暁に祈れのレビュー・感想・評価
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言葉がわからずに暮らすこと
「君への距離、1万キロ」で気に入ってしまったジョー・コール主演で、賞レースに挙がっていたので早く観たかった作品。タイでボクサーとしてファイトマネーで食べていた麻薬中毒のイギリス人のタイの刑務所での体験を書いた本が原作の実話で、主人公以外はほぼ全員が本当の囚人または元囚人というのがこの映画の特徴。
主人公は、暴力や賄賂やレイプが当然のように横行するタイの刑務所でもドラッグが止められず、時々怒りを爆発させ暴力をふるう以外、父親からの手紙を読んでいる時も表情からどんなことが書かれていたのか推測ができないくらい、感情表現がない。またタイに何年もいるのにタイ語を全く理解できず、周囲が何を言っているのか全くわからず、よくわからない異文化の中で暮らしている。それは観客も同じで、字幕のないシーンも多く、誰が敵で味方なのかもよくわからないまま主人公を見守る。しかし英語がわかるレディボーイと接触し、ボクサー時代のアシスタントが面会に来てから、少しずつ生きる気力を取り戻し、頼み込んでムエタイチームに入れてもらい、再度ボクサーを目指す。
余計な説明も音楽も殆どなく、いわばタイ語がBGMみたいなもので、ジョー・コールの熱演が際立つ。
刑務所の凄まじさだけはよく描かれてる
刑務所の様子を撮ったドキュメンタリー映画としては満点でしょう
しかしそれのインパクトが強すぎて、ムエタイで生き残っていく主人公、という本来のストーリーがかなり薄まってしまいました。
しかも主人公も結構なクソ野朗なので、こんな環境でも生き残れ!頑張れ!と応援する気には全くならず、そのせいで試合のカタルシスも全然ありませんでした。
あと最後のテロップで「今も中毒から抜け出す努力を続けている」とか出てきてずっこけました。いや確かになかなか抜け出せないのがドラッグってやつですけど、結局未だにやってるんかい!とw
臨場感、これが真実なら間違いなく地獄
最低限の字幕スーパーは主人公が「言葉の通じない国で収容された」を疑似体験出来るので恐怖がより増してると思う。
断片的に刑務所での暮らしを切り取って進む日常な地獄がテンポ良く進められてついていくのに必死になる。
主人公は身勝手で共感出来る部分は少ないが、何度も絶望を越えてそれでも生きている自分に向き合っていく様が見てとれる。
改心したと思ったら小さな事でのすぐに堕ちるところなど麻薬中毒の恐ろしさを見せつけられるのでこちらとしては理解に苦しむシーンも多い。
映画的シナリオで脚色されてないような部分はドキュメンタリーチック
本物の刑務所、本物の囚人と謳われているが気合の入りすぎてる極道めいた入れ墨はタイのマジでヤバイ人はこんな感じなのか…とジメジメした恐怖が襲ってくる。
ひたすら眺める獄中生活
主人公のモノローグや説明もないので、人によってはエグいだけで退屈な時間になるのかもしれませんが、自分は墜落を繰り返す典型的な人間を中心とした、獄中観察日記として興味深く観ることが出来ました。
主人公には全く共感できませんが、案外誰の中にでも潜んでる弱さ、みたいなものもチラホラありましたしね。
面白かったかと言えば?だが、受けた衝撃はNo. 1である!今日一日...
