劇場公開日 2018年8月11日

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「変わった映画。雰囲気は好きだな。」ゾンからのメッセージ CBさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5変わった映画。雰囲気は好きだな。

2018年8月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

予想通りよくわからない映画だった。ただし、嫌な意味ではなく、どちらかと言えば、心地よいわからなさ。
「ゾン」とは何かとか、「ゾン」が象徴するものは何かということはあまり考えずに、映画の雰囲気の中に身を任せられたのは、やはり全体的にうまく撮っているからだと思う。もちろん脚本も含めて。観る前は、117分は長くないか?と訝しんでいたが、杞憂でした。特にアキラさんの動向が終始気になって、時間はすぐにたちました。

その中にいても、出られない以外は不自由なく暮らせる町。そこに生まれ育ったら、もしくはアキラたちのように暮らしている街がある日突然そういうことになったら、俺はどうするだろう。
「これもいっか」と順応して暮らしてそうだ。もちろん映画もそれを否定しない。
ただ、順応して暮らすとしても、ミチコさんのように、皆が帰る時のために待っていよう、という積極的受け身でいたいものだ、とは思った。そんな消極的立場の俺には、特に出ようと思う人は出られて、強く思っていない人はすぐに戻ってくるという表現も面白かった。

雪で押し潰された温室を片付けるというくだりが何度も出てきて、なにか意味があるのかと思ったら、実際にロケ地の深谷が撮影した2014年に大雪だったそう。さすが卒業制作、そこだけドキュメンタリーかよ。

ポレポレ東中野にて、プロデューサーと主演達のうちの二人の話を聞けたのは、拾いものでした。古澤プロデューサーがシャツを指して「このちょっとウルトラQ風のTシャツが…」と言ったのを聞いて、「そうか、俺がこの映画にしっくりくるのは、この映画の雰囲気がウルトラQ的だからなんだ」と気づいた。ゾンも言われてみれば、オプティカルプリンターだし。と、一人で勝手に納得して帰った。
なるほど、温かなウルトラQというのは言い得て妙だな。

CB