サスペリアのレビュー・感想・評価
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I know who I am! ホラーではない・・・
ホラー映画を観る気マンマンで映画館行ったら、全くホラー映画じゃなくってポカーンとした感じです。まぁ、最後のスージー覚醒シーンは好きでしたが、そこに至るまでが長すぎてしんどかったです。もし家で観てたら途中で止めてるかも。
なにぶん昔の「サスペリア」を観た事がないので優劣付けようもないのですが、本作観てから昔のも観てみようとはならないかも。本作ってきっと色んな所にネタを仕込んでいるんだろうけど、長すぎてもう一度見ようって気には全くなりません。
ダコタ・ジョンソンは美人さんですね。本作を観た後に言うのも何ですが、健康的美人さんっぽい。ティルダ・スウィントン三役もやってたんだ?しかもおじいちゃん役まで。こういうのって、きっと監督が意図する事があるんでしょうけど、実質あまり意味ないですよね?なんというか作り手の自己満足的な感じです。サラ役のミア・ゴスはいい子そう。クロエ・グレース・モレッツ何故出た?
何だか色々と詳しかったり、映画を観ていて「ここはこういう事だろう」って深読みするのが好きな方は楽しめるかもしれないのですが、一般人にはハードルの高い作品でした。
2019年ベストムービー!⭐️✨
ホラー映画好きは、今年外せない1本でしょうね…
…というか、ここにホラー名作がまたひとつ誕生です!(笑)
*ダリオ・アルジェントのオリジナルを観て予習する必要は全く無いですね(笑)色々とオマージュ的なものはありますが、逆に知らない方が、この新しい『サスペリア』を楽しめると思います。
*心臓の弱い方は観ない方が良いと思います。
やっぱり……
テンポ良く見ることができる。
複線も多くある。
一度では分からないと思う。
でも、二度、見ようとは思わない。
やっぱり、長い……
内容的にはホラー、スプラッターというよりミステリー。でも、グロいシーンはあります。
ホラーというより前衛芸術
ホラーを見に行ったらいつの間にかおじいちゃんの感動物語で終わったって印象。
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怖いシーンよりグロいシーンのが多いし、話もナチスドイツやらドイツ赤軍やら結構ドイツの歴史知らないと分かりにくい。
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正直ホラーだ🎶みたいなテンションで挑んじゃったから、画面はずっと暗いし2時間半という長さで結構しんどかったな。
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でも終盤の儀式のシーンはなかなか見応えあるし、音の響いてる感じとかは映画館じゃないと楽しめない感覚だからそこは一見の価値あり。
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絶対に1人では見に行かないでくださいって予告で言ってたけどほとんど一人映画の人で座席が埋まってたから安心して見れたよ(笑).
21世紀のトラウマ映画になりそうだ
1977年、東ドイツ・ベルリン。
米国オハイオ州出身のスージー(ダコタ・ジョンソン)は、世界的に著名な舞踊団「マルコス・ダンス・カンパニー」のオーディションを受けるにやって来た。
舞踊団ではメインダンサーのパトリシア(クロエ・グレース・モレッツ)が失踪をするという事件が起きており、巷ではバーダー=マインホフ率いるドイツ赤軍によるハイジャック事件が進行していた・・・
というところから始まる物語で、舞台はベルリンに移されているが、時代は1977年でオリジナル版『サスペリア』が製作・公開された時期と重なることから、1971年生まれのルカ・グァダニーノ監督にとっては、よっぽどトラウマ映画だったに違いない。
映画はその後、カリスマ振付師マダム・ブラン(ティルダ・スウィントン)に認められたスージーは入団を許され、その実力からパトリシアの後釜に据えられ、その一方で、パトリシアの失踪を不可解に感じた主治医の老精神分析医クレンペラー博士(ルッツ・エバースドルフ名義=ティルダ・スウィントン)が失踪事件を独自に調査を進めていく・・・と展開する。
