「単なるクライムアクションではない重厚なドラマ」ロスト・マネー 偽りの報酬 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0単なるクライムアクションではない重厚なドラマ

2018年11月30日
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鑑賞方法:映画館

4人の強盗犯が犯行後警察の銃撃で全員死亡、リーダーだったハリーの妻ヴェロニカのもとにジャマールという男が訪ねてくる。ジャマールはヴェロニカにハリーが強奪した彼の資金2百万ドルを一月以内に返済しろと迫る。途方に暮れたヴェロニカはハリーの遺品から一冊のノートを発見、そこにはハリーが計画していた次の強盗計画が記されていた。ヴェロニカはハリーに代わって計画を実行すべくハリーの仲間の妻達に召集をかけるが・・・。
相当にテクニカルなカーチェイスやドライなバイオレンスは物語の添え物に過ぎず、突然夫を亡くしドン底に突き落とされた妻達の苦悩を冷たく見つめ、戸惑いながらも犯行に突き進む彼女らに忍び寄る意外な罠と真実をうっすらとユーモアを交えながら描写。巧みに時制を前後させながら伏線をばら撒いてクライマックスに向けて静かに加速していく流麗な演出が実に見事で、かなりノワール寄りに舵を切ったしっとりしたドラマに仕上がっています。リーアム・ニーソン、ロバート・デュバル、コリン・ファレルといったベテラン陣ががっちり脇を固めた実に重量感のある作品です。

よね