バーナデット ママは行方不明のレビュー・感想・評価
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居場所
熱演だった。
人それぞれに抱えてるものはあって、意識せずに降り積もるものもあり、生きづらさってのは結局は自分らしさを犠牲にしてるからこそ生まれるものなのかもしれないと思う。
彼女は天才的な建築家でありアーティストであるのだけれど、ある時期からそれを放棄し違う幸せを見出す。
子供を育てる母であり、その子供は4回もの流産を経てようやく授かった娘らしい。
おそらく子育てには一切の疑問も抱かず懸命に向き合ったのだと思う。社会的に成功している夫もいるし、とても穏やかな人物のようだ。
なのだが、娘の成長につれ社会的な煩わしさに付き合わざるを得なくなっていく。
自分の価値観だけで判断しにくい状況にもなる。
面白いのはセラピストの存在だ。
生来、人付き合いを苦手とする彼女は、度重なるトラブルで夫から不信感を抱かれ、入院を促される。
観客は彼女を見てるので、セラピストが断定する症状にこそ疑問を抱く。
既存の枠に嵌めようとする。
何かレッテルを貼りつけマニュアルを強制しようとする。
セラピストは専門家であるから、その言葉の信憑性は夫にも周囲にも影響を及ぼす。
とても、危険な行為だと思うけど、それが蔓延してる社会なのは間違いない。
どんな話しになっていくのかと溜息もでるのだけれど、その窮屈な世界から飛び出した彼女は魅力的だった。
デジタルデトックスなんて言葉があるけど、以降の彼女はまさにソレで、人間関係ごとデトックスしてるようで南極って場所がまたうってつけだった。
非日常が過ぎる。
日常の肩書きなどはクソの役にも立たず、各々が役割を与えられ協力していかないと生活できない。
そこにいる彼女はとても人付き合いが苦手なようには見えず、自分の好奇心に向き合えたようにも見える。
シンプルな生活だからこそ、浮き彫りになっていくものがあるかのように。
そして、かなり大胆な行動力も発揮する。
頭で考えてるだけじゃ、辿り着けないとこもある。
南極点に行く許可が降り、電話口で自分のやりたい事を捲し立てる彼女は生き生きしてた。
家族の許可を得ないと行けないと断言する彼女は頼もしく、その前にあった娘の台詞が頭を過ぎる。
「ママは私と離れるなんて事しない」みたいな事だったかな。羨ましいくらいの信頼関係だ。
歪んでいく妻と向き合う家族の再生の話になるのかと思った中盤とはうって変わり、個人の尊厳をそれぞれが尊重していく結末になってた。
土台からして…天才的な新進気鋭の建築家を一般的な枠組みで推し量ろうなんて無理がある。
それに気づく聡明さを持ってる夫で良かった。
常に柔らかな眼差しの夫が印象的だったし、南極的なロケーションは、なんかもの凄いインパクトだった。
合成のようにも見えるのだけど、バックにペンギンが居るってのが新鮮だったなぁー。
天才的な建築家なんて特殊な才能ではあるけれど、子供に割かれる時間が少なくなって母から自分に戻れるようなタイミングが訪れた女性には、なんか刺さる部分もある作品なんじゃないかなぁと思う。
最初はよく分からなかったけれど、
進むに連れて家や行動に違和感を感じだした、
単に金持ちの話かと思いきや、そうではない展開に親近感が湧いた。
誰もが諦めてしまいがちな、やりたい事と家族という天秤の中で、色々な人の助けや理解し合って進んで行く過程が南極という舞台を使って壮大に描かれていると感じる作品だった。
これはよい映画だ!日本の童謡が出てくる!