面白かったかと言えば?だが、受けた衝撃はNo. 1である!今日一日ショックが引かないだろう…自分の人生に絶望を感じた人は観ればいい!希望しかないじゃないか!!ナイスなラスト☆
脳天殴られる感覚
無骨でスタイリッシュ、削ぎ落としは多くも盛り沢山な映画だった。
麻薬中毒のビリーのバックグラウンドは物足りなさも感じるほど最低限で、彼がどんな人物か把握しきれないうちにすぐ逮捕される。
急に収監されたビリー本人と同じような戸惑いと唐突さを観てる側にも感じさせるような投げかけ方。
実際の刑務所を舞台に実際の受刑者を出演させているとのことで、とにかく生々しさが半端じゃない。
家畜の豚でももっと良い生活してるんじゃないかってくらいの劣悪な環境に、スクリーンから強烈な臭いが漂ってくるようだった。
刺青と地肌の割合が1:1くらいの男たちの身体を舐め回すようなカメラワークが印象的。
テラテラと黒光りする刺青の迫力よ…。
タイ語にほとんど字幕がついてないのでそこに放り込まれた絶望的な感情が身に刺さる。
ボクシングの描写の細かさとそのリアルさに圧倒された。
至近距離で映し出される殴り合いに、だんだん自分の身体も傷んでくるような気がしてもう勘弁してよと思いながら観ていた。
ビーヒョロヒョロポンポコポコンコと軽く陽気に聴こえるタイの民族音楽と試合の泥血感のギャップが凄い。
序盤からずっと心配していたことにはならなかったことにひどく安心した。自伝小説が出ているんだから当たり前か。
意思が弱いのか誘惑に弱いのか、刑務所に入ってもなお堕落的でいたビリーの目覚めと救いのシーンが好き。
怒り以外の感情らしい感情がなかなか表情に見られなかった彼の涙が胸に刺さってくる。
レディボーイとのささやかなロマンスには安心感を覚えた。
最初の房内で世話を焼いてくれたおチビの受刑者が好き。
作品内でビリーはとにかく「ヤケになっては反省」というのを繰り返している。
境遇やレベルは全く違えど、案外どんな人にも身に覚えのあるような心の動きに共感できた。
分かりやすい大袈裟なドラマや熱く感情移入することはないけれど面白かった。ラストは驚き。
追い詰め方が激しく脳天を殴られている感覚になる。鑑賞後少し吐きそうになった。
自業自得の極み
微笑みの国の暗部 刑務所はただの隔離施設
暴力と男色と薬物 入れ墨と汚職と差別
常に咥えタバコのトレーナーの元、本業のムエタイで再起に挑むジャンキーボクサーに明日は来るか⁈
冷徹な視線で過酷な刑務所生活を追う実録もの。
徹底したリアリズムにドキュメンタリーと錯覚してしまう。製作者の気合いをビシビシと感じる。
序盤の房でのレイプ レディーボーイとの恋愛 そしてワンカット撮りのガチのムエタイシークエンスと見どころ満載です。
こんな映画どっかにあった。
最低限のセリフ、音響による臨場感は素晴らしい。漫然的でやるせない日々はよく描けていた。しかし、序盤のストーリーはどう考えても説明不足。ホームページでは文字で書かれているが、映画では描けていない。それに主人公に感情移入出来ない。ムエタイシーンも映画的な演出は無くそんなに盛り上がらなかった。
☆☆☆★★★ 簡単に。 例えば、『ミッドナイト・エクスプレス』で有...
☆☆☆★★★
簡単に。
例えば、『ミッドナイト・エクスプレス』で有ったり。『ブロークダウン・パレス』で有ったり…と。
言葉も通じない異常な環境下に放り込まれたのなら、果たしてまともな精神状態でいられるのだろうか?
