば或いは営業のためなら如何にもしそう)。

もーさん