拾い物だった。なぜ、製作(2019年)から日本公開まで、こんなに時間がかかったのだろう。理由は二つ考えられる。
米国の富裕層の物語。何しろ雨の街、シアトル郊外の高級住宅街、雨漏りがするとはいえ、リノベーションされた広い建物に住む一見、幸せそうな家族。ご主人はマイクロソフトの最先端の研究者、ケイト・ブランシェット扮する奥さんのバーナデットは、今でこそ専業主婦だが、若い頃天才的な建築家だった。優秀な娘さんを中学校に送り迎えする車はジャガーか。その娘さんときたら、将来は東海岸の寄宿舎のある進学校に進むことが内定し、好成績のご褒美にクリスマス休暇に家族で南極旅行に行くことを提案する。でもこれは、日本はともかくとして、米国ですら飛び抜けた設定だ。彼の地でも、あまり受けなかったようだ。
おそらくそれ以上に、バーナデットときたら、才能に恵まれている故に人嫌いで、南極旅行のクルーズ船でも家族以外とは話をしたくないらしい。そんな風だから、周りとうまくゆくわけがなく、隣地との境で問題が起きてしまい、その時の態度たるや、暴力的で、言動もエキセントリック!とても、日本で受け入れられそうもない。
だから、日本でも、ほとんど話題にならなかったのだろう。しかし、これは見どころのある映画である。ケイトも、この映画で、2020年のゴールデン・グローブ賞にノミネートされている。では、どこが優れているのか。
バーナデットは孤立の原因は、はっきりしている。若い頃、設計し、賞までとったロスアンゼルスの建物が、本人の知らないところで買い取られ、挙句の果てに破壊されてしまった。希望を断たれた彼女は、夫の気に入ったシアトルに移って定住し、漸く得た病気を持って生まれた愛娘の育児に専念。家事は、基本的に遠隔でオーダーする。スマホに向かって語りかける(ディクテ)と、そのままメールになって、遠隔(インド)のアシスタントに届く。その人が全てを差配する。娘の学校関係以外のことで、他人と話すことはない日常。
でもこれって、私たちがコロナ禍で経験してきたことでは。リモートで生活していると、実は、一番楽なことは(少なくとも私の場合)人と直接接触しないで済むことだった。精神的にはとても危険なことだが。
こうした状態を克服するために、バーナデットはどうしたのだろう。薬漬けから逃れるために、彼女が本当にすべきは、過去と向き合うことだったはず。しかし、彼女はそれをしなかった。創造の道に戻ることを選んだ。その対象を、彼の南極の地で見出すことができたのだ。確かに、その道筋が丁寧に描かれていたとはいえない。最近の映画の多くがそうであるように、ストーリーはあっという間に、スピード重視で展開してゆく。それも、あまり評価されてこなかった原因か。
しかし、私には十分だった。もちろん、私たちが南極に行けるわけではない。私たちにできることといったら、家事を手伝うとか、ボランティアで社会的な活動をするとかになるのだろう。なんと言う落差。でも、この映画は、そうやって孤立から踏み出すことの重要さを私たちに教えてくれた。それが必要なことは誰にでもわかっているのだが。実際には、なかなかできない。米国でも、コロナが過ぎようとする頃、公開されていれば、違った評判を得ていたかも知れない。
日本人なら誰でも知っている童謡が出てくるところも、聴きどころ!
シンプル
意外とシンプルで、わかりやすい作品。
シリアスすぎず、コミカルすぎず
伝わりやすく演出されている
気軽にみられる作品。
環境の変化に悩んだり
結婚などを機に、自分を変えなければならなかった人には
わりと共感できるのかもしれない。
娘視点でナレーションが入ってることで
同じように母の心情を想像しながら観られるのはおもしろい。
置いてきぼり
邦題にだまされた。
K.ブランシェットの「ヒューマン・コメディー」⁉︎と飛びついたけれど、やっぱり違った。
彼女の怪演は見事。周りを固める役者も見事。
でも流れてくる一つひとつのエピソードを掴みそこねたまま終わってしまった感あり。
膨大な言葉の応酬をそのまま理解できれば、もっと違った気もする。
ママ友、ご近所トラブルは世界共通なのね
結婚して家庭に入ることによって、本来の自分を見失っていた天才建築家の話。
南極への一人旅、旅先での邂逅によって少しずつ自分を取り戻していく……
一人娘・ビーとの絆に涙。
ちょっと出来過ぎなストーリーだけど、ノンフィクションだからね。
南極でのロケは羨ましい。死ぬまでに行ってみたい。
ケイトの名演技、恐るべし!!
