劇場公開日 2020年2月29日

「とても「映画」していて良かった」劇場版 SHIROBAKO つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0とても「映画」していて良かった

2024年4月15日
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鑑賞方法:VOD

TVシリーズからの続きの劇場版と聞いて、ついに七福神作るのか?と期待したが、さすがに七福神は無理だった。まあ作中で数年しか経過していないのだから仕方ない。

とはいえ、この作品はメタ的に宮森たち五人がしてきたこと、成そうとしていることを集約している。
TVシリーズ序盤で、たまに合うだけのバラバラな五人が次第に関わりを持つように、スキルを身につけ仕事ができるようになっていく。TVではここまで。
この劇場版では、劇中劇という形でよりしっかりと宮森たちが七福神を作れる可能性を示した。

どんなに頑張っても七福神にこだわるのであれば五人ぼっちでは作れないのだから、タイトルが違うだけで七福神を作ったのと変わらないのだ。
あとは七福神にお金を出してくれるところを見つけるだけでいい。

前半こそ少々退屈であったが、後半に向けての高揚感は良かった。
同じ水島努監督の「ガールズ&パンツァー」もそうであるように、盛り上げ方が上手いなと思う。
TVシリーズでは味わえなかったようなエモーションもある。

面白かったと思うのだが不満な人も多いようだ。そんな評価がイマイチな方々の話を聞くと、TVシリーズは面白かったがコチラは良くない。TVシリーズは感動したがコチラはしない。というものだ。
どちらかというと個人的には全く逆の意見だ。もちろんTVシリーズが面白かったので本作を観ているわけだが。

とはいえ理由はなんとなく分かる。この劇場版は「映画」していたからだ。
何を当たり前のことをと思うかもしれない。しかし、映画というのはTVアニメやTVドラマとは違う。
TV用というのは、極端な話、音だけ聞いていれば大体分かる。それに対し、映画は能動的に「観る」ことをしなければならない。
もちろん、全ての映画作品がそうというわけではないが。

TVアニメが1から10まで全部描くのに対して、映画は、もちろん限られた尺の問題もあるが、1と5と10しか描かない。わざと描かない。
なぜか?全部描いたら面白くもなんともないからだ。
そして代わりに描くものは、物語の転がりとは関係ない感情を動かすパートだ。
出来事を動かすことよりも感情を動かすことのほうが大事だから。

私はアニメファンではなく映画ファンなので、前半少々退屈に感じながらも、よく「映画」していて良かったと感じた。
どうなる、どうなった、という「あらすじ」だけではない「見えないもの」こそ映画の魅力だ。

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つとみ