スージーが舞踏団の主要演目である「民族」の踊りをするのに合わせて、退団しようとするダンサーの身体がねじれ破壊されるというショッキング描写が前半にあるもの、総じて、いわゆるショッカー描写は少なく、女性たちばかりの舞踏団での不穏さや、クレンペラー博士が第二次世界大戦中に妻と行き別れたという事実などが、これもまた不穏な緊張感を伴って描かれていきます。
既存のホラー映画とは一味も二味も違うテイストですが、この映画の根底にあるのは、二項対立的世界の不気味さと不安定さで、その混沌感が観る者を幻惑・困惑させます。
二項対立の図式は、
物語の背景にあるドイツ赤軍によるハイジャック事件(東西冷戦、資本主義と共産主義)、
物語の根幹にある魔女の物語(男性社会と女性社会)
のふたつがわかりやすいのですが、途中では恐ろしい台詞が出てきます。
「キリスト教もナチズムも、どちらも十字架と儀式によって成り立っている」というキリスト教とナチズムを同じ次元で捉えている台詞です。
異教徒を認めない(ので改宗させる)キリスト教、アーリア人種以外認めない(ので彼らが認めなかったユダヤ人ほかのマイノリティを虐殺した)ナチス。
物語を根幹をなす魔女(三人の魔女がいるが、この物語では嘆きの母マザー・サスペリウム)はキリスト教の出現により、母の地位を引きずり落されて魔女になったといい、クレンペラー博士はナチスドイツによる大量虐殺の生き残りということになっている。
この二項対立がどこへ帰着するのか、それとも帰着しないのか・・・・
映画は、最終的に、スージーが嘆きの母となるのであるが、その前には、嘆きの母を崇拝していた舞踏団内部での大量虐殺が描かれます。
その様子は、深紅、深紅、深紅。
ナチスによる大量虐殺を思わせる地獄絵図。
そして、それを目の当たりにするクレンペラー博士・・・
観ている方としては、混沌ぶりに、幻惑・困惑・混乱するしかありません。
しかし、その混沌ぶりには、どこか歴史の既視感のようなものも感じるのです。
最後、嘆きの母となったスージーは、床についたクレンペラー博士のもとを訪れ、博士の額に手をあて、魔術のような言葉を投げかけます。
「忘れなさい」と。
この言葉、「呪」の言葉なのか・・・
それとも、平穏に生きていくための言葉なのか・・・
エンドクレジット直前に映し出されるのは、クレンペラー博士と愛妻が石の門柱にかつて刻んだふたりのイニシャル。
いまは、忘れ去られたように、蔦に覆われている。
そして、エンドクレジットの後、スージーが現れて、カメラの方に向かって、博士にしたように手を差し伸べる・・・
忘れていいのか、忘れていいのか・・・やはり、忘れてはいけないのか。
21世紀のトラウマ映画になりそうです。
恐ろしい
サスペリアオリジナルも観たこともなく、ティルダスウィントンの3役とか何の情報もいれずにライトな気持ちで観にいったので、観ている間はずっと なんちゅう映画を観に来てしまったんだ… って感じでした。
とにかく恐ろしすぎて、目を背けてばかり…トラウマになりそうで。
もう二度と観ない!と思ったけど、一晩たったら、又観てみようかなと思ってしまう不思議な映画。
グロすぎ残酷すぎなんですけど、アートだと言われるのも納得できる美しさがあるからなんですかね。
深い意味とか時代背景とかそういうのは全く分からないんですが、目と耳で感じる美しさみたいなのは凄かったと思います。恐ろしいですけど。ダンス、有名な女優たちの迫真すぎる演技、イメージ崩壊なんてなんのその。なんですかね。凄い。
改めて、ティルダスウィントンの彫刻的な美しさには思わずうっとり。なんて。
あと単純に世界観が凄すぎて一気に映画の世界に浸るので、ある意味、現実逃避な映画です。怖すぎですけど。
何を見せられているんだろうと
ただ美しい映像と音楽、不協和音のような展開が連なって意味が分からないのに見終わった後はすっきりとした気分になった
傑作か駄作か、よくあるホラー映画か、受け取り側によってかなり変わってくる作品
決してカップルでは見ないでください
今作鑑賞前、せっかくなのでオリジナル版を観ましたが、狂ったように赤い照明とゴブリンのやかましい不気味音楽で押し切った力押し作品で、ストーリー自体ははっきり言って無いに等しかったです。