この映画の主人公で有るビリーもそんな1人。
全く言葉が理解出来ない上に、「いつ殺されるのか分からない」状況下。いつ発狂してもおかしく無い。
収容所内で有りながら薬物が行き交い、殺し合う時さえ有る。
薬物の使用で何とか恐怖に打ち勝ち、精神を保てていた状態でも有った。
そんなビリーが、収容所内でのムエタイをやり始めるのは。元々ボクサーで有ったビリーにとっては必然だったのだろう。
だがそれによって、ビリーの身体はジワジワと蝕まれて行くのだが…。
最後は、生き急いだ青春像の様に描き。やがては絶望に変わるのか?と思わせたのだが…。
絶えずクローズアップを中心とした撮影によって。観客をあたかも、その場に居るかの様に仕向けている演出が怖さを倍増させている。
2018年12月9日 イオンシネマ市川妙典/スクリーン5
囚人版ロッキー
2010年に出版された同作名の自伝小説の実写版
イギリス人ボクサー、ビリームーアがタイで麻薬の罪で囚われ、無秩序な刑務所に収監され、ボクシングに対し本気に向き合うという作品である
余談ではあるがタイで麻薬を使用しそのまま起訴されると、だいたい2年半の服役と1年の保護観察を受ける。
私はまだまだ幼い身であるのでビリームーアについては全く知らなかっため、かなり無責任なやつ感しか思わなかったが、彼がボクシングに目覚めてからはトレーニングシーンやゲーム中などロッキーそのものでかなり楽しめた。ストーリー展開もロッキーに近いものがありそのまま興奮して楽しめた。
また、彼は英国人なためタイ語に疎く、我々にもほぼ字幕なしで感情や表情がすぐ移入できたところは良かった。
少し囚人たちの演技やもろもろがオーバーでダーティではあったが結構面白かった。
よかった
タイの刑務所の雑魚寝があまりにつらそうで、本当にタイで犯罪は犯したくない。
試合の八百長で「負けたら殺す」と言われていたのが新鮮だった。またその際「エイズを移す」と恫喝していたのが恐ろしかった。囚人がみんな山本KIDみたいだったしヒロインがニューハーフ。
恐ろしいことだらけで身の毛がよだつのだが、クールな演出のせいであまり興奮しなかった。特に試合のシーンはカメラが寄りすぎで迫力はあっても動きがよく分からないため眠くなった。
刑務所で格闘技なんて『あしたのジョー』以来大好物なのに、クールな演出とカメラワークで台無しだった。
自己責任
タイでタイ式ボクサーをするヤク中イギリス人が薬で捕まり服役する自伝を基にした話。
全部自分の為だしただの甘ったれた自堕落でダメな主人公で、昇りもしなければ堕ちもせず、何の成長もしないストーリー。
しまいにはイギリスに帰って努力しているって何それ?
ストイックな訳でもなければそもそも何故タイに住み何故ボクシングをやっていたのかもわからないし、雰囲気は良いけれど、みどころらしいみどころもなく冗長だった。
嫌〜な感じ
なんだか常に不穏な音(曲じゃないよね)が鳴り響いていて、より一層不快な気分になる。
体調の悪い時だと間違いなく落ちてしまう。
今日は体調万全で良かったかも。
何故しょっぱなから刑務官が罪人にヤクなんか与えるんだろと疑問に思っていたら
なるほど、悪いやっちゃね。
しかし怖い所ですな。
あんな現実の地獄に行くくらいなら
死んで地獄の閻魔様とご対面した方がよっぽどましかな。
リアルな迫力はタトゥー率の高さに比例するのか?
予告編で立木文彦さんがナレーションを担当されている時から男臭さプンプンの骨太な感じに鑑賞意欲を掻き立てられて初日に鑑賞しました。
感想はと言うとちょっと違ってた感じで個人的にはう〜んな感じのまあまあ。
細かいこと先に書くと、実在する刑務所の中での出来事を描いているので全体的に暗い。
字幕が限りなく少ないので、タイ人の囚人が何言ってるかが雰囲気でしか分からないw
主人公のビリーがダメダメなので感情移入し難い。
刑務所内の売店で働くレディーボーイは大丈夫? トラブルの元凶になると思うんだが…
でしょうか。
とにかく刑務所の中が悲惨。家畜小屋と言った感じで人権も何もあったもんじゃない。
日本の刑務所が天国に感じる(入った事は無いけど)
そんな無法地帯の様な中でもルールみたいな物はあるみたいだけど、ある程度収容されて周りに認知されてないとそんなルールも適用されない。
とにかく男しか出てこない(当たり前か)、異様にタトゥー率が高い。
この世の地獄を描いた様な中でムエタイに活路を見出すのだが、主人公のビリーが結構ダメダメ。
最後の病院からの脱走で線路向こうの子供の声にふと我に帰ったかの様に引き返すのが唯一の救い。
ここが邦題の「暁に祈れ」のキーポイントだと思うけど、それ以外は暁に祈る前に悔い改めろ!言いたくなる位の薬物依存過ぎてあんまり感情移入が出来づらい。
刑務所 プラス ボクシングと言えば、名作「あしたのジョー」を鑑賞前から連想する人も多かったと思いますが、主人公のバックボーンは違えど、ジョー程ストイックではなかった。
どちらかと言うと漫画「軍鶏」の様なダークな雰囲気。クスリ ダメ ゼッタイ!