ブラックベリーも役に立つ
エリート旦那に愛されて、自由に生きてると思ったら本当は妻は才能の塊でそれを抑え込んで生きていたんだと思うと一気に見方が変わってくる。
少し素直になるとみんな心配を抱えて生きてることに気付く。
そして成長。楽しい映画だった。
大好きなブラックベリーは絶対植えない。
どこへ行ってたんだい、バーナデット
バーナデットのように特別な才能のあるなしに関わらず結婚して子どもが生まれて一線から引いてしまう女性は多いんだろうなぁ、ってほとんどがそうか。
バーナデットのように特別な才能のあるなしに関わらず女性がいつでも一線に復帰できる世の中にならないといけないんだろうなぁ。現実はなっていないからこういったお話が支持されるんだろうな。
「TARター」のケイト・ブランシェットに衝撃を受けて、この人の作品は観なければいけないと思って観に行った。2019年の作品なんだ。同じように思った人がたくさんいるから公開されたんだろうな。
こんなかわいいケイト・ブランシェットが観られるなんて! あらためてこの人はすごいなと思った。
メリー・ポピンズだって、スカーレット・オハラだって、クラリス・スターリングだって、リプリーだって、フェリオサだって、アン王女だって、グロリアだって、エリザベスだって(あ、やってるか)、なんだって演じられるし、様になるんだろうな。
シンディ・ローパーの「Time After Time」は名曲だな。
(スペース・ニードルの上って回るんだ!)
ケイト・ブランシェットの魅力が!
大好きな名優ケイト・ブランシェットが主演で、なんとも幸せな時間でした!
最近多いけど、予告編がミス・リードでしたよ。平凡な主婦が家族に翻弄される毎日にうんざりして、自分探しの旅に出る!いろんな出会いから人生を見つめ直す!って誰もが思うけど全然違った(笑)
不幸続きで全てに失望した、中学生のママが失踪しちゃう。旅するうちにかつての創作意欲が湧いて、失った夢を取り戻す物語でした。それはそれでよかったんですけどね。
とにかくオスカー女優ケイト・ブランシェットの演技が素敵。これほどまでに眼が魅力的な女優を僕は知らない。ジャームッシュ監督のコーヒー&シガレッツで出会って以来、ぞっこんです。
今作はリチャード・リンクレイター監督の独特な空気感の中で、しっかりと行間を掴む芝居はさすがだなぁ。それだけでも観る価値ありです。
お話は凡庸な展開で感動も薄いけど、なんかじんわり温かい。最近そういう映画が好みになってきました。かなり苦労されたらしい、リアルな南極の風景も美しい。
4年前に製作された作品だけど、無事日本公開されて良かったです。ケイトが10度⽬の、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされたからかな。久々のオスカーも獲って欲しい😊
ケイト様、現代作品もさすがです。
作品内容としては単純でよくあるストーリーだが、それでもケイト・ブランシェントはオーラ、存在感を見せつけた。TARやエリザベスの時のケイト・ブランシェントとはまた違う彼女の演技を堪能できた。ケイト・ブランシェントがアメリカハリウッドの現代女優の中でNo.1である事を再認識。ケイト・ブランシェントファンの方、女性の方におすすめしたい作品です。
家族にとっても会いたくなりました❤ ❤ ❤
原作未読。
大昔にAmazon.comのベストセラーランキングでずっと見てたから気になってた作品(でも未読w)。ケイト・ブランシェットの絶妙な演技が光る良作💛
あぁ〜家族ってやっぱいいなぁ💜と心底思わせてくれるエンディングにホッコリ✨
家族ったって夫婦なんて赤の他人の組み合わせなんだから、衝突したり、昔のような情熱を失ったり、相手のことが理解出来なかったり、時には傷つけ合うことしちゃったり……そんなん家族なら当たり前!
