劇場公開日 2019年7月26日

  • 予告編を見る

「「数学で戦争を止める」の真の意味」アルキメデスの大戦 ニンフィア好きさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「数学で戦争を止める」の真の意味

2023年11月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

知的

難しい

「数学で戦争を止める」と聞いてどう考えるでしょうか。数式を立ててそれを解き、導かれた答えから戦争が起きないようにするために何をすべきかを考える。そういうことではありません。とある戦艦を巡って、数学を用いて、戦艦に隠された真実を暴き、戦争が起きないようにする。壮大な話で、数学がとんでもなくできなかった自分からしたら数学の話は理解が追いつきませんが、主人公の熱い情熱と様々な思惑が渦巻く人間ドラマも描かれていて、戦時中のストーリーとして新しい形を生み出した作品でした。

戦時中の日本が舞台ということで、観る前はもっとド迫力の戦争映画なのかと思ってましたが、そういう映画ではないです。といっても、拍子抜けしたわけではありません。ところどころ難しい数学の話が出てきたけれど、そればかりではなく、戦争が起きようとしている中で様々な人間模様を巧みに混ぜていて、とにかく真っすぐな芯を持った主人公の櫂直の情熱、さらには彼を取り巻く軍人たちにも心を打たれました。櫂は天才数学者ですが、天才の要素は数学だけにあるわけではありません。目の前の壁を打ち破るためにはどうすればいいかを導き出す天才でもあります。彼の度胸といい粘り強さといい、他の人より頭が2つも3つも抜けているような人です。そんな櫂と敵対する軍は悪者として描かれているように見えるけど、絶対的にそうとは言えません。彼らには彼らなりの使命があり、国そのものを守らなくてはいけない。それは間違ったことではありません。そのやり方に櫂は憤慨しているのです。様々な立場だからこそ持ち合わせる信念や正義がぶつかり合う熱い人間ドラマがありました。

軍人役には、あの有名な山本五十六役の舘ひろしを始め、國村隼、橋爪功、田中泯といったベテラン、大御所俳優が勢ぞろいです。もちろん主演の菅田将暉や柄本佑、浜辺美波など今を時めく俳優たちの演技も光っています。劇中で櫂が導きだした数式、とんでもなく複雑なんですが、わかる人いるんですかね...笑

ニンフィア好き