劇場公開日 2018年12月1日

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「【ドイツとイスラエルの距離を超え、ケーキが取り持った二人の男と彼らを取り巻く人々の縁に魅入られた作品。異文化を理解する事の難しさと、それでも異文化を乗越える微かな希望を描いた作品でもある。】」彼が愛したケーキ職人 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【ドイツとイスラエルの距離を超え、ケーキが取り持った二人の男と彼らを取り巻く人々の縁に魅入られた作品。異文化を理解する事の難しさと、それでも異文化を乗越える微かな希望を描いた作品でもある。】

2019年9月24日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

ー 切ないストーリーである。
 が、宗教、国家、性の壁を乗り越えるラブストーリーでもある。ー

 小さいながらも評判のケーキ店をベルリンで営む若きケーキ職人と、彼のケーキを楽しみに定期的に店を訪れる男(途中で彼が、ドイツとイスラエルの合併会社で働いていた事が分かる)。そして二人はある事がきっかけで、関係を持つようになる。

 だが、ドイツ出張の際には必ず訪れていた男と音信普通になり、逡巡していいたケーキ職人がイスラエルを訪れるところから物語のスピードは上がっていく。

 男には妻(アナ・アドラー:今作と前後してサミュエル・マオズ監督の「運命は踊る」で、拝見し素敵な女優さんであると認識する。)と息子がおり、彼が不慮の事故で亡くなった事も判明し、今は妻が独りで店を切り盛りしている・・・。

 ケーキ職人がその窮状を見かね、且つての愛人の妻(色々ややこしい・・)の手助けを始めるところから、更に物語のスピードは上がり、面白さも比例して増幅していく。

 ユダヤ教にも色々な信仰レベルがあること、「コシェル」というユダヤ人の食物規定を知った作品でもある。

 小品ながら、異文化を理解する事の難しさとそれでも微かな希望を描いた秀作である。

<2019年1月3日 旅先のミニシアターで鑑賞>

NOBU