劇場公開日 2019年3月1日

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「挑戦的且つ挑発的で青臭い」Noise ノイズ Keyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0挑戦的且つ挑発的で青臭い

2019年3月11日
iPhoneアプリから投稿

やりたいことがたくさんあるのは分かったし、伝えたいことがあるのも分かった。

大量殺人に母親が巻き込まれ翻弄される父親と上手くいかない少女、ロクでもない母親に巻き込まれるロクな感性のない息子、若さの過ちに気づかないまま若さを消費する少女。途方も無い重いトピックを選び、それのモティーフをはっきり示したところも非常に勇気ある(勇気という言葉が正しいかも分からない)決断であったろう。

しかし、映像・構成何もかもがその重さを全てひっくり返すほど、観た後空っぽになった。とにかく出てくる人物全員が若くてエネルギーはたくさんあるのに、どうしようもできないことだけははっきり分かるが、その葛藤がダイレクトに伝わってこない。何を見たんだっけ?それが最初に出てきた感想だった。

私の感受性の問題なのか?と悩ませてしまうのが、どうしようもない重いテーマのズルいところだが、何日か考えた結果、役者の顔が私には物足りなかったからだと思い至った。

もっと若さあふれる顔、苦しい顔、どうしようもなく怒っている顔が見たかった。
そのパワーがもっとあってほしかった。私にはこの映像では足りなかった。

消費される若さ、「モノ」は大量にあるのに何も手に入れられないやるせなさ、東京・秋葉原にぴったりだ。

するともっともっと、あの挿入歌と編集と生きてきた気がする。儚さを表現できるのは色とテーマだけじゃない。

とはいえ、若い監督さん。次の映像もなんだかんだで見ちゃうと思います。

Key