あと女性が刑務所の中に入るなんて明らかにトラブルの元になるので御法度だけど、何故かレディーボーイが売り子をしているw
勿論彼ら(彼女ら)も何らかの罪を犯しているからこそ、収容されてる訳ですがレディーボーイが許されている理由が割と微妙(案の定トラブルになるし)
治外法権過ぎて、もう悲惨としか言い様が無い中でムエタイ式ボクシングに希望を見出していくのは「あしたのジョー」とおんなじ感じではあるので男の子には来る物があるんですが、正直全体のリアルな迫力を意識し過ぎて、クライマックスまでの起伏が薄いかなと。
ただ、特に感動がある訳でも無いので爽快感に欠けますが、悲惨な状況の中で重苦しくも進んでいく暗い画面の中にガツンとしたリアルな迫力が圧倒的です。
好みが分かれる作品であると思うので、あしたのジョーやROCKYの様な感動は少ないですが、リアルな迫力と男臭さが好きな人にはガツンと来る作品かと思います。
地獄で何を思ったか
見所満載で、とても力強い作品だった!
面白かった!
イギリス人ボクサーのビリーは、タイで麻薬を使用したとして逮捕、収監されるが、その刑務所がとんでもない地獄で…
まず、ビリー本人が、とんでもなくダメな人で
麻薬をやって地獄へ送られて
さらに、またその地獄でも麻薬をやってしまう
とにかく意志が弱い
しかし、そんなダメダメなビリーを見ているうちに
彼はあらゆることに不安なんだなというのがわかってくる
言葉のわからないタイでボクシングをしているが、一流にはなれず
麻薬をやっても解決しないのに手を出してしまい
その快楽に溺れるようになる
そして、刑務所へ入っても、その不安が消えることはなく
さらに、麻薬を常習するようになる
そんな彼を救ったのが
刑務所で出会ったムエタイだった
必死になって練習して、相手を打ち負かした時、ビリーは快感を覚えるようになる
それはビリー自身の内面にある怒りを解き放した瞬間でもあり
麻薬とは違った快楽を感じたのだろう
そこから、彼はドラッグを断つ努力を始めるようになる
これは、ビリー本人が麻薬地獄から抜け出せるようにと祈り続け
やがて、その夜明けにたどり着く
ビリーが人として目覚める話だった
そのビリー自身の成長の話にも感動だったけれど
タイの刑務所の地獄っぷりも、かなり眼を見張るものがあった
映画を観る前に丸山ゴンザレスさんのトークショーがあって
撮影で使われた刑務所のレポを観たのだけど、
なんだろう
刑務所というよりも、家畜小屋っていう印象
人権なんて、まるで感じられない
まさに地獄
こんなところにいるぐらいなら、ラリってた方がマシっていう気持ちは、分かる気がする
それでも、ビリーがそこから何とか這い上がって生還しようと思ったのは
彼の中に生きたいという気持ちが残っていたからに違いない
そのことに、ビリー本人が気づいた時が
ビリーの夜明けの時だった
ごみ溜めのような刑務所の映像には、かなりショッキングな部分もあるけれど
この世のリアルな地獄を観たい人は是非
厭
クレイジージャーニーなどで知られる丸山ゴンザレス氏のトークショー付き試写にて。本作のウリは「出ている囚人はメインキャスト以外全員が元囚人や、ムエタイ選手。ロケ地も刑務所の廃墟」というところ。映画で出てくる刑務所の実情は本当に想像を絶する。グロ耐性がいくらあっても、画面から放たれる異様な嫌悪感に思わず目を背けたくなる。まさに厭な感じなのだ。レイプや暴行が横行する刑務所は地獄という表現がぴったり。
でも、肝心のムエタイ要素があまりなく、ボクシング映画特有の胸熱的な展開もあまりない。
ロッテントマトでの高評は聞いていたが、タイのヤバい刑務所事情を知ることができるだけの映画だった。そして自分はかなり嫌な気分になって、映画館でもかなり窮屈な気がした。感情描写もあまりない。というか主人公がかなり自業自得。
ラストシーンはかなり美しい。
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