距離をとったり、譲り合ったり、たまには時間が解決してくれるのをただ待ってみたりして、ふとした時に思い出す家族の絆✨✨✨
気持ちのいい映画
邦題の訳が全然映画とあっていないけど、
なんとかしてほしいけど、
最後はほっこりするストーリーです。
途中までは、割と暗くて、単調で、謎が徐々に解き明かさらながら、の展開だけども、
最終的にはスカッとするし、希望が見えるストーリーでした。
個人的にはもっと終盤のストーリーを見せてほしかった!南極のシーンは映像も綺麗だし、見ていてすごく気持ちがいい。
母になっても自分らしく生きる
大好きな女神さまケイト・ブランシェットが今作でもとっても良かったです
ストーリーは心暖まるラスト、母と娘の関係がホほんとステキ
シンディー・ローパーの「TIME AFTER TIME」、久しぶりに聴いたけどやっぱり好きな曲
きれいにまとまって観終わって気持ち良いラストなんだけど、夫がどうも…
人任せにせずもっとちゃんと妻を見てあげたり話を聞いてあげたら良かったと思うし不信感が消えないです
出産と育児で一度は仕事から離れないといけないのは女の人には仕方のない事
土日休んでまた出勤ですってなれば良いのに
男の人は仕事をそのまま続けられるから良いなぁと改めて思ったりします
どんなに我が子は可愛くて大切でも、やっぱり我が子だけで全てが満たされるわけじゃないし、むしろ我が子だけで満たされる母は子供にとって良いとはあまり思えません
社会から置いてきぼりになってると思ったり、ママ友との付き合いがしんどかったり、そんなので情緒不安定になるのは日本もどこの国でもある事なのかもしれません
家だけじゃなくて、別の世界が必要と思います
「人生は自分次第で楽しくなる」、ほんとそれです
マッキノンじゃないことはたしか
ウィンスレットとどっちだっけ?といつも顔を見るまで混同しているブランシェットのペラペラとよくしゃべる演技が、天才肌で世間に馴染めない人の感じがよく出ていて、さらにはセリフの多いリンクレーター監督の作品らしさもあった。
自分は芸術家で創造していないとダメなんだなんて堂々と言われたら当然鼻に付くけど、視点を変えれば、彼女の生きづらさは母としてジェンダーを引き受けたことにあり、そこに夫は理解が及ばず、バーナデットのことをいつでもわかっていたのが娘ビーだというのは、我が家での母娘関係を見ていることもあって妙に納得。
よき家族・夫婦のハートフルな安定の着地だけど、リンクレーター監督には、6才のボクが、大人になるまで。みたいな常識じゃ考えられない作品もまた作ってほしい。
良作
ケイト・ブランシェットはこういうエキセントリックな役柄を演じると抜群に上手い。
フォックス家の父(ビリー・クラダップ)も娘(エマ・ネルソン)もバーナデットの奇行に悩まされながらも匙を投げるわけでなく、家族の絆を守ろうと寄り添い続けているのが心温まる。
心療内科医カーツ役のジュディ・グリアも相変わらず美しかった。
少し下品な台詞はあるが、暴力的な場面は一切なく、老若男女誰でも抵抗無く見られるハートウォーミングな作品だと思う。
内省的な若大将シリーズかよリンクレーター作品
リンクレーターの作品はなんか劇場まで行って観てしまうのだが、どうにも、いつも今ひとつ納得しかねる理由が本作にて判明した。大抵設定は欧米白人、ホワイトカラーの勝ち組家庭で、家族や恋人の心理的齟齬を巧みに描いてますが、家族のアイデンティティクライシスをわざわざ南極まで旅行に行って修復しようとすることが可能な家族って、全世界中の家族の何%なんですかね? まだ日本全体が豊かではなかった昭和三十年代の憧れの生活を描く日本でいう若大将シリーズなんかなぁと、 デフレの日本で、神田のが近いのにやたら日本橋を強調するモールにあるシネコンで観たのもシンクロしてそう思った。
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