本作ではオリジナルでほぼ無意味だった「バレエ団」という設定を膨らませたり、東西が分かれておりナチスの残党も未だ目立った時代背景を取り込んだりと、かなり挑戦的なリメイクをやっており、オリジナルとはだいぶ違った作風になっています。上記の真っ赤っかな照明やギャリギャリした音楽も無くなっています。
で、肝心の面白かったか否かですが、オリジナルの「ストーリーが滅茶苦茶」という点だけはなぜか忠実に引き継いでおり、ラストの乱痴気騒ぎまではただひたすらに退屈でした。あのシーンやこのシーンが伏線や暗喩なのは理屈では分かるけど、特に面白みには繋がっておらず。主要人物がやたら増えたせいで話もわかりにくくなってます。
グロ描写もラストの大騒ぎまではほぼ皆無、そのラストも照明のせいでなんかおとなしく感じました。
結論、意欲は買うけど正直微妙、という評価です。
乳首やち〇こ、半裸・全裸がバンバン出てくるのでカップルでの鑑賞はおススメしません。
人類が築くカルト集団の愛憎を描いた傑作
期待以上の素晴らしい作品だった。
興味深いのは本作が魔女ホラー作品ではなく、過激思想を持ったカルト集団をテーマに感じた点。ホラーとしてだけ期待すると、序盤は確かに肩透かしになるかもしれない。恐怖展開はまったく起こらず、スローペースで、本筋と関係ないとの批判もあるようだが、本作のテーマを暗示させる社会情勢を描いている。第二次世界大戦後もナチス残党が暗躍する政府に対し、過激な左派がテロ行為を行う危うい状況。カルトな正義であったナチスの幻影と、新しいカルトな正義である赤軍の衝突。
そうした時代背景を描くことで、理想を掲げ、疑似家族を形成し、信じる者たちのエネルギーによって惨劇を繰り返す人間の普遍的なテーマが内包していることに気づかされる。魔女の舞踏団を、そうした人類史上、万国津々浦々、生まれては消えるカルト集団のメタファーとして表現する想像力に脱帽。
宗教、国家、会社。愛と憎しみが入り混じり、疑似家族としても形成され、時に正の、時に負の、狂信的なエネルギーとなって変革と破滅を繰り返す。まさかサスペリアのリメイクにこんな壮大なメッセージを受け取るとは。
本作は決して深淵なストーリーということではなく、終盤、聖母を受け継ぐ、泥臭い跡目争いみたいな展開になるのも非常に面白い。神がかってたキャラクターが愛憎を感じさせ人間臭くなっていったり。愛情を注いで育てる母子の話でもあり、一人の期待の新人が成り上がるスター誕生の物語とも言える。それを示すNOT ARTの絶叫!アート映画じゃねぇーんだよ!って言うことをメタ的に言ってんのかな?とか、ディテールの解釈なんかもいちいち楽しめる。
映像表現としても斬新なシーンが何度もある。第1に起こる残虐な展開も、もしかすると何かのオマージュかもしれないが、暴力描写の発想が売りでもある北野武映画ファンもびっくり。舞踏でヤってしまうとは。。一大フィナーレとなる儀式パフォーマンスは、舞台芸術としても素晴らしい。肉体と光と音で観客を圧倒する。
トムヨークの音楽も冴えてて、魔女ミーティングで、投票していくとこに音楽が重なっていくシーンとかレディオヘッド感あって単純にアガる。それぞれのキャラクターもはまってるし、裸でぐちゃぐちゃになったり体当たりすぎる。
ダリオアルジェントは激怒らしいが、ま、まったく別物だから無理もない、、、何の遠慮もなく自由に製作した感じがあって、シガラミなく金だけは潤沢にあるからなのか。amazonスタジオの今後が楽しみだ。
賛否あるのも頷けるし、痛みを露骨に描くシーンが盛りだくさんなので苦手な人もいるだろうが、是非、映画館で観るべき1本。
リメイク版サスペリアは水戸黄門によく似てる
面白かった! でも、少し難解。
オリジナルとか、観てなくても解る……、オリジナル版とはまったく繋がりをもたない別作品ではあるけど、観ておいてほうがより楽しめるし、理解しやすいかも。あと良い作品なんだけど眠くなる。
しかし、最後の結末は秀逸!!
ネタばらしになるのであまりいえませんが分かりやすくいうと…『サスペリア』を語る上で、主人公のスージーは時代劇『水戸黄門』の黄門様そものもです!
【ヌエの鳴く夜は恐ろしい】
【ヌエの鳴く夜は恐ろしい】・・・間違えました!
【決してひとりでは見ないでください】の意味がわかった。
「テンポが悪い!長時間過ぎる!」
アート作品は認めない症候群のターゲット。
または
「ホラー描写が甘い!説明セリフが多い!」
シネフィルウイルスの感染源になりそうな作品。
(※シネフィルウイルスに関しては「アンダー・ザ・シルバー・レイク」評をごらんください。)
アリオゾフィとその歴史に関する考え方、ナチスドイツ、ベルリンの壁、カルト集団、魔女狩りなど、単独でも複雑過ぎる問題が多牌している。
これが賛否の根源ではないだろうか。
それぞれを散発して、うまく繋げようなんてつもりは全くないないのでしょう。
ただし5章6章のコリオグラフと展開は凄すぎる。
Don’t think feeeel. エピローグでthink
ここに共感ではなく・・・共鳴?共振?可能な観客は大傑作と称えるでしょう。
しかし、そこが、何これ?普通じゃん、そもそも長過ぎる!ってなる観客にとっては退屈な時間。
そんな所をみんなでバーベキューでもやりながら話そうぜ!
なので
決してひとりでは見ないでください。
独特な世界観
最初から最後まで不気味で気味悪い。ホラー映画として、しっかりと怖がらせてくれました。
リメイク作品ということですが、もとの映画を観たことがないのでそのあたりの比較や対比はできませんが独特なオカルト的な世界観の映画という感じがしました。
クロエ・グレース・モレッツをもっと観たかったのですが、出番が少なくて残念。
『サスペリア』(1977)ファンの為の作品!
【ネタバレとしましたが、 難解なので独自の解釈です。】
ダリオ・アルジェント監督の「サスペリア」(1977)は映画の中でも〝神〟的に好きな作品でw
それ以降アルジェント作品に「サスペリア」以上のものを求めて観てしまうのですが「サスペリア」以上の作品には出会えず! 個人的には「サスペリア」はあらゆる偶然が合いまって生まれた〝神〟的作品だったのだと諦めていたのですが (「フェノミナ」まではギリ)…
このルカ・グァダニーノ監督版『サスペリア』はその41年の欲求をすべて満たしてくれる程素晴らしい作品でした。
ただ単にリメイクするのではなく、アルジェントの強いビジュアル、色彩、音楽をあえて排除して、エッセンスだけ汲み取り独自の『サスペリア』に仕上げたグァダニーノの映画創りの魂を感じ、またそこにアルジェントへの敬意をも強く感じられました。
そして肝心なストーリーもリアリティに拘るグァダニーノらしく、アルジェントの「サスペリア」公開時の1977年ベルリンの時代背景に照らし合せ、魔女達の関係や存在意味をよりリアルに描いており、アルジェント版でのバレエ寄宿学校を、ピナ・バウシュ的な現代舞踊の養成所にシフトし、〝舞踊〟=〝儀式〟として描く解釈は説得力がありました。
ビジュアル的にはサブのエピソードを現代アート的なイメージカットをサブリミナル的に挿入し、全編を通して映画を観るというより現代アートの映像を体感している様で、血みどろの魔女の召喚儀式にトリップさせられました。
これもコンテンポラリーアートの映像作品に数多く出演しているティルダ・スウィントンの存在があるからこそ出来た作品だと思いますし、一人三役も見事 でした!!
ホラーという概念をも覆し、脳で感じる恐怖映像作品としてとても芸術的なセンスを感じました。
そしてラスト。単純にストーリーをなぞるのではなく、ちゃんとグァダニーノ作品としてのオチも用意されており、アルジェントの「サスペリア」三部作の「インフェルノ」(1980)から三人の魔女(嘆きの母、暗闇の母、涙の母)をもってきたあたりは鳥肌物でした‼︎
エンドロール、スージーがベルリンの壁を撫でる意味…
真の〝魔女〟とは? 当時のドイツの時代背景を勉強すれば2倍も3倍も楽しめる、まさに現代版『サスペリア』として見事な作品でした。
そういう意味ではホラー映画では無いので、お化け屋敷的なホラーを期待すると何じゃこれ⁉︎ ってなる作品。
覚悟してください
オリジナルみてないので先入観なく観れました。最高で目が回ります。最後を知ってからもう一度みなければ、いや何度も見なければ。そう思う映画でした。久しぶりに映画でここまでのショックを受けました、ショックがすごい。観終わってもしばらく内臓が震えます。本当目がまわるので覚悟してください。
激動の世の中と魔女
ダリオ・アルジェントの名作「サスペリア」。今なおカルト的人気を誇る作品だが、本作もまた遠い未来でも語り継がれる名作となるだろう。
本作はリメイク版「サスペリア」だが、新たな視点で描かれた全くの別の作品に仕上がっている。オリジナル版の色調を豊かに表現し、芸術的な才能を見せつけられたあの描写の数々は本作においては再現されていなかったのは残念だったが、本作の表現したい本質はそこではない。
本編が150分というかなりの長さだが、それもそのはずだ。オリジナル版では語られなかった新たな背景を様々な視点で描いているからだ。本編が第一章から第六章で構成されているが、あっという間の150分だった。
物語のベースは同じだ。アメリカからやって来たスージーという女性が、ベルリンを拠点とする舞踏団へ入門する。直ぐに才能が認められ、主役に抜擢されるまでになる。その一方で建物内で不穏な現象や失踪事件が起こり…というオリジナル版とほとんど同じ展開で進んでいく…。
しかし、終盤に差し掛かるにつれて独自の方向性へ。ここまで挑戦的なリメイクは今まであっただろうか。賛否両論が巻き起こったのも言うまでもない。
本作の背景として、時代設定は1977年。
当時のベルリンは情勢が不安定であり、本作でもテロ関連の出来事が起こっている。
1977年と言えばオリジナル版の「サスペリア」の公開年でもあるが、当時は「ドイツ赤軍」の争いが激化し、当時の撮影隊も駅でのテロ攻撃に巻き込まれたらしいが、それらについてはダリオ・アルジェント監督は作品に重ねることはしなかった。
しかし、本作は明らかに主人公の入門した「マルコス・カンパニー」と「ドイツ赤軍」を比較して描いている。不穏な空気が漂うバレエ楽団の生活に、淡々と述べられるドイツ赤軍関連のニュースが響く描写が多く登場する。この二つが直接絡むことはないが、「マルコス・カンパニー」と「ドイツ赤軍」は同じ運命を辿っているものとして描かれているのではないだろうか。
両者とも共通していることは、「過去に巨大な力で押さえつけられた存在」というところだ。ここからは「サスペリア」にある程度の知識があるという呈で書き込むが、魔女は昔、病気の治療などで人々を救う、救世主的な存在であった。しかしキリスト教が浸透していくなか、魔女らの存在は疎まれるようになり、「魔女狩り」にまで発展してしまった。そういう背景があるからこそ、魔女は細々と暮らしていく様になった訳である。一方「ドイツ赤軍」も元々は第三帝国などにより押さえつけられて生活をしていた人々が、反帝国主義、反社会主義を元に立ち上がったものだ。いわゆる「平和」を求めての反乱である。
しかし、1977年のドイツ赤軍は、内乱が発生するなど崩壊寸前である。旅客機をハイジャックし、乗客を人質に政府に対して仲間の解放を求めたのだが、失敗に終わる。
ハイジャック犯は4人中3人が銃殺、獄中にいた仲間は敗北を悟ったのか自殺。その後ドイツ赤軍は自然消滅のような形になった。
「マルコス・カンパニー」はバレエ楽団
を唄った魔女の集団。バレエ楽団を率いるある魔女の「器(またの名を入れ物)」となる存在を探すことを目的としている。もはや双方ともに本来の存在の目的とはかけ離れた存在理由になってしまっている。
魔女らは「入れ物」探し、ドイツ赤軍は内乱。のにち双方とも何らかの形で終わりを遂げることになるのである。
元々の存在意義から逸脱した二つの組織は内部の変化によって失われていくのだ。
この様に本作はホラー映画という枠を大きく越えた、時代と文化を色濃く体現した、壮大な物語なのである。
これをリメイクと呼んで良いのかは置いておき、ホラー映画という表現が限られたジャンルに当時の実際の情勢などを取り入れるというあまりにも挑戦的過ぎる内容に脱帽である。オリジナル版には無かった要素を取り入れると邪魔に思えることもあるが、本作は上手く溶け込み、より深く魔女らの目的や理由を描いている。これは、ヘタなリメイク化への警鐘だろうか。
あまりにも深いテーマと描写の数々で
今後も論争が続きそうである。
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